論文メモ 家の暖かさと高血圧・CVDとの関連。断熱改修はコスパ的に見合うものか?


Effect of living in well-insulated warm houses on hypertension and cardiovascular diseases based on a nationwide epidemiological survey in Japan: a modelling and cost-effectiveness analysis

要旨
はじめに:心血管疾患(CVD)は寒い家でより多く見られ、その原因の一部は寒さによる高血圧です。断熱や暖房は寒さを軽減するための合理的な戦略ですが、初期費用や運用コストが高いことが大きな障壁となっています。そのため、本研究では、断熱性の高い暖かい家に住むことの費用対効果を評価することを目的としています。

方法:室内温度と血圧、および血圧と心血管疾患の関係に基づく経済モデルが開発されました。5つのシナリオが提示されました。ベースシナリオ(シナリオ0:日本で最も一般的な断熱レベル(グレード2)と室温(15℃))、40歳以降に断熱を改善して暖かい家に住む2つのシナリオ(シナリオ1-1:グレード4&18℃、シナリオ1-2:グレード6&21℃)、そして60歳以降に家全体を断熱改修し暖かい家に住む2つのシナリオ(シナリオ2-1:グレード4&18℃、シナリオ2-2:グレード6&21℃)です。10万組の仮想の夫婦ペアを対象に、断熱工事、暖房、医療費の生涯コストと健康調整寿命年(QALY)を調査するためにモンテカルロシミュレーションが行われました。

結果:断熱改善シナリオに関して、シナリオ0と比較して、シナリオ1-1と1-2はそれぞれ生涯コストを26万円と84万円増加させる一方で、夫婦の健康寿命をそれぞれ0.31 QALY、0.48 QALY延ばしました。増分費用効果比は、QALYあたり500万円の閾値を下回っていました。断熱改修シナリオに関しては、確率感度分析により、支払意欲が650万円以上に達した場合、シナリオ2-2が最も費用効果の高い選択肢として浮上しましたが、これは閾値を超えています。

結論:断熱を改善して暖かい家に住むことは費用対効果の高い戦略となり得ます。断熱改修を行う場合、部分的な断熱改修などの低コストの方法を考慮すべきです。これらの結果は、住民や政策立案者の意思決定を支援するものです。

 →こうなると、断熱改修に補助金つけてでも国民に断熱改修やってもらった方がいいという考えもありますよね。石破政権、田舎のミクスの1つとしてやってくれないかしら。

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