応召義務に関連するメモ
応召義務(応招義務、おうしょうぎむ)は、日本の医師法および歯科医師法において医師・歯科医師の職にある者が診療行為を求められたときに、正当な理由がない限りこれを拒んではならないとする法令で定められた義務のこと。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%9C%E5%8F%AC%E7%BE%A9%E5%8B%99
応召義務の要件に関する行政の見解は昭和24年(1949年)の厚生省通達[注 1]で示されていた[1]。通達後70年がたち、医療を取り巻く環境の変化を反映するため、令和元年(2019年)12月の厚生労働省通達[注 2]で大幅な見直しが行われ、応召義務の範囲が大幅に狭められるとともに[2]、初めて「応召の義務は医師が国に対して負担する公法上の義務であり、医師の患者に対する私法上の義務ではない」ことが明記された[3]。
(WIKIここまで)
ってことで重要なポイントは、応召義務とは、
・医師が国に対して負担する公法上の義務
・医師の患者に対する私法上の義務ではない
ですね。
ここら辺をまず理解していないと何が何だかよくわからないと思う。個人的には、医師法で医師個人に結びついてしまっていることが混乱の原因だと思っている。医師法ではなく医療法で概念を定義して、応召義務は医師個人ではなく医療機関にお引越しさせればいいのに・・・
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000529089.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000581246.pdf
診療の求めに応じないことが正当化される場合の考え方
医療機関の対応としてどのような場合に患者を診療しないことが正当化さ
れるか否か、また、医師・歯科医師個人の対応としてどのような場合に患者を診療しないことが応招義務に反するか否かについて、最も重要な考慮要素は、患者について緊急対応が必要であるか否か(病状の深刻度)であること。このほか、医療機関相互の機能分化・連携や医療の高度化・専門化等による医療提供体制の変化や勤務医の勤務環境への配慮の観点から、次に掲げる事項も重要な考慮要素であること。
・ 診療を求められたのが、診療時間(医療機関として診療を提供することが
予定されている時間)・勤務時間(医師・歯科医師が医療機関において勤務
医として診療を提供することが予定されている時間)内であるか、それとも
診療時間外・勤務時間外であるか
・ 患者と医療機関・医師・歯科医師の信頼関係
2 患者を診療しないことが正当化される事例の整理
(1)緊急対応が必要な場合と緊急対応が不要な場合の整理
1(3)の考え方を踏まえ、医療機関の対応として患者を診療しないことが
正当化されるか否か、また、医師・歯科医師個人の対応として患者を診療しないことが応招義務に反するか否かについて、緊急対応が必要な場合(病状の深刻な救急患者等)と緊急対応が不要な場合(病状の安定している患者等)に区分した上で整理すると、次のとおりであること。
① 緊急対応が必要な場合(病状の深刻な救急患者等)
ア 診療を求められたのが診療時間内・勤務時間内である場合
医療機関・医師・歯科医師の専門性・診察能力、当該状況下での医療提
供の可能性・設備状況、他の医療機関等による医療提供の可能性(医療の
代替可能性)を総合的に勘案しつつ、事実上診療が不可能といえる場合に
のみ、診療しないことが正当化される。
イ 診療を求められたのが診療時間外・勤務時間外である場合
応急的に必要な処置をとることが望ましいが、原則、公法上・私法上の
責任に問われることはない(※)。
※ 必要な処置をとった場合においても、医療設備が不十分なことが想
定されるため、求められる対応の程度は低い。(例えば、心肺蘇生法等
の応急処置の実施等)
※ 診療所等の医療機関へ直接患者が来院した場合、必要な処置を行っ
た上で、救急対応の可能な病院等の医療機関に対応を依頼するのが望
ましい。
② 緊急対応が不要な場合(病状の安定している患者等)
ア 診療を求められたのが診療時間内・勤務時間内である場合
原則として、患者の求めに応じて必要な医療を提供する必要がある。た
だし、緊急対応の必要がある場合に比べて、正当化される場合は、医療機
関・医師・歯科医師の専門性・診察能力、当該状況下での医療提供の可能
性・設備状況、他の医療機関等による医療提供の可能性(医療の代替可能
性)のほか、患者と医療機関・医師・歯科医師の信頼関係等も考慮して緩
やかに解釈される。
イ 診療を求められたのが診療時間外・勤務時間外である場合
即座に対応する必要はなく、診療しないことは正当化される。ただし、
時間内の受診依頼、他の診察可能な医療機関の紹介等の対応をとることが
望ましい。
(2)個別事例ごとの整理
1(3)の考え方を踏まえ、医療機関の対応として患者を診療しないことが
正当化されるか否か、また、医師・歯科医師個人の対応として患者を診療しないことが応招義務に反するか否かについて、具体的な事例を念頭に整理すると、次のとおりであること。なお、次に掲げる場合であっても、緊急対応が必要な場合については、2(1)①の整理により、緊急対応が不要かつ診療を求められたのが診療時間外・勤務時間外である場合については、2(1)②イの整理による。
① 患者の迷惑行為
診療・療養等において生じた又は生じている迷惑行為の態様に照らし、診
療の基礎となる信頼関係が喪失している場合(※)には、新たな診療を行わ
ないことが正当化される。※ 診療内容そのものと関係ないクレーム等を繰り返し続ける等。
② 医療費不払い
以前に医療費の不払いがあったとしても、そのことのみをもって診療しな
いことは正当化されない。しかし、支払能力があるにもかかわらず悪意を持
ってあえて支払わない場合等には、診療しないことが正当化される。具体的
には、保険未加入等医療費の支払い能力が不確定であることのみをもって診
療しないことは正当化されないが、医学的な治療を要さない自由診療におい
て支払い能力を有さない患者を診療しないこと等は正当化される。また、特
段の理由なく保険診療において自己負担分の未払いが重なっている場合に
は、悪意のある未払いであることが推定される場合もある。
③ 入院患者の退院や他の医療機関の紹介・転院等
医学的に入院の継続が必要ない場合には、通院治療等で対応すれば足りる
ため、退院させることは正当化される。医療機関相互の機能分化・連携を踏
まえ、地域全体で患者ごとに適正な医療を提供する観点から、病状に応じて
大学病院等の高度な医療機関から地域の医療機関を紹介、転院を依頼・実施
すること等も原則として正当化される。
④ 差別的な取扱い
患者の年齢、性別、人種・国籍、宗教等のみを理由に診療しないことは正
当化されない。ただし、言語が通じない、宗教上の理由等により結果として
診療行為そのものが著しく困難であるといった事情が認められる場合には
この限りではない。
このほか、特定の感染症へのり患等合理性の認められない理由のみに基づ
き診療しないことは正当化されない。ただし、1類・2類感染症等、制度上、特定の医療機関で対応すべきとされている感染症にり患している又はその疑いのある患者等についてはこの限りではない。
⑤ 訪日外国人観光客をはじめとした外国人患者への対応
外国人患者についても、診療しないことの正当化事由は、日本人患者の場
合と同様に判断するのが原則である。外国人患者については、文化の違い(宗教的な問題で肌を見せられない等)、言語の違い(意思疎通の問題)、(特に外国人観光客について)本国に帰国することで医療を受けることが可能であること等、日本人患者とは異なる点があるが、これらの点のみをもって診療しないことは正当化されない。ただし、文化や言語の違い等により、結果として診療行為そのものが著しく困難であるといった事情が認められる場合にはこの限りではない。