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最初に

2025年は、中小企業向け各種補助金の公募が多く予定されています。
去年は例年より公募件数が大幅に少なかったのですが、令和6年度補正予算や令和7年度予算を見ると、今年は新規の大型補助金を含めて多くの補助金公募が予定されています。
補助金の支給は支払いが全て終わった後になされるので、投資の為の資金繰りが必須ですが、日本ではまだ金利が低いので、投資をするには良いタイミングである言えます。
まだ詳細が発表になっていないものもありますが、補助金申請の準備は早ければ早いほどよいと思いますので、今年の補助金募集の見込をご紹介します。

★小規模事業者持続化補助金

2024年の公募は僅か2回でした。これまでは年に4回程度募集されていましたので、今年の募集ですがおそらく去年よりは公募回数は増えるかと思っています。

小規模事業者向け補助金:通常枠50万円。補助上限額250万円。
補助率:2/3(賃金引上げ特例活用事業者のうち赤字事業者については3/4)
●対象者:従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合5人以下、それ他の場合20人以下である小規模事業者
●対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費

★ものづくり補助金

補助上限額:4000万円。
昨年2024年の公募は僅か2回でした。これまでは年に4回程度募集されていたので、昨年は異常に少なかったと言えます。今年も複数回の募集はあると想定していますが、例年の回数に戻るかは未知数です。公募回数は去年よりは多くなるかとは思います。
●製品・サービス校付加価値化枠
製品・サービス開発の取組を支援:たとえば・・・最新複合加工機を導入し、これまではできなかった精密加工が可能になり、より付加価値の高い新製品を開発。
●グローバル枠
海外需要開拓等の取組を支援:たとえば・・・海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し新製品の開発を行うとともに、海外展示会に出展
●基本要件
中小企業・小規模事業者等が、革新的な製品・サービス開発を行い、
①付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
②1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)の基本要件を全て満たす3~5 年の事業計画に取り組むこと。
※最低賃金引上げ特例適用事業者の場合、基本要件は①、②、④のみとします。
●補助上限・補助率
①製品・サービス校付加価値化枠
5人以下750万円(850万円)、6~20人1000万円(1250万円)、21~50人1500万円(2500万円)、51人以上2500万円(3500万円):中小企業1/2、小規模・再生2/3
②グローバル枠
3000万円(3100万円~4000万円):中小企業1/2、小規模2/3
●補助対象経費
<共通>機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
<グローバル枠のみ>海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費
●大幅賃上げ特例
大幅な賃上げに取り組む事業者のみなさまには、補助上限額を100~1000万円上乗せします。
※大幅な賃上げ:(1)給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加(2)事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準
※最低賃金引き上げ特例事業者、各申請枠の上限額に達していない場合は除きます。
※上記(1) (2)のいずれか一方でも未達の場合、補助金返還義務があります。
●最低賃金引き上げ特例
最低賃金の引き上げに取り組む事業者のみなさまには、補助率を2/3に引き上げます。
※最低賃金の引き上げに取り組む事業者:指定する一定期間において、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いる事業者
※小規模・再生事業者は除きます。
●収益納付は求めない。

★中小企業省力化補助金

補助上限額
従業員数5名以下:200万円(300万円)
従業員数6〜20名:500万円(750万円)
従業員数21名以上:1,000万円(1,500万円)
補助率:1/2以下
昨年から始まった新しい補助金で、あらかじめ登録された省力化機器の製品リストから選択して申請するものです。
この補助金は、登録された機器から選択するもので自由度が少なく、ユーザーの希望したものが登録されていないと利用できないため、応募者は見込みよりかなり少ない状態です。
今年は製品リストが増えますので、適合する物があれば比較的容易に採択されます。

★IT導入補助金

・業務の効率化やDXの推進、セキュリティ対策に向けたITツール等の導入費用を支援!
・インボイス対応に活用可能!安価なITツールの導入にも活用可能で、小規模事業者は最大4/5(80%)補助!
あらかじめ登録された情報システムやソフトウェア製品から選択して申請するものです。
この補助金も登録された製品から選択するもので自由度が少なく、ユーザーの希望したものが登録されていないと利用できない、という不自由さがあります。
適合する物があれば比較的容易に採択されます。
●公募枠・類型
①通常枠
・生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用を支援します。
・クラウド利用料を最大2年分補助し、保守運用等の導入関連費用も支援します。
②複数社連携IT導入枠
・10者以上の中小企業・小規模事業者等が連携した、インボイス制度への対応やキャッシュレス決済を導入する取組等を支援します。導入や活用に向けた事務費・専門家経費も補助対象です。
③インボイス枠<インボイス対応類型>
・令和5年10月1日に開始されたインボイス制度への対応に特化した支援枠で、会計・受発注・決済ソフトに加え、PC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア導入費用も支援します。
④インボイス枠<電子取引類型>
・取引関係における発注者(大企業を含む)が費用を負担してインボイス対応済の受発注ソフトを導入し、受注者である中小企業・小規模事業者等が無償で利用できるケースを支援します。
⑤セキュリティ対策推進枠
・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているセキュリティサービスの利用料を支援します。
●IT導入補助金2024との相違点
①通常枠・複数社連携IT導入枠・インボイス対応類型において、導入関連費(保守サポートやマニュアル作成等の費用に加えて、IT活用の定着を促す導入後の”活用支援”も対象化)
②通常枠において、3ヶ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上であることを示した事業者の補助率を1/2から2/3に拡大
③セキュリティ対策推進枠において、補助上限を100万円から150万円に拡大
④セキュリティ対策推進枠において、小規模事業者の補助率を1/2から2/3に拡大

★新事業進出補助金

今年から始まる新しい補助金で、既存の事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援します。
この補助金は、従来あった事業再構築補助金に代わる位置付けの補助金です。
●補助上限額
従業員数20人以下 2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人 4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上 7,000万円(9,000万円)
※補助下限750万円補助率1/2
※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。
(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。)
新事業進出・事業転換を重点的に支援するための新たな支援措置が創設されます。
要件は、企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦や賃金要件などです。
補助対象経費は、建物費・機械装置費・システム構築費・技術導入費・専門家経費などで、建物費も対象になっていることが注目ポイントです。
●申請基本要件
中小企業等が、企業の成長・拡大に向けた新規事業(※)への挑戦を行い、(※事業者にとって新製品(又は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること)
①付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加
②1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円以上の水準
④次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等
の基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。
●補助対象経費:建物費、構築物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費
収益納付は求めません。
・基本要件②、③が未達の場合、未達成率に応じて補助金返還を求めます。ただし、付加価値が増加してないかつ企業全体として営業利益が赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還を免除します。

★中小企業成長加速化補助金

今年から始まる新しい大型の補助金で、補助上限額:5億円
飛躍的な成長を実現するため、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業の大胆な設備投資等を支援し物価高や最低賃金引上げへの対応、地方における持続的な賃上げを実現することを目的するものです。
要件は、売上100億円を目指すビジョン・潜在力・賃金要件などです。
補助対象経費は、建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費などで、建物費も対象になっていることが注目ポイントです。
2025年3月に 第1回公募要領公開予定です。

★大規模成長投資補助金

https://seichotoushi-hojo.jp/koufu/

昨年始まった超大型の中堅・中小企業向け補助金で、今年も2回程度公募される見込みです。補助上限額:50億円。補助率1/3以内
地域の雇用を支える中堅・中小企業が、足元の人手不足等の課題に対応し、成長していくことを目指して行う大規模投資を促進することで、地方における持続的な賃上げを実現することを目的としています。

補助対象者:中堅・中小企業(常時使用する従業員数が2,000人以下の会社等)
工場や物流センターの新設、販売拠点の新設、最先端機械の導入などに活用できます。
補助事業の要件:①投資額10億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
②賃上げ要件(補助事業の終了後3年間の対象事業に関わる従業員等1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上)
※持続的な賃上げを実現するため、補助金の申請時に掲げた賃上げ目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求めます(天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合を除く。事業者名は公表しない。)

補助対象経費:最先端の機械や省力化できる機械装置等の購入だけでなく、工場や倉庫、販売拠点などの新設や増築、ソフトウェアの購入や情報システムの構築、建物の建設・中古建物の取得、改修なども対象となります。
補助金交付が決定した企業の取り組み概要が参考になりますので、上記リンクより確認されると良いと思います。

最後に


2025年は、中小企業にとって非常に大きなチャンスとなる年と言えるでしょう。政府は、新型コロナウイルス感染症からの経済回復を加速させ、持続可能な成長を実現するため、数多くの補助金制度を創設・拡充しています。

2025年の補助金の特徴としては、以下の点が挙げられます。

新規の大型補助金が多数創設: 新事業進出補助金、中小企業成長加速化補助金など、大規模な投資を支援する新たな制度が誕生しました。
賃上げへの重点: 多くの補助金で賃上げが評価の対象となり、従業員の待遇改善を後押ししています。
デジタル化への支援: IT導入補助金など、デジタル化を促進するための支援も充実しています。
自由度の高い補助金と、製品リストから選択する補助金が併存: 新規事業進出補助金のように自由度の高いものと、中小企業省力化補助金のように製品リストから選択するものの両方が存在します。


補助金を活用する上でのポイントは以下の通りです。
早めの準備: 詳細が未定の補助金もありますが、早めの準備が重要です。
多様な補助金の中から、自社の状況に合ったものを選ぶ: 多くの補助金が存在するため、自社の事業内容や目標に合わせて最適なものを選択しましょう。
専門家への相談: 補助金申請は複雑な手続きを伴うため、専門家への相談も検討しましょう。


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