アメリカの影響力は結局、どうなるのか?
世界一の経済大国、アメリカ。それは普通のGDPで見た場合の話で、購買力平価のGDP、シンプルに言うと実体経済の規模では中国が、トランプ政権のコロナに対する無為無策による経済的混乱がアメリカを襲った2020年に追い抜いた。アジアのいくつかの新興国も2030年までに購買力平価でアメリカを追い抜く、あるいはアメリカとほぼ同程度までに追いつくというレポートが海外のシンクタンクによって発表されている。実際のところアメリカの経済における影響力はドルの覇権とアジア諸国への資源の輸出、アメリカの貿易赤字、そしてウォール街とシリコンバレーのエリートによって成り立っている。一方でアメリカドルによる取引は新興国や途上国で減少傾向にあるし、アジア諸国への資源の輸出は付加価値をつけられないためライバルが多い。貿易赤字はアメリカに売るものがないことがない証明だし、中国やインドのメガバンクやハイテク企業はアメリカ企業を追い抜こうとしていることを考慮するとアメリカは衰退フェーズに突入したと考えられる。まだハッキリとは見えないが2040年頃には顕在化するだろう。(中国の台頭やIT技術の普及が顕在化するまでにかかったのは数十年でありアメリカの衰退も数十年かかり顕在化すると見られる。)
アメリカの影響力は経済以外の分野、例えば国際秩序のルールなのか、それとも商慣習や法的な取り決めなのかで今後も残るとは思うが、新興国の台頭はアメリカが国際秩序や慣習法を独占的に支配しているという新興国からの批判をエスカレートさせるだろう。経済的な混乱に伴う社会の分裂に対して四苦八苦するアメリカはそれに対抗するだけの力を維持できない。経済的な混乱が政治的・社会的混乱を煽り、国内で不穏分子が暗躍する第3世界の国と同じレベルになる、とは言わないが議会クーデター未遂が起こった今はもはやアメリカの根本的な何かが消えつつあるように思えるし、相当国が傷んでいるようには見える。そんな国が外的な影響力を発信できるほど世界は簡単ではないのだ。
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