行動を促す仕掛け
こちらの放送はラジオ「長澤翼のとなりの席」でお話しした内容です。
音声の方がご都合良い場合は下記よりご視聴いただけます↓
■行動にはエネルギーが必要
習慣化されている行動ならエネルギーは使いませんが、新たに何かを行動するというのは目には見えませんがエネルギーが必要です。
今回は自分が行動をするという視点で話ではなく、何かイベントなど運営をされる方にとって「行動をしてもらうために」という視点で書きます。
イベントと集客は切っても切り離せないものです。さらにイベントに来てもらうというのは大変なことです。そこで来てもらう為には工夫が必要で、今回は足を運んでもらえるようにするためのきっかけ作りについて書きます。
■身近な行動を促すデザイン
実際に身近にある行動を促すデザインがありますのでご紹介します。
何の変哲もない床に線が引かれている場所ってありますよね?トイレ、床、レジ前など色々なところで見かけますよね。
このようなデザインには、「ここで順番を待ってください」という指示が込められています。さらにわかりやすく足跡の形にしているところもありますよね。これがまさに行動を促す為の仕掛けです。
さらに大きなデザインでは、思わず歩きたくなってしまう空間デザインが施されている場所があります。
それが成田国際空港にある第3ターミナルです。第2ターミナルから630m歩かないと第3ターミナルへ行けません。時間にすると大体15分ほど。連絡バスもありますが、結局時間がかかります。
建設コストも抑えていることもあり歩く歩道もありません。さらには綺麗な景気や看板がある訳なく、殺風景な通路を歩かないといけません。
そこでどうなったかというと、連絡通路を陸上競技の長距離トラックに見立てるという仕掛けにより「気持ちよく歩いてもらう」という行動を促すことに成功しました。
陸上トラックのように赤と青のレーンに区分され、白い線でコースは描かれています。
途中、カーブや分岐も何か所かありますが、ラインを辿っていけば迷わず第3ターミナルに到着できます。
このデザインの凄いところは、長距離をひたすら歩くという行動を自然に促していることです。
殺風景な通路を延々と歩かされるような徒労感ではなく、爽やかな疲労感という感覚に近いものがあります。素晴らしい行動を促す仕掛けですよね。
■デザインの力は凄い
さて、例を二つあげましたがデザインの力って凄くないですか?
メッセージだけでは行動は促しにくいんです。
例えば、成田空港の問題をメッセージで解決しようと考えた場合、どんなメッセージが浮かびますか?
殺風景な通路に「たったの630m!健康のためにも歩きましょう!」と訴求されていたら、逆に負の感情すら生れそうです。
決してメッセージが悪いという訳ではなく、メッセージだけでは人を動かせないという状況があることは理解をしておく必要があります。
極端な例ですが、言葉は国が変わったらもう全く伝わりません。
数か国語で訴求すればいいじゃないかという意見もあるかと思いますが、どうしたって視認性が悪くなります。つまり情報コストが高くなり、親切なつもりが逆にマイナスな印象を与えてしまうかもしれません。
なので行動を促すデザインを学ぶことが重要なんです。
ついつい露出が増えれば行動量に繋がると考えがちですが、そうではないということはしっかり認識しておくとよいでしょう。
重要なのは「こんなことやっている人がいるんだ」「自分もやってみたい」「やってみたら楽しかった」と行動が連鎖していく仕掛けを作れるかどうかです。
■追伸
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