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TOP GUN -MAVERICK-の鑑賞を前にして

1986年、私はこの年に生まれ、同じ年に『TOP GUN』という映画の公開がされた。

私の両親は2人とも飛行機が好きで、それから私の名前を『翼』と名付けた。

幼稚園に通うのに母と一緒に電車とバスに乗って行っていたのだが、近くの駅までは車に乗っていた。その車内ではいつもあの『TOP GUN』のサントラが流れていた。当時はテープの時代で、終いには伸び切れるまで聞いていた。もちろんビデオ屋で購入した映画も一緒になって観ていた。

その影響を直に受けていた私は、パイロットを目指すようになった。幼稚園時代の夢も小学校時代の夢も、中学、高校時代もそうだった。

縁があり、大学は航空宇宙工学科に入学することができ、飛行機のことを学べることがこれからできるんだ、ということがまっすぐに嬉しかった。

周りの同期も当たり前かもしれないが、飛行機やロケット、人工衛星などが好きな人ばかりで、その環境に気分が高まった。

飛行機が好きなので人力飛行機ももちろん好きで、テレビでみた航空研究会に入って、そこの皆と一緒に飛行機を作ることを夢みていた。

ただ、人力飛行機を作るにはお金と時間がものすごくかかることだと入部説明会のときに聞かされ、私はそこで人力飛行機を作る夢は断念した。

高校時代の一番最後の学期に、当時の物理の先生である深谷先生からモデルロケットのエンジンが各生徒に配られ、それに紙を巻いてロケットを作り飛ばそう、という最後の授業を受けた。私としてはロケットも飛行機の延長線上にあったので、ものすごく興味をもって取り組んだ。結果は上空でパラシュートが出ずにそのまま落下するというものだった。その経験が心の底から悔しかった。もう一回出来るなら次こそは、という思いだったが、何となくもう機会はないだろう、と思っていた。

だがそこに宇宙航空研究会が現れたのだ。その打ち上げから3ヶ月後のことだ。そのサークルはそのモデルロケットで世界一を目指しているサークルだった。世界一を目指すという大きな目標と、3ヶ月前の悔しさもあってお世話になることになった。

中学、高校時代は家の事情もあって部活に入らなかったのだが、大学時代は思いっきりできた。勉強とサークルの両立はとてもしんどいものだったけど、何より夢に向かっているという実感と、志を共にする学科の仲間たちがいたことが何とも形容しがたい大きな力になっていた。

サークルを通し、全国大会優勝や世界大会出場をすることができたことはもちろん大きすぎる体験だったが、決してブレることのない目標を共にしていた先輩後輩、同期の仲間と過ごした時間が私の人生の指針を決定づけることに後々なる。

世界大会が終わってすぐ就職活動が始まった。自己を振り返ってみると、大学時代の全ての経験から、職業としてパイロットを目指すより、ものを作っていたほうが性に合うのではないかという結論に達し、結局航空会社のパイロット試験も受けてはみたものの、本腰が入らずに記念受験で終わってしまった。

卒業後は運良く自動車会社に入ることができ、希望の設計職に就くことができた。

業務は割とできていたと思う。今でも仲の良い同期もいるし、先輩も良くして下さる方もいらっしゃった。ただ、強烈な大学時代の体験は大きすぎて、それを超えるようなシーンを体験することができないまま、病気で退職することになった。

退職した当時は好きなことさえ分からなくなってしまう状態だった。何も嬉しいという感情がわかず、闇の中にいた。

だけど、大学時代の同期や先輩後輩、先生方、たくさんの友達たちに元気づけられていくうちに、モデルロケットを今度は点火装置から自分で作って打ち上げることをしようと思った。

その過程で学んでいくうちに昔の思い出と重なる部分が出てきて、楽しいという感情も戻ってきたのだ。

今はその経験から教育事業を手掛けることを志し、コンテンツ開発を続けている。

TOP GUNでは全米から集まったトップのパイロットたちがさらに頂点を目指していく勇姿や大切な仲間を失った事実から立ち直る過程などが描かれているが、そのような強い意志や辛い事実から立ち直る力みたいなものを知らない間に学んでいたのだと思う。

ただこれだけは言えるのは、私を構成している芯の部分は間違いなく『TOP GUN』である、ということだ。(幼稚園時代から英才教育も受けてきた。)

私と同じ歳を重ねた作品が新しい監督を迎え、たくさんの方たちが考え抜いて作ったであろう続編を、今日、リアルタイムで映画館にて観ることができる奇跡に感動をしている。

先にみたみんなの話を聞く限り、素晴らしい作品に仕上がっていることだろう。

あと5時間で立ち会える。

独立してから出会えた方たちももちろん含め、さまざまな人やものに支えられて今日ここまでこれた。まさにお陰様だと思う。

これまでの奇跡とこれからの奇跡に今から胸がいっぱいだ。

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