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ヒップスターにポップパンク、ノスタルジックな気分

石畳の道にビンテージのシャツ、新しいスマホ。ギア付き自転車でスタイリッシュに駆け抜け、エレキギターをかき鳴らす。廃工場を改装したカフェでデカフェのエスプレッソと10ドルのサラダを注文する。そう、テイラー・スウィフト的なヒップスター文化だ。それが再び盛り上がりつつある時代がやってきた、いわゆるY2Kリバイバル(2000年代への回帰)の幕開けである。だが果たしてこの回帰は望ましいものなのだろうか?

マシンガンケリーにトラヴィスバーカー、ヤングブラッド、ブラックベアー。最近よく名前をよく聞くポップパンクのスターで奇抜なファッションや作り込んだMV、そして派手なステージのパフォーマンスでその座を確立した彼らも、ポップパンクが華やかだった2000年代に対するノスタルジーを示すものであると言える。 

ところでなぜこのリバイバルは発生したのだろうか。専門家の多くは生活必需品や家賃の高騰や賃金の伸び悩みを理由に挙げている。そのような時代に消えつつあるミドルクラスは昔を懐かしむ、あるいは経験していない時代へのノスタルジーに浸るためにこのようなヒップスタースタイルにのめり込むのだと言う。(もっともヒップスタースタイルにはえらくカネがかかるのだが)

しかしヒップスタースタイルの再流行がノスタルジーである以上、手放しで喜んでいられるものでもない。ノスタルジーが行き過ぎれば社会の停滞を招きかねないし、危険な人物が国の中枢に送り込まれることになるかもしれない。また、ヒップスター的なスタイルができる金銭的余裕はあるのは都市部の若くて比較的裕福な白人であり、黒人やヒスパニックにはそれを楽しむほどの余裕がない。ヒップスター的なスタイルの流行は新しい社会不安や社会分断のきっかけになるかもしれない。そして現時点での社会の分断はヒップスター的なスタイルが流行った2000年代よりもエスカレートしている以上、やはりどこか僕は不気味ななにかを感じ取ってしまうのだ。

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