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リモートワークが作る5つの新しいトレンド

うちの会社では2月25日からリモートワーク(Work From Home = WFH)を始めました。以前より東京オリンピックに向けて週一回のWFHを行っていましたが、コロナウイルスの感染者数増大を受けて基本的にWFHを推奨する体制に移行しました。もちろん必要に応じて客先に行ったり、オフィスに近いところに住んでいるメンバーはオフィスで働いていますが、基本的にはWFHがベースの働き方になりました。

ちょうどWFHへの移行から1週間経ち、いろんな気づきがあったのでまとめておきたいと思いこのノートを書きました。これからWFHに移行する企業のみなさんへの参考にもなればと思います。

まず、仕事し過ぎる笑

通勤時間がない、家に話す人もいない、トイレもすぐそこ、ということで朝起きたら基本的にすぐ仕事モードでそこからずっと仕事することになる。特に僕は朝食を食べないので、ランチまでずっと仕事しっぱなしになる。うちの会社は本社がイスラエルにあり、普段から会議はZoom(今主流のオンライン会議システム)で行っていたため、WFHに移行しても特に違和感なく日本チーム社内での会議もZoomで行えている。社内のコミュニケーションはSlackで行い、プロジェクト管理はAsanaで行う。なので実はオフィスに行かなくても仕事はできてしまう。そして移動時間も無駄話をする相手もいないので、結果仕事し過ぎてしまう。効率が良いのは間違いない。でも気をつけないといけない。特にこのnoteを読んでくださっている方がピープルマネジャーの場合は。過ぎたるは及ばざるがごとしで、長くこの環境が続くことを想定し、精神衛生に気を遣う必要があるだろう。無駄話をできる空間をオンライン上に作ったり、何気ない会話をSlackなりなんなりでメンバーとできる雰囲気や仕組みを作る必要がある。

結果、太る笑

ずっと仕事し続けている。ジムでの感染が報じられている中、ジムにも行けない。駅までや駅から歩くこともない。結果的に太る。本当に。これは気をつけないといけない。なので僕は、朝起きて子どもを学校に送り出しつつ1時間ほど仕事してから朝ランすることにした。チームメンバーにも時間を見つけて運動することを推奨している。

WFHを経験する人が増えていくと、仮にコロナウイルスが収束したとしても、WFHが部分的に受け入られるようになり、そこから派生していろんなトレンドが生まれてくるでしょう。以下は僕の実体験から考える、今後の働き方に関するトレンドの変化です。

ワークライフバランスからワークライフインテグレーションへ

WFHの場合、ワークライフバランスが改善されるということも言われるが、僕は少し違った見方をしていて、ワークライフバランスからワークライフインテグレーションへの移行が起こるんだと思う。ワークライフバランスとは、左側と右側にワークとライフがあって、それらが左右でバランスが取れている(釣り合っている)状態だけど、ワークライフインテグレーションとは、ワークもライフも渾然一体となった状態。例えば僕の場合だと、朝起きたら歯磨きしながらスマホで就寝中に到着してたメールやSlackメッセージを確認し、必要なものは返信し始める。家族の朝ごはんの準備をし、自分はコーヒーを飲みながらメッセージへの返信を行う。その後1時間ほど朝ラン。帰ってきたらシャワーを浴びてPCを開ける。この時点で大体9時半ごろだ。こんな感じで仕事と生活が混ざり合って存在する。うちは奥さんも働いているので、日によっては子どもの習い事への送迎も行う。そのタイミングで会議が入っている場合も、スマホをダッシュボードにセットしてZoomで会議に参加する(その間、子どもたちには静かにしてもらう必要がありますが笑)。そしてそれが時間でもなく場所でもなく、成果で評価されることに繋がっていく。

ローカルコミュニティの復興

どれだけWFHが進んでも、人は食べずには生きていけない。でも人が多い大きなレストランに行くのも気持ちが憚られる。ということで家の近くにある小さなレストランやカフェで食事する機会が増える。実際、自分の家の近くにある個人経営のレストランは以前より売り上げが伸びているという(もちろんこれは立地にも影響されるだろう)。

朝から家にいるので、家の周りを散歩したりすることも増える。するとお隣さんと話して実は趣味が共通してることが分かったり(もしくは趣味が共通してるのは知ってたけど、改めてそれについて話す時間ができたり)、近所のおじいさんおばあさんがゴミ出ししてるのを手伝ってあげたり、近所のお子さんと自分たちの子どもが遊ぶのを一緒に眺めながら親同士で話をしたり。ローカルコミュニティの復興と書いたが、もしかしたらローカルコミュニティは以前から存在していたにも関わらず、働く親たちがその存在に気づいていなかっただけかもしれない。今後はよりローカルコミュニティの中での助け合いやコミュニケーションが活発化していくだろう。

男性の家事への参加

平成29年に内閣府男女共同参画局が発表した資料「「平成28年社会生活基本調査」の結果から~男性の育児・家事関連時間~」によると、共働き世帯およびいわゆる専業主婦世帯問わず、男性の家事参加時間は非常に少ない。

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日本の男性の家事への参加時間の少なさは世界各国で比較するとよく分かる。右側が世界の夫の育児家事参加時間数の国ごとの比較だ。

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WFHが進むと、恐らく男性の家事参加率は少なからず向上すると思われる。自分自身でもこの1週間、食器を洗ったり、洗濯したりする時間が確実に増えた(奥様、共働きにも関わらず今まで頼りっぱなしですみません)。やはり、目の前でお皿がシンクに溜まってたりするのは嫌だし、男性も積極的に"職場環境”の整備に乗り出すのではないだろうか。そしてその過程で、「こんなに家事を任せていたのか」と奥様をリスペクトする場面も増えるだろう。

出生率の上昇

夫の妻へのリスペクトが増え、妻も夫のサポートに感謝し、仕事のハードさも理解し合い、結果夫婦関係が改善するケースが増えるだろう。通勤時間がなくなり、家の中で食事する機会も増え、家族といる時間が増える。そして家族で助け合い、触れ合い、改めて愛が育まれ、、、出生率が上昇するのではないだろうか。

実はこれは荒唐無稽な話ではなく、家事・育児参加時間が子作りに影響を与えているという数字が出ている。以下は厚生労働省が出しているレポートから「夫の休日の家事・育児時間別にみた第2子以降の出生の状況」に関するグラフだ。これを見ると分かる通り、男性の家事・育児参加時間が増えるに連れ、第二子の出生可能性が大きく増えていることが分かる。

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これは休日の家事・育児の男性の貢献度と出生の可能性の相関を表したものなので、仮に平日も家事・育児に男性が参加するとなれば、より出生率は改善するのではないかと思われる。

そして「どこに住むか」が重要になる

WFHという名前の通り、家から働くことになるので終日家にいることになる。となると、どこに住むかが根本的に重要になる。そこが「全て」になるからだ。ワークライフインテグレーションが進む中、仕事以外、自分は何がしたいんだろう。そう自問し、ある人は波乗りしたいから海の近くへ、ある人は山に登りたいから山の近くへ(もしくは山の中へ)引っ越すかもしれない。そうなると、そこは必ずしも東京ではなく、いやむしろ東京ではない可能性が高い。そうなるとコンテンツのある地方(全ての地方が均一にというわけではない)に人が移動し、地方が復興していくだろう。

地方に移住すると、小松製作所の事例にもある通り、出生率は大きく改善する。先にあげた家事育児への男性の貢献が増えることによる出生可能性の上昇と合わせると、WFHはかなり日本の未来に大きく影響を与える変化だと言えるだろう。

以上、リモートワーク、WFHがもたらすトレンドや人々の意識の変化について思いを馳せてみた。一部推測を出ないと思われる箇所もあるかもしれないが、全て自分の1週間の経験からひらめき導き出したもので、あながち間違ってはいないだろう。

もちろんWFHを実施するにあたり、社内ルールやツール、また評価制度、そして家庭における労働環境の整備(実際、お子さんのいる家庭では、自宅だと集中できないという声も上がっている。特に今週から学校がお休みとなる中、自宅労働環境の改善は必須だろう)は必要で、実施までに時間がかかる企業も数多いと思う。また全ての企業でWFHが実施できるわけではないことも承知している(私の奥さんも接客業なのでWFHとは全く無縁だ)。しかし、物理的に可能である限り、WFHは試すに十分に価値のある施策だ。このnoteがまだWFHに取り組まれていない皆さんの背中を少しだけでも押すことになればと思う。

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