日本の医療政策の基礎知識:非医療者向け、および、医者でも病院の中の医療や細胞ねずみ研究のみにコミットしてきたような医者向け
一般の人と話しても、医療と社会の関係って本当に理解されていないと感じます。
医療の専門家とされる医者も、おそらくか大多数が少なくとも開業前は「大きな病院での臨床+いわゆる基礎研究」のみではないでしょうか。そういう状況ですと、診療と研究において何が正しいのかががすべてとなってしまいがちですが、医療は当たり前ですが、社会が決めた様々なルールの中で動いていますし、医療も他の産業同様、売り上げと支出のバランスで経営を行っています。ここら辺のルールや経営の状況は、おそらくは20年前くらいまではあまり考えずとも、「いい診療」を考えていればよかったのかもしれませんが、社会全体が余裕がなくなっているのでかなり変化しており、ルールをちゃんと理解していないと、大きく間違えることになりかねません。
ということで、今回は、社会が決めた様々なルールの中の、国や都道府県の医療へのかかわり方についてAIに聞いたことをベースに項目+ちょっと解説資料を作成。
1. 日本の医療制度の基本構造
国民皆保険制度
全ての国民が何らかの公的医療保険に加入。
病気や怪我の際に一定の自己負担で医療を受けられる:原則3割負担。後期高齢者は1,2割がほとんど。生活保護は自己負担なし。保険の種類にかかわらずカバーされる医療行為・薬剤に差はないという謎の制度。
公的保険がまともな医療(標準治療)の大部分をカバー。
医療提供体制
医療機関は公的病院(公立直営・日赤や再生会等を公的とよぶ)と民間病院が混在(後者が9割)。
国が報酬含めた大枠を決めて、都道府県が医療提供を計画的に整備(するように民間病院含めて会議で調整する)。
2. 医療計画
目的
地域ごとに医療資源を適切に配置し、住民が必要な医療を受けられるようにする。
5疾患 6事業
医療計画では以下に重点を置く:5疾患: がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患。
6事業: 救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療。の5つだったがここに新興感染症も加わった
二次医療圏の設定
都道府県が「医療圏」を定め、各地域で必要な病床数や医療資源を調整。
統合するといわゆる基幹病院が減ります。選択と集中。
田舎にいると、まぁ都道府県で決めていいよなと思うわけですが、都会にいると、医療は隣の都道府県でというのも珍しくない。それが顕著なのが東京のまわり。
こういうのを見ると、都道府県という区分の限界というか制度疲労を感じる。道州制はやくやってほしいものだ。
医療については、コロナの時に話題になったが、都道府県知事が絶大な(過剰な?)権限を持つ。こういうのを見ていると、日本はすでに連邦制みたいだなとも思う(バランス悪いと思う)
3. 診療報酬制度
診療報酬とは?
医療機関が提供する医療サービスに対して支払われる報酬。点数制(1点=10円)。
診察、検査、手術など全てに点数が設定。
診療報酬改定
2年に1度、国が診療報酬の改定を行う。
医療費全体の増減や診療行為の評価を調整。
例: 在宅医療の評価を上げる、新技術を点数に追加する。
中医協(中央社会保険医療協議会)
厚生労働省に設置された組織。
医療者、保険者(保険会社や健保組合)、学識経験者が参加し、診療報酬を議論。
4. 保険者の役割と財政調整
保険者とは?
健康保険を運営する組織。主な保険者:全国健康保険協会(協会けんぽ)
健康保険組合(企業の健康保険)
国民健康保険(自営業者や無職者)
後期高齢者医療制度(75歳以上)
財政調整の仕組み
保険者ごとの負担に格差が生じないよう調整。
高齢者医療や重症患者の医療費負担を、全体で分担する仕組み(例: 後期高齢者支援金)。
というときれいに聞こえるが、現実は、民間組織の健保が、厚労省に言われた金額を差し出すことを強要されている・・・・以下のようにおかしいだろ!と説明されている。しかし正直無駄だと思う・・・財務省は民間健保をすべてつぶしたいんだと思う。。(しかし各健保に厚労省OBが天下りしているだろうから厚労省は抵抗w)
5. 都道府県の役割
医療提供体制の整備
病院や診療所の配置計画。
へき地医療や災害医療の対応
へき地医療については以下
医療機関の監督
医療法に基づき、医療機関の開設許可や監査を実施。
医療従事者の育成と確保
地域医療枠の導入や奨学金制度の運用。
医療人材が不足する地域への医師派遣。
6. 国の役割
政策立案と方向性の決定
医療費抑制、医療サービスの質向上を目指す。
例: 地域医療構想、働き方改革関連政策。
診療報酬と医療費の調整
中医協で議論し、医療費の総額を抑制する方針を採用。
公費負担医療の運用
特定の病気(例: 難病)や障害を持つ人に対する医療費補助。
7. 今後の課題
医師不足
特にへき地での医師確保。高齢化社会への対応
医療費の増大をどう抑制するか。地域格差
医療サービスの質やアクセスに地域差がある。
まとめ
日本の医療政策は、国と都道府県が連携して、医療資源を計画的に配置し、医療費を管理する仕組みが整備されています。
医療提供体制を支える診療報酬制度や、地域医療を推進するための政策が、私たちの医療現場に直接影響を与えています。