遠くない将来の医療制度の崩壊から、あるべき医療制度~地域の在り方を妄想する。
https://seniorguide.jp/article/1022341.html
国のデータを引くまでもなく日本の医療費の右肩上がりはすごいです。
国民の数もGDPも減少~停滞している中で、医療費だけが右肩上がりって、成立するわけないですよねぇ。
いつかはキャッシュフローが回らなくなる時が来るのでしょう。
それは「医療費が60兆円になったら」とかカットオフがあるわけではなく、政治決断に依存するのでしょう。
なんとなくですが、それはさほど遠くない未来に思えます。
そうなると「いままでの医療のやり方」では回らなくなります。
どこかで効率化・いろんな分配のやり直し(広く言えばリストラ)、することを求められます。
その様なリストラ、どう行うべきでしょうか。
最悪なリストラは、「米国みたいに、皆保険をやめて民間保険でやる。値段は保険次第」ではないかと思います。
その様な状況下では、要するに「金無い人は医療受けれないっす」となることでしょう。
それは国民としても辛いですし、現場の医療者としても極めてストレスフルであることは想像に難くありません。
絶対に避けなければならない「未来」であると思います。
ではどうあるべきか。
個人的には「(リスク調整を行う)一人当たりの総額制度」であると思います。
つまり「Aさんの年間の医療費は、予防も健診も検診も外来も入院も含めて、年間5万円です。」というような制度。
これを地区ごとに行う。
つまり、例えば「X地区の住人は、T保健センターで、予防も健診も検診も外来も入院も含めて、対応します」となり、T保健センターに、X地区の住民全ての予算が国から支給され、その予算で、サービスを提供します。
T保健センターには、医師、ナース、薬剤師、リハビリスタッフ、事務職員・・・いろいろいますが、どういう職種を何人揃えるのかは、その保健センターが自由に決めます。
T保健センターは、すべての初療・検診・検診・予防・継続外来・訪問診療・高次病院への紹介などを行います。
高次病院の予算は、T保健センターをはじめとする複数の地区保健センターが出資して運営します。
地区協同組合病院のイメージです。
保健センターは市区町村に複数あるところもあるでしょうし、人口の少ない町村では単独で持つ必要もなく、近隣行政区にあるところもあるでしょう。
行政区域にこだわる必要はないと思います。
上記のような総額制度は医療費に限る必要はないでしょう。
介護費も同じスキームに入れることはできます。
介護だけではなく生活保護・住宅費・救急車の費用、ここら辺も全て統合されるべきと思います。
日本はここら辺の統合がされないので「とりあえず救急車」「施設よりも病院の方が自己負担が安いから入院がいい」というような、不適切なサービス利用が続いてしまいます。
このような不適切な利用は、縦割りにより制度設計の失敗なので、その様な動きをする個人を責めるのではなく、制度を改めるべきではないでしょうか。
このようにすることで、あとは何もしなくとも、サービスるの適正利用、多職種連携・タスクシフト、などが勝手に進むのではないでしょうか。
例えば、インフルエンザなどのワクチン接種は、医者がやる必要はないでしょう。
医者に会うことなく、一定のトレーニングを受けた薬剤師やナースが単独で実行します。米国ではすでに実施されています。問題ないです。
日本は今後亡くなる人が増えます。
全ての看取りを医者に、としていたらやはり医者も足りません。
特に在宅での予定された看取りは、一定のトレーニングを受けた薬剤師やナースが行えばいいでしょう。
看取りは標準化された行為です。
不安であればまずは2名体制で行えばいいかと思います。
外来については、初診も安定した慢性疾患(喘息、高血圧、糖尿病、脂質異常症など)の継続は、やはり研修を受けた薬剤師やナースでの対応で十分でしょう。
彼らが必要に応じて、医師に相談できればいいでしょう。
当初はすべて医者がカルテチェックを行えばいいでしょう。
処方は、T保健センター内で行います。
現在のように、もう一度他の薬局で受付をして待つということはなくなります。
急ぎではない人は、後日、ドローンや、地区の人が配送します。
医療や介護の記録(カルテ)は、自分や家族の分は、スマホから見ることができるようにしましょう。
紹介状という紙もなくなります。
現状では、紹介状を作成すると、3-5000円くらいの自己負担が発生していますが、その様な無駄なコストもなくなります。
地区保健センターには、病児保育も併設します。
子育て支援センター・幼稚園・学童・塾・英会話・体操教室・水泳教師・バレー教室介護サービス事業所・など多くの交流施設を同じ敷地内に整備することで、利便性を高め事務機能の高率化を行います。
学校給食センターも統合併設し、ランチはもちろん、夕食用に総菜の販売や、朝食の提供も行います。子ども食堂も兼ねます。広い食堂は、学童もかねて、子どもが宿題をやることもできます。
できれば小学校・中学校・高校も近くに欲しい。
あ、いわゆる障害がある子は、特別学級ではなく、一般小学校・中学校・高校で受け入れます。
いわゆる医療的ケアな必要な子には、ナースその学校に配置します。その責任は、市区町村です。
このように施設を統合することで、公共交通機関も整備・運営しやすくなります。
もちろんuberや自動運転も利用します。
上記の運営に、地元の高校・中学生・小学生を、広く受け入れます。短期~長期はその人の自由です。
この目的は、地域住民に対する情報公開や説明責任にもなりますし、子どもの社会人になる準備ににもなります。
上記のようなものを、日本のエリートに作らせると、味気ないつまらない施設ができてしまいそうなので、常にアートの視点を入れるよう、担当デザイナーをつけ、アートな楽しい施設になるようにします。
と、思うままに書き連ねましたが、あとは何を追加しましょうかね?
●追記
医療制度を考えるうえで、諸外国の制度を理解することは極めて有用です。
日本の報道では、今の皆保険か、それがだめなら米国の民間保険かーみたいな究極の二タクのような議論をよく見ますが、世界の医療制度は国により全然違うので、もっと選択肢はたくさんあります。
いろいろ本はありますが以下の本がおすすめです。日本にDPC制度を導入した松田先生の本ですね。このテーマではこの本ですが、松田先生の本はすべてお勧めします笑
以下で紹介されているACO、これも興味を持ちました。
上記ではACOは、日本では地域医療連携推進法人かな?とありましたが、仮にそうだとしても、日本では、保険者の自由度も権力もないので、地域医療連携推進法人が保険者と連携・契約して、記事にあるようなことは現実は無理でしょうけど、頭の体操にはよい記事かなと思いました。もっとも米国でACOが成果が出せるのは、現状の医療がひどすぎて伸びしろが大きすぎるから、というのがあると思います。米国で遠隔医療が普及するのと同じですね。医療アクセスが悪すぎるから普及するんです。日本は医療アクセスが良すぎるので普及しません。