「上田仁・復活物語」のあとがき、のようなもの
(2021年5月Rallysメルマガ掲載)
「一つだけ良いでしょうか」
上田仁選手の原稿確認を送って、しばらく後に、そう返事が戻ってきました。
「復帰はしたが治ったとは思っていない、そう思うことで対策と予防ができる、というような内容をどこかに入れてもらえないでしょうか。治った、自分は元気だ、と思ってもらうより、ありのままを見せたほうが、同じ悩みを抱える人にとって意味があるかなと」
それは事実、私が入れようとして、でも今後のアスリート・上田仁にとっては、“治っていない”という表現は良くないのか、と逡巡したあげく、外した表現でした。
私でさえ、どこかにまだ「心の病」と「アスリート」を切り離して考えたいのだと気づかされました。
「病気を受け入れるって、そういうことかなと思うんです」
アスリートは、病気に罹らないほど強いのではない。
病気に罹って、それを受け入れて復帰するほど強いのだ。
そして、それを告白し、あなたもきっと大丈夫だとそっと背中を押すほど強いのだ。
この特集記事が作れて良かったと思いました。
つらい人に寄り添えずに、何のためのスポーツか、と思います。
何のための生涯スポーツ・卓球かと思います。
だって疲れるんだもの、生きていくってだけでも。
謎の相田みつを先生のようなつぶやきが漏れてしまいましたが、まだ読んでない方はぜひどうぞ。
読んだ方も、時々またどうぞ。
新しいプロ卓球選手が、そこにいます。
ラリーズ編集長 槌谷昭人
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