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あまりに正面突破な「公立・公的医療機関等を再編しよう!」という厚労省のマッチポンプ的愚行と宮城県登米市

2019年9月26日に厚労省が公開しました。

*赤旗をあえて選んだのは、長く記事が残っているかなーと思っただけで深い意味はありません苦笑 マスコミさんの中には1年すぎたらWEB記事を消すところもあるそうですから。

 全国の自治体などが運営する1652施設(2017年度実績)のうち、急性期病床などを持つ1455施設の診療実績を調べました。そのうえで、3割くらいの424施設が、「再編や統合の議論が必要」と判断されて、病院名が公表されました。対象となった医療機関には、来年9月までには何らかの対応をとるよう要請しています。目的は、地域ごとに効率的な医療提供体制を構築していくため、とされています。詳しい資料は厚労省のページで公開されています。


で、これは、登米市にとっては全然他人事じゃないんです。

https://note.mu/tsubo828/n/nd866850af03e


なぜなら「再編や統合の議論が必要」と判断された424施設に
▽登米市立米谷病院 

▽登米市立豊里病院

の名前が挙がっています。
ですので全く他人事じゃありません。
ちなみに登米市民病院は関係ないのか!と思う方いるかもしれませんが、厚労省が公開している資料を見るとわかりますが、ぎりぎり名指しされていないだけで、名指しされるかどうか瀬戸際だったといえると思います苦笑
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551037.pdf

他に名指しされている近隣の病院は、
▽涌谷町国民健康保険病院
▽石巻市立牡鹿病院
▽石巻市立病院
▽南三陸病院

などです。
登米市の方も多く利用するであろう、大崎市民病院や石巻日赤病院は、名指しされておりません。むしろかなり好評価です。

で、この厚労省の発表をうけて、日本中、ざわついています。
特に地方がざわついています。

なぜ地方かと言えば、名指しされた病院の多くが地方だからです。
たとえば、登米市の熊谷市長は「市として検討している最中だ。国のやり方でいいのかどうか、厚労省の指針の詳細を見た上で対応を考える」とコメントされているようです。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201909/20190927_11035.html


これは比較的平穏なコメントなのですが、石巻市立病院の椎葉健一病院長は、厚労省の発表翌日に、市役所で記者会見し、「(東日本大震災からの)復興に水を掛けるような印象だ」と不満を示しています。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201909/20190928_13025.html


このように病院長や市長が何かしらのコメントを出しているのは、登米や石巻だけではなく全国の名指しされた地域では見かけてます。
そういうことが日本各地でおこってしまったので、厚労省のそれなりの幹部が、各地方で、ご説明の会を行っております。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51591920Q9A031C1LC0000/


主には「混乱させてしまって申し訳ない。説明不足だ」とおっしゃっているようですが・・・・

厚労省的には、公的病院は公的病院だからこその役割を果たしてほしい
という考えがあるようです。

「・公的病院は公的病院だからこその役割を果たしてほしい」とは、何かといえば、まさに今回の評価の軸です。
「がん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期・災害・へき地・研修・派遣機能の9項目について、消化器悪性腫瘍手術、心筋梗塞などに対する急性期心臓カテーテル手術、脳卒中合計、救急車の受入台数、小児入院医療管理料・新生児集中治療室管理料などの分娩件数を診療実績」として、この実績ちゃんとあるかしら?ということを調べました。

これらは一般的に民間病院でカバーするのが難しい(規模も必要、あまりペイしない)ので、公的病院で対応しましょうとそもそもなっています。

登米で名指しされた病院は上記のような機能をはたしているでしょうか?

その意味で再考・再編してください、という意味です。
別に病院が不要だと言っているわけではないです。
上記以外の機能、つまり、リハビリ、高齢者の療養、在宅のためのベッド、透析・・・こういうのももちろん重要です。
ですが、それは別に公的病院じゃなくて民間でも十分できますよね?というスタンス意味です。

一般に民間の方が柔軟に対応できますし、患者さんのことを考えるのも民間ではないでしょうかね。


まぁあとは今回の名指しでは、前面には出ていませんが、財政のこともありますよね。
ご存知の通り、公的病院の多くは、赤字です。登米市もそうです。
ただ言っておきたいのは、私は、公的医療機関が赤字であることが悪だとは思っていません。
そもそも黒字でできるなら民間がやればいいわけで、それができないから公的病院が担うわけです。

ここら辺をもっとマスコミはわかりやすく報道してほしかったですね。


それと今回のこの分析は次の2点で不十分ではなかったかと思います。

1)2年前の情報で分析している内容である事
2)公的な病院だけであること。つまりいわゆる民間病院は対象外。

「2年前の情報」ということについてですが、まぁ2年前と今なら大して変わらないと思う人もいるかもしれませんが、、、

例えば、宮城なら、栗原の県立循環器呼吸器センターも名指しされていますが、もうないですよね苦笑 

それと前述の石巻市立病院長のコメントにもありますが、震災からの立ち上がりの途中で評価されても、ということもあり、2年問まえのことを、さも現状分析のように報道されても、ということもありますよね。

それと分析が、公的な病院だけ、というのも問題です。
公的病院というのは、日赤とか仙台の医療センターのような旧国立病院とかJCHOという社会保険病院、なども含めます。

宮城にはありませんが、秋田や新潟や長野などにたくさんあるJA病院、全国にある公益財団法人なども含まれて分析されています。
なのでかなり広範に分析しているようにも追われるかもしれませんが、日本のベッドの数で言えば、今回分析されたのは半分以下です。
日本全国でベッド数は156万床(2014年)もあるのですが、半分以上部85万床が民間です。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/14/dl/1-2.pdf
地域によっては、先ほど挙げた公的病院がやるべきとされている「救急やがん治療や循環器治療や小児救急など」をも、民間病院がメインで担っているところもあります。

というわけで、そもそも、地域の医療は公的なところだけでやっているわけではないです。
なのに公的病院だけで発表するのはおかしいですよねぇ。

この指摘には厚労省もうまいいいわけができなかったのか、民間病院の分析もこれから始めます、と答えたそうな。

じゃぁ最初から同時にやるべきだったと思いますが、、、

ここからは私の推測ですが、今回のこの分析(発表)の真の目的は、いわゆる財政状況が悪い地方の公的病院の統廃合を促す、ということだったのではないでしょうか。

でもそれは前面に出しにくいので、「公立病院が果たすべき機能」で評価、ということで発表したのではないかと。

なので対象が公的病院だけだったのかと思います。

で、結果として挙がっているのは、地方のあまり回転していない病院、と。


ちなみに今回の発表を受けて、突然の発表だと感じている人もいるかもしれませんが、全然突然ではないんです。
当たり前ですが、医療の政策の責任者である厚労省はこれまでもずっと医療の在り方、ベッドの数、病院の数について議論しています。
その中で、 政府は団塊の世代の全員が75歳以上になる2025年度に、必要なベッド数などを定めた「地域医療構想」というのがあって、多くの地域で、少子高齢化により集中的な医療が必要な「急性期」病床が過剰となり、リハビリや在宅医療につなげる「回復期」病床の需要が増加すると繰り返し言われています(こちらでは公立病院に限らず民間病院も含めて議論しているわけですが・・・・・?)。

しかし、宮城もそうですが、病院のベッドの急性期から回復期への転換は進んでいません。
で、今や、関係する法律がいろいろ変わりまして、地域の医療をどうするか、は、県知事の仕事とされています。
県知事は(昔はそうでしたが今は)国の下請けではないですので、厚労省であろうが、ベッドをどうするかは、命令する権利はないのです。

なので、こんかいのような厚労省の発表は、厚労省としては、よかれとおもいやったのかもしれませんが、やや勇み足なところがあったといえるでしょう。
加えて、指摘されている多くが市立とか町立とか国保病院とか、いわゆる公立病院なのですが、こういう公立病院の管轄って、厚労省ではなく総務省なんですよ、地方自治体なので。
これまで総務省による、公立病院改革ガイドラインなどが出されており、公立病院はそれに基づいて、これまで病院事業改革プラン 点検と評価 とか公表しているんです。
http://www.minamisanriku-hp.jp/PDF/2018/20181203future_plan_minamisanriku_hsp_hyouka.pdf
その他にも、県知事・県庁が主導してている「地域医療計画」といって、行政・地域の医療機関の管理者・医師会・大学教授などを集めて、県全体の医療をどうしていくか、ということも話し合っています。
そういう積み重ねがあるなかで、今回の厚労省の発表は、その様な積み重ね・流れを(無視したとは言わないまでも)完全に脇においておいて、「突然」霞が関から、地方の病院を名指しして、
「おまえは変わらないとダメだぞー!1年以内にコメント出せ!」
と言われているようなもので、怒ってしまうのも感情的には理解しますな・・・。

厚労省さんには、もっと、相手の立場になって、政策展開や発表を考えてほしいものです・・・・まぁ東京の人には地方の地方の生活者の気持ち・想いなんて想像もできないでしょうが・・・。

一般論ですが、公立病院・公的病院というのは、地方の地方においては、(相対的には)かなり優良な雇用の場です。

公務員や準公務員で、給与水準も高く、破たんの可能性も低く、良い職場なわけです。

地域の経済を回す原動力です。

住民の中にはそこで働く職員もたくさんいるわけです。

地方に行けば行くほどその病院が地域では一番大きな事業所であることも少なくないのではないでしょうか。

首長からすれば、公立病院は地域にとっては医療だけではなく、雇用・経済の源泉。しかもそれがある事で、交付税も入ってくる。

となればとりあえずキープ、するのが当然ではないでしょうか・・・。

もちろんそれをつぶすなんて言えば、次の選挙で当選しないことは確実でしょう。

田舎において、医療で失敗すると首が飛ぶといわれます。

地方においてそういうポジションである公立病院の意義を厚労省は理解していないのでしょうかねぇ。

正論たたきつけて解決しているなら問題はとっくに解決していますって。






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