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シロが教えてくれたこと

「#シロとの出会い」
「#シロのトイレ」
「#子ねこ」
「#年中」
「#いのちの大切さ」

5.もうすぐ春

私は久しぶりに散歩に出た。

ますますやんちゃになったシロと一緒に、外の空気を吸ってみた。

「シロ!!気持ちいいね。」
私はシロに話しかける。

シロも
「にゃ〜」
と鳴いて私の顔をじっとみつめてくる。
きっと、私の腕から抜け出して自由に走り回りたいんだろうな。

シロの眼は、お母さんが腕につけているブレスレットのような輝きをしていた。

お母さんはよく、私にそのブレスレットを手にとってみせてくれた。
「ほらほら、みてみて。こうやって角度を変えるとね、虹が見えるのよ。」

「わぁ〜キレイ。」
私はそのブレスレットがシロの透き通る眼に見えて仕方なかった。

ブレスレットを光に当てながら、まあるい石をいろいろな方向にくるくる回して見せてくれた。

「不思議なことって起こるものね。この子たちのおかげかしら?」
と何やらお母さんがその水晶玉とお話してる。

それもそのはず。

私はシロが来てから話せるようになっていた。
体の調子も随分と良くなってきて、少々走ってもシロと駆け回っても息切れなどしなくなっていた。

シロのお世話だってずっと続けている。

お医者さまからは、
「みさちゃんがシロちゃんとお話をしたいなぁと思ったから話せるようになったんだね。このままシロちゃんとたくさんお話してね。」
「体も元気になってきているから、幼稚園にも行ってたくさん遊ぼうね。」
と言われていたくらい。

幼稚園に行くようになれば、シロが一人でかわいそうだなぁと思っていたし、なんだか私もずっとこのままシロと一日中遊んでいたい気持ちもあった。
特に最近のシロは子ねこらしく、飽きることなくよく遊ぶ。
そして良く寝る。

でも、今日の私は何だか違う。
地面に足をつけた瞬間に、私はいつもの私と違うことに気づいた。

何だか、シロ以外の友達とも一緒に遊んでみたいと思っていたし、幼稚園も行きたいと思っていた。

そんな気持ちをお母さんが知ってかどうか。
「みさちゃん、この道は大人でも危ないから気をつけないとね。シロもよ。」
と私とシロの頭を撫でながら話す。

しかし、お母さんが話す声は、次から次へと車が行き交う音でしっかりきこえない。

お母さんからは前々から
「みさちゃん、うちの前の道から大通りに出た道は本当に大人でも危ないから気をつけなきゃいけないのよ。」
と言われていたからなんとなく言いたいことはわかる。

「直線道路だからスピードもよく出る。」
とお父さんも話していた。

お母さんからは、一人で外に出ないようにと言われていたし、友達も居ない私は一人で外に出るなんて滅多にない。
せいぜいお庭くらい。
寒いのも嫌いだし、ずっと家の中でシロと一緒にぬくぬく、くっついていることが幸せだった。

でも、今日の私は違う。
寒さよりも外に出たい気持ちが走り出していた。

「あっ、たんぽぽだ。」
たんぽぽをシロに見せる。

春はもう近くまできている。

周りの草花だけじゃなく、私の心の春も…

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