たった2回、いや1回の点滴で10年の骨折リスクが半減!?閉経後女性の新たな骨粗鬆症予防法/NEJM
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50〜60歳の女性における低頻度ゾレドロン酸投与による骨折予防
著者:
Mark J. Bolland, M.B., Ch.B., Ph.D.、Zaynah Nisa, B.Nurs.、Anna Mellar, B.Sc.、Chiara Gasteiger, Ph.D.、Veronica Pinel, M.D.、Borislav Mihov, B.Phty.、Sonja Bastin, M.B., Ch.B.、Andrew Grey, M.D.、Ian R. Reid, M.D.、Greg Gamble, M.Sc.、Anne Horne, M.B., Ch.B.
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発表日: 2025年1月15日
掲載誌: New England Journal of Medicine 2025;392:239-248
DOI: 10.1056/NEJMoa2407031
背景
ゾレドロン酸は、12〜18か月ごとに投与することで高齢女性の骨折を予防することが知られている。しかし、骨密度と骨代謝に対する効果は5年以上持続するため、閉経初期の女性において低頻度投与が椎体骨折を予防できるかは明らかではない。
方法
本研究は、50〜60歳の閉経初期女性を対象とした10年間の前向き二重盲検無作為化プラセボ対照試験である。対象者は、腰椎、大腿骨頸部、または股関節の骨密度Tスコアが0未満〜−2.5超(通常、−1以上は正常範囲とされる)である女性とした。
参加者は以下の3群に無作為に割り付けられた。
ゾレドロン酸–ゾレドロン酸群: 初回と5年目にゾレドロン酸5mgを静注
ゾレドロン酸–プラセボ群: 初回にゾレドロン酸5mgを静注し、5年目はプラセボを投与
プラセボ–プラセボ群: 初回および5年目の両方でプラセボを投与
脊椎X線撮影は、ベースライン、5年目、10年目に実施した。
主要評価項目は形態学的椎体骨折であり、ベースライン画像と比較して椎体高の20%以上の変化を伴う骨折と定義した。
副次評価項目は脆弱性骨折、すべての骨折、主要な骨粗鬆症性骨折とした。
結果
合計1,054名(平均年齢56.0歳)が登録され、10年の追跡を完了したのは1,003名(95.2%)であった。
新規形態学的椎体骨折の発生率は以下のとおりであった。
ゾレドロン酸–ゾレドロン酸群: 6.3%(22人)
ゾレドロン酸–プラセボ群: 6.6%(23人)
プラセボ–プラセボ群: 11.1%(39人)
相対リスク(RR)は以下のとおりであった。
ゾレドロン酸–ゾレドロン酸 vs. プラセボ–プラセボ: RR = 0.56(95%信頼区間[CI], 0.34–0.92; P=0.04)
ゾレドロン酸–プラセボ vs. プラセボ–プラセボ: RR = 0.59(95% CI, 0.36–0.97; P=0.08)
その他の骨折リスクに関する比較:
脆弱性骨折: ゾレドロン酸–ゾレドロン酸 vs. プラセボ–プラセボ: RR = 0.72(95% CI, 0.55–0.
おじさん医師・公衆衛生研究者の感想
・まずRCTで10年追跡したのがすごいなと思った(疫学者的な感想)
・5年目はプラセボでも効果は変わりなさそう=5年目の投与は不要、なので、かなりコスパよさそう(医療経済っぽい解釈)
・現状の日本では、骨粗しょう症の内服をもらうために1~3か月に1回通院している人が大量にいると思われるが、それにかかわる行為をすべて削減できる可能性があり、医療経済的にも、労働損失的にもかなり重要な知見なのでは、政策担当者にはぜひ理解して政策に反映させてほしい(整形内科医と薬局が涙目必至)
・「骨代謝マーカーみてないからなんともいえない」とかいう人がいそう(特に基礎実験研究やっていた医師)だが、個人的にはそんなのはどうだっていいと思っている。重要なのは骨代謝マーカーではなく骨折の予防効果ですからね。
・一応人種による違いとかもありそうなので、日本でも同様の研究やってみてほしいし、その結果に基づいて、現実の診療を変えるような政策誘導をかけてほしい。
・で、この薬、いくらするんですかね。もし以下でいいならかなりやすい。一人7000円で10年の骨折が半減ってコスパよすぎるでしょ。
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