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表現の尊さを世界へ! 〜女優:月奈なづきの実態に迫る〜

◉取材の目的

 令和の時代、大学生は自身の将来に向かって、勉学のみならず、サークル活動やインターンシップ、課外活動など幅広い分野において、興味を深めている。特に自由な環境を持つ早稲田大学では、自身の興味に基づく活動に日々奮闘している学生が多い。そこで、私たちは積極的に活動を行う早稲田生は、「どのような想いを胸に学生生活を送っているのか」に迫る。今回は、早稲田大学での学生生活と並行して、芸能活動や起業活動を行なっている月奈なづきさんに、現在の生活や将来の展望についてのインタビューを行った。

インタビュー実施日:2024年5月16日 zoomにて

◉月奈なづきさんプロフィール

月奈なづき

早稲田大学国際教養学部在籍。2020年のライブ配信の活動より芸能活動を開始。プロとしての活動を目指し、2021年4月からは俳優養成所に通い、ダブルスクールでの学生生活に励んだ。2021年『劇場版 現代怪奇百物語』にて映像デビューを果たす。2023年にはMiss University埼玉2023グランプリを受賞。2024年には国際映画祭にてAudience Awardを受賞した映画『One Night in Tokyo』に出演。芸能活動の他に、学生起業家として、学生クリエイターの活動を応援する「ユースパークスタジオ」を立ち上げる。現在は大学の必修プログラムのため、ニュージーランドに留学中。

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◉エンターテイメントを届ける人間になりたい

Q. 芸能活動を始めたきっかけについてお伺いしたいと思います。
月奈:芸能活動を始めたきっかけは昔、アメリカに住んでいた時に『ハイスクール・ミュージカル』という映画を観たことですね。初めて観た時に「すご!これ!」ってなって。(笑)7歳か8歳の頃だったんですけど、真似して歌って踊ってっていうのをずっとやってて。それがダンスを始めるきっかけになりました。
 日本に帰国してからは卓球を始めて、ダンスと並行してやっていました。でも、小学校5年生の時に卓球とダンスの両立が難しくなってしまって。その時に私は卓球を選びました。そこから中学生の時にはジュニアオリンピックカップに出場したり、全国中学体育大会などの大会で全国ベスト8を何回かとるようになって。卓球を続ける中で、徐々に人前に出る、エンターテイメントを届けている自分というものを考えるようになりました。それで、卓球は中学3年生の夏の大会で引退して、いよいよ夢見ていたエンタメの道に進むことを決意しました。やり残したもう一つのことという感じかな。そんな些細なきっかけです。

ー大学に入ってからエンタメの道に転向しようってなったんですか?
月奈:中学3年生の時の進路を決める三者面談で、親と先生に役者の道に行きたいと伝えました。そこで、親と話した時に、「自分のお金で役者の道に進めるならやっていい。」という風に言われまして。なので、大学に入ってからダブルスクールで演劇の専門に行くことになるんですけど、それは全部自費で行きました。経験の蓄積もすごく大事になっていくので、お金と経験を高校生活で蓄えて、高校を卒業してすぐ芸能活動を始めたという感じです。

ーとなると、卒業した2020年から活動を開始されたという形ですか?
月奈:はい、2020年の3月から正式に活動を始めました。

Q. 活動を始められる前までは準備期間という形だったと思うのですが、その期間行われていた活動はありますか?
月奈:高校三年間でいうと、芸能に直接関わることはあまりしてなかったですね…。いろいろな経験を積むことは好きだったので、興味を持った活動には全部参加していたくらいかな。

ーじゃあ、夢を胸に秘めて、高校生活は楽しんで…という形ですか?(笑)
月奈:何でやんなかったんだろうね!(笑)何でか分かんないけど、それで言うとやっぱりお金をそんなに稼いでなかったというのと何から始めていいかが分からなくて。覚悟という意味でも、まだできていなかったのかなとも思います。

Q. 最初の活動は何から始められたんですか?
月奈:最初は正しいかも分からないけど、とにかくオーディションに応募しました。それから、MixChannelで3ヶ月間無償でライブ配信もさせていただいてました。その頃はちょうどコロナ禍で大学も無かったので、24時間ぶっ通しで配信をしたり、とにかく知名度をあげようと我武者羅に活動してました。そのライブ配信でゲットしたお仕事が、一番最初に出演した『現代怪奇百物語』になりますね。それプラス、オーディションでゲットしたドラマがTOKYO MXの『桜井真の三つの遺産』ですね。

ー最初は特に演劇の学校には行かずに、オーディションを受けられていたんですか。
月奈:そうですね。演劇の入りたい学校が4月入学だったんですけど、オーディションが大学1年生の10月にあって。だから、学校の入学は1年待って、その間は自分でお仕事を取ってきてましたね。ラッキーにラッキーが重なってって感じかな。(笑)

ー事務所にはいつ頃入られたんですか。
月奈:ライブ配信事務所には初めの3ヶ月の期間が終わった後に株式会社KIRINZさんにお世話になり始めました。でも、ちゃんと演劇の事務所(スタークラスターエンターテインメント)に入ったのは活動4年目になる今年の4月ですね。KIRINZさんには今も所属していて、ライブ配信のお金の流れだったり、ファンの方々との交流の管理をしてくれています。タレント業務もいくつかあったけど、ライブ配信がメインでしたね。

◉自身の活動に周りの反応は二極化

Q. 芸能活動を始めるにあたっての周りの反応はいかがでしたか?
月奈:母親は完全に賛成でした。なんでも自由にやりなさい派なので。(笑)逆に父親はすごく心配していましたね。でも、母親の説得もあり、自分で(お金の面でも)責任を持ってできるなら、と無事応援してもらえるに至っりました。友達は「なんだってできるっしょ、なづきなら!」と言ってくれるタイプと「なにやってんの、あいつ…。」みたいなタイプに二極化しましたね。高校卒業直後に、特に仕事も無いのに、ポートレート写真をインスタグラムに投稿するところから始まったので、中学の友達から「なにやってんの…。」とか送られてきたりもしましたね。でも、私はすごく我が強かったので、「私がやってることに応援できないなら距離を置いてくれたらいいし、でも、邪魔はしないでほしい。」とLINEした覚えがあります。そこから1年くらい連絡が無かったんですけど、ある日突然舞台の告知をしていたら、「舞台観に行きたい。」とその友達から連絡が来て、応援してくれるようになりました。それをきっかけに仲良くなって、今では一緒にライブ観に行ったりとかもします。(笑)今では良き友人です。

◉熱意でやり遂げた数々の現場

Q.初めてのお仕事は『現代怪奇百物語』だったとお聞きしましたが、初の現場で大変だったことはありましたか?
月奈:『現代怪奇百物語』はライブ配信で初めてゲットしたお仕事だったので、現場のことも何も分からないまま行きました。そもそも配信のイベントに勝たなきゃいけなくて。なるべく休まずライブ配信をして、ファンの方々に応援してもらいつつ、勝ち進んで、このお仕事を頂きました。初めて芝居をするというプレッシャーもあるし、初めての現場で何を準備していけばいいのかも分からないし…。でも、とりあえず人として邪魔にならないようにしようと思いました。規模も、ある程度スタッフさんの人数も限られている個人制作会社さんの映画という感じだったので、だからこそ、周りを見て、スタッフさんが扉を抑えてたのを「変わりますよ。」みたいな。(笑)「そんなことしなくていいよ!」って言われたけど。(笑)とにかく学びだと思って、如何に邪魔にならず、役に立てて、学べるかという3つを意識して、現場に行きましたね。次も呼んでもらいたいっていうことが前提にありました。

Q. 今までで印象に残ったお仕事は何ですか?
月奈:去年の4月撮影、今年の3月に海外の映画祭でAudience Awardを受賞した『One Night in Tokyo』という映画でのお仕事です。アメリカの制作チームが日本に来て撮影をする自主制作映画で、自分で動画を撮って送るというセルフテープオーディションでした。私はヒロインのアヤカ役と台本に感動しすぎて、本当は1本だったところ、3本くらい動画を送りました。結果は残念ながらダメだったんですけど、「どうしてもあなたの芝居がこの映画に欲しい。」と監督に言ってもらえて、居酒屋店員のナッキー役という役を私のために作ってくれました。これは本当に印象的なお仕事への携わり方でしたね。多分、日本の映画祭にも来るか、もしくは配信されるかという形になると思います。初めての海外のチームとの撮影で、より世界の人々と携わって、私を発信していきたいなという私の夢を感じることができました。多分、日本の映画祭にも来るか、もしくは配信されるかという形になると思います。楽しみに待っていてください!

ーこの台本は英語だったんですか。
月奈:海外の男の人が日本にいる外国人の彼女に会いに来るんだけど、あまりうまくいかずに日本の女性と会うっていうお話で、海外の方の台本は英語、日本の方は日本語でした。だから、私の役は日本語。英語と日本語がミックスしていて、でもセリフだけじゃ無くてその下にあるサブテキストが美しい映画になってます。有名所で言うとアンミカさんの旦那さんであるTheodore Millersさんとシーンをご一緒させていただいて、すごくお素敵な方で…!いろいろプロフェッショナルに学ばさせていただけて、幸せでした。

◉芸能活動と学生生活の両立

Q.今はどこにいらっしゃるんですか?
月奈:今はニュージーランドに半年、留学に来てます。

ーその間は、役者の活動はどうされてるんですか。
月奈:その間は事務所に言って、一時中断させてもらってますね。(笑)国際教養学部に通っているので、1年留学が必須なんです。でも入学時がコロナ禍とぶつかって、2年生まで学校に行けなくて。3年目に申請して、4年目の今、留学に来てるという感じです。1年半休学もしてたので、かなりずれ込んで卒業って感じにはなりますね。自分は英語でもお仕事ができる世界で通じる役者になりたいから、こっちでも演劇に触れていろいろな経験を糧にしていきたいなと思ってます。事務所も凄く理解があって、「今はなんでも経験しなさい。」と言ってもらえてます。無事来ることができて、謳歌しております。(笑)

ーインスタグラムでもすごい楽しそうですよね!
月奈:日々生きる中で、何をどう発信していくかっていうのも難しいところで、それこそ、発信をテーマに今回インタビューしていると思うんですけど。ホームステイ先のご家族が中国人の家庭だから、文化の違いとかを発信しようかと今綿密に計画を立てています!


Q.芸能活動と学生生活との両立で大変なことはありましたか。
月奈:勉強ですね。(笑)ダブルスクールしていたころは月曜日早稲田、火曜日演劇、水曜日早稲田、木曜日演劇、金曜日早稲田、土曜日演劇、日曜日はバイトもしくは仕事、という感じでした。早稲田の方は1年生の頃はオンラインだったのもあってついていけてたのですが、2年時に留学に行くと思っていたのがずれ込んで、勉強に対してもモチベーションが上がらなくなってしまって。やりたいことが演劇の方にすごくあって、予習復習もできないまま学校に行っていたので、正直成績はダメダメでしたね。(笑)でもせっかく早稲田という素晴らしい環境にいるんだから、学びたいことを学ばなきゃと思うようになりました。演劇の方は2年間で卒業だったので、最後の半年間は早稲田を休学しまして、演劇にフルベットしました。卒業した後は、早稲田の国際教養学部の授業を取りつつ、自分の興味の範疇である演劇や映画研究の授業を取ることを意識しました。如何に興味を失わないで、どんなことでも吸収してお仕事に繋げられるかということを気をつけて、路線を戻しましたかね。

Q.早稲田の学生であった利点はありますか?
月奈:早稲田大学の学生であった利点としては周りの視座がすごく高いことです。クリエイティブなものを作りたいって思った時に、例えば今やっているショートフィルムとかは、早稲田で繋がった子に誘って、「お金なんて要らないから来たい。」って手伝いに来てくれた子もいたし。後は、監督の方々と繋がれるMasters of Cinemaという授業があって、監督さんが授業に来て講義をしてくれるものなんですけど、そういうのに役者の友達を誘って授業を受けたりとかしました。オダギリジョーさんとかが授業に来てくれたりしました。一昨年は松岡茉優さんが授業にきてたらしくて。

ーそんな授業あるんですね!
月奈:だから是非、Masters of Cinemaとってください!(笑)早稲田は演劇の色が強い大学なので、そう言う意味で繋がり面では早稲田生で良かったなと思います。

ー大学の環境も活用されていて、素晴らしいですね。
月奈:初めは演劇フルベットすぎてなんのために大学に行ってるかっていうのが本当に分からなくて、「大学行かなくてええやん!」ってめっちゃ思ってたんだけど。(笑)それと同時に、早稲田という環境にいるのに活用できていない自分が悔しくて。それこそ反骨精神で生きているんだなと日々思っています。(笑)

ー早稲田に役者さんのお友達はいらっしゃるんですか。
月奈:いるにはいますね。そこまでお仕事を一緒にしたって訳ではないんですけど、授業で繋がった役者の友達はいます。後は、早稲田卒の役者さんとかで一緒に仲良くしてもらってる方とかもいます。確かに早稲田という括りは大きいかもね。

◉演劇は自分探しの旅

Q.次は演技についてお聞きしたいと思います。演技をする時に心がけていることはありますか。
月奈:演技というと、仮面を被ってお芝居をするんだろうなと皆思うと思うんですけど、実はめちゃくちゃ真実なんですよ。あれって本当に感じていないと言えないことなので、如何にその場で新鮮に初めて見たように感じて、初めて聞いたかのように反射で表現がでてくるみたいなところをすごく大事にしています。だからこそ、役に寄り添うことも大事だけど、自分がどのように感じるかの表現の自己分析がすごく大事なんだなと、やればやるほど感じますね。

Q.演技をされていて難しいと思える点は?
月奈:演劇の専門学校でアクションのクラスがあった時に、太極拳で有名な先生に来てもらったことがあります。その時に「月奈なづきです。猪突猛進型とよく言われます、よろしくお願いします。」と自己紹介をしたら、「君、愛されて育ってきたでしょ?あなたに興味がない人でもあなたの声を届けるのが役者の仕事だから、自分に興味を持ってもらえるような話し方をしなさい。」と怒られましたね。何言われてんのか全く分からなかったけど。(笑)でも、4年経った今、ちょっとだけ分かるようになったと思います。どんな役でもその役なりの正義があって、それを如何にバイアス無く役に落とし込むかが大事なんだと思います。その上で、月奈なづきの表現を加えることで役を膨らませます。お芝居の魅力は自分が思ってもいなかったような新しいものが生まれてくることです。3秒前に自分の中で感情なんてなかったのに、3秒後には泣いているみたいなことが何回もありました。

ー難しい中に魅力があるみたいな…?
月奈:映像も舞台も何度も同じ芝居をするんです。舞台だったら何日公演とか、映像だと同じシーンを違うカットで何度も撮るという感じですね。だから、その都度、如何に新しいものを生み出して、カットごとにどんな表現ができるか、というのが難しくもあり楽しいところだなと思います。


Q.同じ時期に役柄が全く違うお仕事が重なった時はどのような感じなんですか?
月奈:声を発さずに伝えるヘルプサインを認知拡大するための『タスケテノカタチ@ダレカ』という舞台でのお仕事が大変でした。私は監禁されて性暴力を受ける役をやらせてもらいました。芝居をするにあたって如何に軽率にならずに役に寄り添えるかということを意識して、役と向き合いました。でも、その時は役からの抜け出し方というものもイマイチ分かっていなくて。だから、時間をかけて役に入るほど時間をかけて抜け出さなきゃいけないという大変な時期がありました。でも、その次がちょうどコメディーの役だったんですよ。だからそっちに向けて役作りをすればするほど、日々の日常を暗い視点で見ていたとこから明るい視点で見るようになって、世界がどんどん彩りを戻していくという不思議な体験をしました。また、年間に8本くらい舞台をやっていて、スタミナが無くなって、何度か迷惑をかけましたね。(笑)自分のスタミナを伸ばすと共にプロとしてどこまでのキャパを制限するべきかを悩みました。

Q.役に入り込むという話でいうと、自分を見失ってしまうことは無いんですか?
月奈:ありますね。自分で自分をコントロール出来なくなった時がありました。英語ミュージカルの舞台『Second Star on the Right』に出演した時には旦那さんと上手くいかなくなって離婚してしまう女性の役を演じました。自分の過去の経験とも重ね合わせて、粘土みたいに融合していくような役作りをしたのですが…。役の感情がピークになる場面で歯止め聞かなくなってしまって、舞台裏で過呼吸で涙が止まらない状態になりました。「彼が私を捨ててった」と言っていたらしいんですけど…。その時はプロデューサーさんと舞台監督さんが声をかけてくれて助けていただきました。役に入り込むのと役から抜け出すスイッチを自分で探すのが大事だなと思いましたね。今でも探しきれてないので、課題として常に念頭に置いています。

ーそれは大変でしたね。その時期によって性格が変わるということもあるんですか。
月奈:あると思う…!セリフを読んでこの役って物事をこのように考えるんだなというのを読み取って役の視点に入っていくので、ものに対しての考え方は変わると思いますね。その都度、性格は全然違うのかなぁ…?(笑)でもそれも含めて、自分探しの旅だなと思っていて。自分という引き出しを増やして、全て自分として役に応じて出していく。だから、芝居をしていると、良いも悪いも自分にはこんな一面があるのかと気づかされることもありますね。

ー自分にこの役合わないなと思った時に、お仕事を断ることはあるのですか。
月奈:自分が役に合うか合わないかは考えないです。私は何でも応募して、とりあえずどんな役でもやってみるようにしています。もしかしたら自分の中に役に合う部分が見つかるかもしれないし、相手からこの役やって欲しいと言ってもらった時に、自分はそういう風に見えているんだと気づくことができるからです。これをタイプキャスティングと言うんですけど、例えば心の中がどんなに違っても、こういう見た目の人ってこういう人だよねというバイアスがあって。だから役をいただいた時には、そういう風に見えているんだと認識してそこに向けて役作りをしていくようにしています。役への適性とともに、人間力とかこの人と仕事したいなみたいなことを大事にしている業界なので、そういう意味でも、一緒に仕事をしたいと思ってもらえるように、どんな役でも挑戦しています。

◉「美」の価値との出会い

Q.日本最大のミスコンに出場されていたとお聞きしました。ミスコンに出られたのは2023年ですか?
月奈:はい、ミスコンは2023年の2月にオーディションを受けました。埼玉県のファイナリストとして2ヶ月レッスンをして、埼玉大会でミスユニバーシティ部門でグランプリを獲りました。そこからまた5カ月間レッスンを積み、ミスユニバーシティ埼玉として9月に日本大会に挑みました。今年の4月にミスユニバーシティ埼玉の任期を終えました。

Q.ミスコンに出場された経緯についてお聞かせください。
月奈:演劇の専門学校の卒業公演にいろんな事務所さんにスカウトをして頂いて面談をした際に、プロフィールに書けることを増やしたいと思ったのがきっかけです。たまたま役者の友人が「受けてみたら」って言ってくれたので、そこで興味を持ちました。

ー審査はどのようなものがあるんですか。
月奈:大会審査は、ウォーキング、ダンス、質疑応答、スピーチなどがあります。ヒールウォーキングでは10㎝以上のヒールがマストでした。私は身長が152cmと小さいので、大会で一番高い17cmのヒールを履いてウォーキングをしましたね。

ー埼玉代表の任期が4月で終わりとおっしゃっていましたが、任期中はどのようなお仕事をされたのですか?
月奈:地域のお祭りに参加させてもらったり、ラジオに出演させて頂いたりしました。私は留学で出れなかったのですが、毎年大会の時に1年の任期を終えるためのファイナルヒールウォークというビッグイベントもあります。後は、グランプリになった次のミスユニバースの方に冠を渡すという大切な儀式もありますね。ミスユニバーシティの活動としては、能登半島地震の被災者の方に振袖を届けるプロジェクトを行なっていて、それはまだ遂行中です。日本大会では投票審査というものがあって、メッセージと投票をしてもらうんですけど、そこで応援して頂いた資金を貢献活動に充てています。

Q.ミスコンのトレーニング期間は具体的にどんなことをするんですか?
月奈:ウォーキング、ダンス、スピーチなど諸々のレッスンです。後は、自己分析、セルフメイク、社会貢献、SDGs等、幅広い分野の授業もあります。
 その中でも、ヒールウォーキングがすごく難しいのね。基本的に朝9時から夜6時くらいまでヒールはずっと履きっぱなしで、あって30分の休憩でした。最初はあまり勝ちにこだわってなかったので、17㎝のヒールで綺麗に歩く技術を身につけらたらいいなくらいにしか思ってなかったんです。自分で本当にミスになれるわけないよなという感覚があったんです。でも、去年のミスコンのグランプリを獲られた方がレッスンに来てくれて、初めてウォーキングを見たときに、涙が出たんですよ。歩いてるだけで人を感動させられるんだと圧巻させられました。

ーそこからミスコン熱が湧いてきたと?
 そうですね。ウォーキングってすごく人間力を見られるんです。人間力なんてわかんないよと思っていたんですけど。でも、自分を信じると同時にアドバイスをくれる人を信じていたら少しずつ分かるようになりました。どこまで素直になれるかということを、演劇もミスコンも感じさせられてます。どの分野でも負けず嫌いですが!(笑)

Q.コンテストを通して得られたものは何ですか。
月奈:当初の私は「美」という言葉を怪訝に思ってました。美しさにおいて、役者で勝負できるわけないし…。だったら何で勝負できるか、という風に考えましたね。その結果、ウォーキングなどの表現方法を磨き、「美しい」はすごく価値のあるもので、それは努力で得ることができる尊いものであるということを学びました。そこから、私はミスコンを通して美しくなったと思える自信を得ましたね。
 あとは、仲間や講師との出会い。その点では、自分の軸である「出会いに感謝する」ということに改めて気づかされました。

Q. 演劇との両立は大変でしたか?
月奈:はい。ミスコンは美しくあることが価値になるんだけど、演劇は醜いところを見せることが価値になるんです。
 自分を磨いて自信をもって自分を確立すれば、どんな自分もさらけ出せます。そういった意味で良いように作用する時もあれば、ミスコンでのスピーチで演劇チックになりすぎて、注意されたこともありました。役ではなく、自らの真実を曝け出すのは、普段の稽古と真逆のことになるので、難しかったですね。
 でも、演劇もミスコンも、全部自分の人生に繋がっていることに気づきました。演劇に加えて、ミスコンに出たことで、人生が豊かになっていく感覚を覚えましたね。やりたいことができて幸せを得ることができる環境にいつもありがたく感じます。

Q. 振り返ってみて、芸能活動に役立ったと思うことはありますか。
月奈:セルフブランディング力が上がったなって感じてます。どんな瞬間でも美しくいるということをやるので、フルメイク、ヘアセット、ネイル、私服の着こなしにも気を付けなければいけません。どうやって人に自分の魅力を伝えられるかというスキルはかなり学びになりましたし、この強みはこれからの活動に活かせると思います。

ー完璧な美を求められる環境で、ストレスになった事はないんですか?
月奈:あります。私はもともと美しい、しなやかな女性という感じでは無く、わんぱく少女的なパーソナリティを持っているので、かなり大変でした。(笑)でも、ミスコンらしくない私が出場したことで、よりミスコンの価値を感じられたと思います。多くの女性に挑戦してもらいたいと思いますし、ストレスを含めて、ミスコンの素晴らしさを伝えたいです。

ー長い期間、そんな環境で頑張れた秘訣はあったんですか。
月奈:周りを敵として見ずに、常に自分自身と戦ってる仲間の姿を見て、頑張れました。あとは、応援してくれる人。投票審査の時に、メッセージをつけれるんだけど、私が一番メッセージを貰った数が多かったんです!多くのメッセージを目にして、こんなに多くの人が私のことを見てくれて応援してくれているんだと実感しました。私がやりたいことがありがたくも誰かのためになってるんだと感じた時、負けちゃいけないと思いました。自分になんて負けられないよね。(笑)ステージでドレス審査をしたときは、皆さん応援してくれてありがとうございますという気持ちで楽しく歩いたのを鮮明に覚えてます。

◉心がときめくことには全部挑戦!

Q. 起業準備中とお聞きしていますが、起業しようと思ったきっかけは何ですか?
月奈:広告目的でのショートフィルムの作成をやっています。自身でブランドを確立している若者と動画を作ってる人たち、音声、照明、役者、カメラマンさんのマッチングを手伝って、若者のクリエイターたちを応援するビジネスをやっていきたいと思っています。
 きっかけは、役者をやっているからこその、自己表現ができる尊さに対しての意識ですかね。例えば、今、動画のクリエイターの方たちは、作れるものが溢れかえってるから、なにをやるにも低賃金で悪環境です。でも、そのパッションを実現していくにはお金が必要で…、というのを考えた時に、その人たちにとっての価値のあるものを作ってもらえる環境を作りたいと考えました。自分も一人の役者としてその機会が必要だし、自分のブランドを確立してる人達にもプラスになる。だから、この課題解決を目標とするこのビジネスを確立しました。ワクワクを掛け算できたらなって思って挑戦してます。

ー起業や動画作成の勉強は自分でやられていたんですか?
月奈:起業の勉強も動画を作る勉強もしたことが無くて、やると決めてから勉強しました。とにかく人を頼りましたね。私は本当に出会いに恵まれて、いろんな人が募ってくれました。最近、初めてのクライアントさんとの動画を公開したんですけど、初めての自ら編集をした作品でもあったので手応えを感じました!

ー今一番力を入れられてるのは起業ですか?
月奈:んー、心がときめくことは全部やる!ときめかないことはひたすらにやらないけど。(笑)ときめくことには全力投球。だから、力を入れているのはどれ、と決めて無くて、いろんなことを経験して、大事なものを残していけたらいいなと思ってます。行動力と勢いを大切にしています。

Q. 様々な分野で活動されていますが、どういったスケジュールで行動されているんですか?
月奈:朝6時半に起きて8時15分から授業、早い日は12時半とか、あっても午後2時くらいまで学校ですね。その後は、発声練習、体づくり、台本読み等、一通りトレーニングをします。他は、YouTubeも最近始めたので編集したり、オーディションがあったらセリフテープを撮ったり、留学に来てからは少し観光もしています。基本的には不定期で、その時にやりたいことをやってますね!その日その日を生きるのに精一杯です。(笑)

ー最近、日常の中で刺激を受けた経験はありましたか。
月奈:学生起業王にこの前出たんですけど、凄まじかったですよ!そこでも嘘はつきたくないなと思って、ダメダメだったんですけど。(笑)でも、そのダメダメを全力でぶつけてきました。そこでも改めて新しい学びがあって、何でもしてみるもんだなと思いました。

◉表現の大切さを世界へ発信

Q. 様々な活動をされている中での今後の目標についてお聞かせください。
月奈:忘れたくないなと思うのは、常日頃の一瞬一瞬を大切にすること。そこから、自分というものを更に確立して、表現の大切さを世界に届けていきたいですね。現状に感謝しつつ、でも、貪欲であることも大事だから、何事も求め続けていきたいと思います。

ー具体的な目標はありますか?
月奈:役者としては、近いうちにNetflixの作品に出演したいと目標に掲げています。そして、もしかしたら叶うかもしれない!という状況です。叶ったら、次はオリジナル作品を狙いたいです。後は、英語でお芝居をして、世界中の人々に自分の表現を届けたいというのが一つの大きな目標ですね。
 会社としては、クリエイターが楽しんでできる環境、心がワクワクするような現場をどんどん増やしていきたいです。

◉インタビューを終えて

 お忙しい中、インタビューにご協力頂いた月奈なづきさん、貴重なお話をありがとうございました!
 大学生でありながら幅広い領域で活動されている月奈さんのお話を聞き、学生の可能性は無限大だとを改めて実感しました。活動に対する熱意と行動力、伴う結果に対しての向き合い方には終始驚かされました。同じ大学生という身で、自身の将来に対しての芯が確立して、自らが持っているもの全てを活用して実現しようと奮闘している姿にはとても輝かしかったです。
 「世界中の人々に表現の大切さを届けたい」という言葉には月奈さんの強い意志が感じられました。私は、この言葉は演技をする人間に限らないことだと感じました。私たちゼミ生も、noteを通して自らの表現や考えを綴っていますし、SNSで発信している学生も多いはずです。「表現を世界に届ける」ということを心がけることは難しいですが、そんな表現に元気をもらってくれる人もいます。そんな中、大学生は「世界に表現を届ける」活動を行う機会を自由に持っています。月奈さんの活動は、この貴重な機会で、自らが望む活動に積極的に挑んでおり、これらのお話は私たちにとって、大きな刺激となりました。
 最後になりましたが、お忙しい中、インタビューにご協力頂きありがとうございました!これからの更なる輝かしい活動を応援しております!

文責:河田、川村