【論文】嚥下障害リハビリテーションを受けた誤嚥性肺炎の高齢者におけるDoor-to-Oral timeと院内アウトカム【日本】
Door-to-oral time and in-hospital outcomes in older adults with aspiration pneumonia undergoing dysphagia rehabilitation
https://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(22)00281-3/fulltext
背景と目的
誤嚥性肺炎(AP)は、高齢者における公衆衛生上の懸念事項である。これまでの研究で、入院後48時間以内の経口摂取の開始と誤嚥性肺炎患者の院内転帰の改善との関連が報告されている。我々は、嚥下障害リハビリテーションを受けた高齢のAP患者の24時間以内の経口摂取の開始と院内転帰との関連について検討した。
方法
本レトロスペクティブコホート研究は、2015年4月から2020年9月まで実施した。Door-to-oral time(D2O)を病院到着から最初の経口摂取までの時間と定義し、早期(24時間以内)、中期(24~48時間)、後期(48時間以上)に分けた。D2Oと院内転帰(経口摂取による退院(ロジスティック回帰分析),入院期間,初回経口摂取から退院までの日数(ロバスト分散推定を用いた一般線形モデルのあてはめ))の関連を検討した.
結果
AP患者398名のうち、142名(35.7%)が早期群、111名(27.9%)が中期群、145名(36.4%)が後期群に分類された。後期群と比較して,早期D2Oが経口摂取による退院の可能性が高いという十分なエビデンスは得られなかった(調整オッズ比=1.09,95%信頼区間[95%CI]:0.50~2.38)。早期群は、入院期間の短縮と関連していたが(調整長差[aLD]=-7.14日、95%CI:-10.80~-3.42)、最初の経口摂取から退院までの日数の短縮とは関連がなかった(aLD=-3.34日、95%CI:-6.91~0.24)。
結論
AP患者における24時間以内のD2Oは、経口摂取による退院の可能性の低下とは関連がなかったが、入院期間の短縮とは関連があった。APケアの質を落とさずに転帰を改善するためには、慎重な嚥下機能評価に基づいて早期の経口摂取を決定することが必要である。