書評 田上孝一『はじめての動物倫理学』
『人形の家』書評でもちょっと触れたが、ルッキズムと動物倫理は強い葛藤を呼び込む議題だ。ひとことでいえばその葛藤は、「理解」と「実践」のあいだにある気の遠くなるような距離を示すものである。それは、いまこの瞬間のわたしたちのふるまいにおいて、動機や前提となるような価値観や原理が転覆すること、そしてそれに直面するということにほかならない。ルッキズムは、外見によって評価を下す行為が差別につながっていくことを告発する思想である。初期衝動的には、その評価が低く見積もられることに関してルッ