シロが教えてくれたこと
「#シロとの出会い」
「#小説連載」
「#ねこ」
「#楽しい」
2.シロとの生活がはじまった
シロがきたのはまだまだ寒い冬。2月の節分が終わっ
たあとだった。
お父さんとお母さんと一緒に豆まきしたあとに、シロと出会ったから特に覚えている。
もしかしたら、
「福はうち!!」の福はシロだったのだろうか?
お父さんとお母さんが大切にシロを抱きながら私にこう話してくれた。
「みさちゃん、この子は本当に可愛いでしょ?
本に似ている子ねこちゃんを探してもらったのよ。」
私は思わず嬉しくて、笑みがこぼれる。
続けるようにお父さんがこう話した。
「みさ、いのちってわかるかな?みさが本で見ていたねこは、ご飯も食べないからうんちもでないよね。文句だって言わない。いたずらもしないよね。」
優しい声でお父さんは続けた。
「本の子はみさがお世話しなくてもずっと、そのまま変わらないけど、このシロは違うんだ。ご飯を食べさせてあげないと死んでしまうんだよ。」
「せっかく、みさのところにきてくれたのに、それは悲しいね。わかるかな?みさ。」
私は真剣にお父さんの話に耳を傾けた。
「だから、みさがシロを大切に思うなら、さいごまでしっかりシロのお世話をしなければいけないんだよ。」
「みさは今日からこの子の大切なパートナーになるんだよ。お世話もできるかな?」
私は、「うん。」と頷いてお父さんに自分の気持ちを精一杯伝えた。
うまく話せない私は、私の小さなからだを使って、シロを包みこむしぐさをして見せたり、あとは…指と指でハートを作ってみせたり、手でシロを優しくなでてみたりもした。
その様子をお母さんがうれしそうにみていた。
私は、お母さんの目に何かキラリとするものがみえたことに気づいた。
その時は、なぜお母さんが涙をうかべているのかわならなかったけど、今ならわかる気がする。
きっと、友達がいない私をずっと不憫に思い、私の心より悲しんでいたに違いない。
まだ、小さかった私は、こうしたお父さん、お母さんの想いや涙、いのちの深さ、意味まで理解できていたかは定かじゃないけれど、私がいないとこの子が死んでしまうから大切にしなきゃいけないんだ、とそのことだけはしっかりわかっていた。
お父さんとお母さんとシロのいのちを大切にする約束をして、私はシロとの生活が始まった。
私には、晴れて人生初のパートナーが誕生した瞬間だった。
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