0〜3歳は脳神経系の獲得期。体を使って動物脳を鍛えよう!
猛スピードで変化する時代の中、保育者として50年もの長きに渡り、多くの子供の育ちと向き合い続けてきた筆者が、その深い知識と経験を通じて発見した〝生きる力の強い子に育てる〟為の子育て・保育の知恵を全てお伝えするブログ、現役園長の子育て応援記!
第2回のテーマは〝脳神経系〟の発達です。
【卒園生たちのその後】
みなさん、こんにちは。
子育て応援団代表のツッチーです。
半世紀の保育の中で、送り出した卒園生も多数に上ります。
自由な環境の中で乳幼児期を過ごした子ども達が、
将来どのような道を選んでいるのか。
子育て中の皆さんには、とても興味深いところだと思います。
卒園しても度々顔を出してくれる子供たち。
現状報告や思い出話など話題は色々です。
個人情報になりますので詳細はお伝えできませんが、
心に残る話を一つ紹介します。
「今の自分の根っこは幼児期にあります。」
というA君。どんなこと?と尋ねると、
「雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も、仲間と共に歩いた多摩川です!高校入試の際にこの話をしたところ、試験官は感動してくださり合格しました。」
とのエピソードを話してくれました。
もちろん彼の人間性から学力まで、申し分がなかったからだと思いますが、幼児期の体験がこんなにも彼の人生に関わっていることに、嬉しさと、責任ある仕事であると改めて感じました。その後、彼は京大へと進んでいます。
他にも、東大や六大学など、目的に合わせて大学は様々ながら、どの子もなりたい自分を持ち、進路を選んでいるのです。
その子たちが社会で活躍する姿も少し紹介しますと、
職業は、キャリア官僚、医師、教師、建設関係、
はたまたプロサッカー選手、プロレスラーから、保安会社の社長、もちろん保育園時代の思いから保育士になるなど、様々な場面で自己実現をしています。
ここでも立派に自分を持って進んでいます。
そんな卒園生たちへ、二十歳の誕生日には、
保育園から花束を贈る活動を続けていて、
子供達の育ちを大切に見届けています。
【ツッチー式/乳幼児期の脳神経系の進化とその獲得法】
人は、進化によって人間(大人)になります。
その進化の過程で、様々な力を獲得していきます。
乳幼児期は脳神経系、学童期は体力、中学期は筋力を獲得すると言われています。
今回は、私の専門であるところの乳幼児期に、
どの様に子供が脳神経系の発達を獲得していくのかをお伝えしたいと思います。
まず進化の過程において、〝個体発生は系統発生を繰り返す〟といわれていますが、人は生まれたら自動的に、
この進化のプログラム通りに成長するわけではありません。
前回( 前回の記事はこちら→)人間は環境の動物だとお話しましたが、
もし環境によって、進化の過程を飛び級してしまうと、その後に歪みが来る事も考えられます。
身近な所での例をひとつあげると、
転んだ時に手が出ないそのため、顔面の怪我か多いなんてことありませんか?
怪我をするから走らないで!と、声をかけて走ることを禁止する。
子供を信じられず手をつないで歩く。
これらは、周囲の大人(環境)が、進化の飛び級をさせている結果です。
そこで、しっかりと進化の過程をたどり、成長出来る〝環境〟を保障することが大切であると考えます。
ツッチー式保育では、0歳から5歳までの進化の獲得期を3期に分けてを考えます。
●第一の進化の過程 (生まれてから歩行獲得まで)
●第二の進化の過程 (歩行獲得から3歳まで)
●第三の進化の過程 (3歳から卒園期まで)
(※母の胎内での10ヶ月の進化を加えると、4期となります。)
この第一の進化、及び第二の進化の過程(0〜3歳期)で、
脳神経系のネットワークが80%出来上がると言われています。
脳神経系の働きが活発になるためには、
まず、身体をいかに使えるかです。
【身体の育ちは脳の育ち】
図を見て分かるように、大脳皮質全体に各身体の神経系が分布しています。
中でも、手・足・口の占める範囲は広い。老人の老いや、痴呆の始まりも足から手からと言われる由縁です。
半世紀、子ども達と向き合っている中で
二次元の体験が低年齢化したころより、
身体の使い方が不器用になり、
口先ばかりで頭での理解はあるものの、
繰り返し楽しむ力、工夫する力、想像力の弱さが
幼児期に目立つようになりました。
このような子ども達の育ちからも見て取れるように、
子どもは体験の中で、手・足・身体をしっかり使うことで、
大脳皮質全体が働き、脳神経系が発達することを確信しました。
【発達の順序は、動物脳から人間脳へ】
もう一つ重要なことは、脳の働きを発達させる順序です。
持って生まれる神経細胞の数は皆同じだけれども、
そこから突き出るシナプスがネットワークを作り、
その張り巡らしが賢さに繋がるというのは、
ご存知の方も多いと思いますが、
ただし、この乳幼児期(0歳から3歳頃まで)に発達させるべきは〝動物脳から〟であることを知ってほしい。
脳の中心には動物脳、その周りに人間脳があります。
まず動物脳を(0歳から3歳頃まで)体験・体感でしっかり働かせてから、
人間脳が(4歳ころより)働き始めます。
人は自由になった手、足を使い、体験の中で成功、失敗を繰り返し、様々な力を獲得してきました。
乳幼児期はまさにその第一歩なのです。
大人はついつい子どもに、言葉で指示をしてしまったり、転ばぬ先の杖を出してしまったりですが、
子供が自らの体験によって、この動物脳をしっかり働かせることで、生きる力がつくことを知って欲しい。
先ずは動物脳をしっかり働かせてから人間脳を獲得する。
発達には必ず段階があるのです。
早く早くと子供時代の成長を急がさないこと。
乳幼児期の進化では動物脳をしっかり働かせる環境を保障することで、力強くしなやかな身体作りを目指していきたいですね。
次回から、ツッチー式保育について具体的にお伝えしていきます。