サピ全【3章残り〜4章】
今日も深読みの続きです。
狩猟採集民の生活
結論としては、狩猟採集民の生活については、推察の域を出ない。
かなりおもしろい事例は紹介されている。
特にロシアのスンギルの2人の子供たちの豪華な埋葬のエピソードは面白い。大量の象牙製のビーズをなどを顔料で装飾したものとともに弔われていた化石がある。解釈の域を出ないが、社会的なヒエラルキー構造や芸術への意識、はたまた生贄説などの解釈ができる根拠となっているそう。
戦争か平和か、それぞれの地域や時代で変化していただろうとする、両者の根拠になりうる化石が見つかっている。ただ、彼らはアニミズム的な感受性を持っていたのは、どの集団でも共通だったというのが意見のある程度の一致はあるようだ。
アニミズムは、世界の形作るすべての対象に精神や魂が存在する、つまり自分という存在を、他の対象からも意識されるという感受性のことだろうと理解している。人以外の対象からも視線と意識を感じられることは、行動様式に大きく違いがあるはずである。
そして、時代が下るにつれて定住し、もっと大規模な集団を形成するようになったとき、私たちは「神」という絶対的な存在から見られる感受性が必要だったのだろう。
4章
人類が、オーストラリアに達したのをもって、すべての大陸を制覇した。
生態系は、めちゃくちゃに変化したようだ。当時のコアラの体長は、今のコアラの3倍はあったのではないかとも言われているらしい。おもしろいな。
破壊
オーストラリは原始のままの、植生と大型動物が残っていたようだが、狩猟技術が向上していたためと焼き畑農業を会得していたため、激烈に自然環境に圧力が掛かったと説明されている。
マジか!と思ったのは、オーストラリアでユーカリの木が栄えている理由である。植物の化石記録ではユーカリは珍しいものだったらしいが、火に強いユーカリは、人類の焼き畑にも耐えて繁殖したとの説明だ。そしてユーカリが好きなコアラもついてきたと。はぁ気にしたことなかったけど、おもしろすぎるやろ。もちろん気候変動が大きな影響だったとする説もあるようだ。
だが、南北アメリカ大陸や、19世紀にヒトが発見したマダガスカル島でも、ヒトの入植前後で大型動物の絶滅が観察されていることからも、ヒトが生態系の多くを破壊したことには間違いなさそうである。
だからどうというわけではないが、著者は学者らしく「私たちの祖先は、自然と調和して暮らしていたと主張する環境保護運動家を信じてはならない」と警告している。
放射年代測定法
なんとなくは知っていたけど、有史以前の年代測定法を改めて調べてみた。
すげーな、科学者って。