漫画家批評④板垣恵介 未来が過去を創っていく

漫画家を単体として観察して、作品ぜんたいにわたって見て取れる事柄を考えていく漫画家批評のシリーズ、今回は、漫画家では真鍋昌平と並んでぼくのなかでは最重要人物である板垣恵介だ。
だが、板垣恵介にかんしてはこれまでのようにはいかない。というのは、この漫画家のキャリアがほぼバキシリーズ、あるいは格闘漫画で埋め尽くされており、板垣恵介について考えるということとバキについて考えるということのあいだにほとんど差がないからである。別にそれはそれでけっこうなことというか、作家は作品にすべてを託して世界を再構築していくのだから、究極的にそうなるのは自然なことなのだが、ここでいっているのは記事の作法の問題で、ブログでは基本的にテクスト論、作家を存在しないものとして、作品のみから新しい事柄を読み取っていくことをしていて、それを踏まえていればこそ、noteでは作家論をやろうというはなしになったわけである。しかしそんなことをいっていてもはじまらないので、とりあえず書き始めてみる。


■ 目次
・ メイキャッパーに見えるバキの原型
・ 檄! 美意識をどこに置くのか
・ バキ 勇次郎が体現するもの
・ 現在が過去の意味を明らかにする
・ 餓狼伝・その他について

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