センチメンタル42歳
なにかのあてつけだろうか、と思うほど、妻が掃除機をかける。
あなたも子どもと遊びなさいよ、という明確な彼女の意図を込めて、私の部屋のドアを開けると、絶対に閉めない。
結婚して10年が過ぎた。
私は、太ったり少しだけ絞ったり、会社を辞めたりギックリ腰になったり、貯金を崩したり投資信託で微妙に稼いだりしながら、昨日42歳になった。
元気な後期高齢者の仲間入りをした私の両親からは、全ての文末に!のついたLINEが送られてくる。
強調することも、驚くことも少なくなった私の生活だが、代わりに自分に絶望することも、諦めることも減ってきた。
ただ、自分の欲望と身体を見つめて、できることを継続する、その過程があるだけだ。
リビングから、マリオが連続で死に続ける音と、娘の「何よこれ」という憤りの声が聞こえる。
夏祭りのない8月が、今年もやってきた。