孫正義というアマチュア
孫正義が投資の天才だって?そんなことはない。90年代の大型投資は北尾さん、今のSBIの会長だ、が立役者だった。そもそもSBIの由来はソフトバンクインベストメントだしね。ヤフーやアリババとの交渉を進めたのは孫さんだから、交渉のプロではある。実際マイクロソフトの代理店からiPhoneの先行販売に至る業績はさすがだ。でも投資と営業のスキルは一致しない。少なくとも証券会社のセールスは運用管理をしていないはずだ。
だが孫正義は自分を正しく認識できず今に至る。そもそもファンドの運用額が市場規模と比べると大きいためテクノロジー業界にバブルを引き起こし、WeWorkのようなモラルハザードを引き起こしたケースもあるし、そもそも年数%の支払いを確約した出資先(主に中東の政府系ファンド)もあった。そもそも一発目はもう少し本来規模を落としてやるべきでもある。残念ながら昔と今は違うのだ。彼は悲痛な顔を会見でしていたが、ヘッジファンドマネージャーとしての精神コントロールができていないようにも思える。
ソフトバンクはそもそも財務問題を抱えていた。2009年頃の健全経営への転換はどこかへ消え、今に至る。昔の副社長は財務政策の対立で辞任した。そしておそらく今の幹部辞任もそれだ。考えてみてほしい。財務が火の車な会社の二代目社長など誰がやる?
そもそも北尾さん自身が孫さんの投資スキルを否定していた。北尾さんによると損失を出さないことに投資は軸を置くべきだと言う。つまり孫正義のスタイルには慎重さがないということになる。
あるいは盟友、ユニクロの柳井さんとの決別もそうだ。レイクロック(マクドナルドの経営者)の自伝に協同で後書きを書いていたほどの関係だったにも関わらず、マネーゲームにオールインする孫さんに柳井さんは実業を極めるように警告した。昔野菜販売でコケた苦い経験があるのだと思う。だが孫さんはそれを無視し、関係は断絶。
なおソフトバンクの投資先の多くは酷い有様だ。不正会計のワイヤーカード、自転車操業のWeWork、セクハラと訴訟天国のUber、これまたセクハラEssentialPhone。倒産したOneWebや移動式バンでピザを焼いてアツアツのピザを届けるスタートアップ。最後のはソフトバンクがムリに多角化させて崩壊した。あまりにも外れを引きすぎだ。僕からすれば孫正義がやっているのはギャンブルなのにそれに負け続けている。ソフトバンクが倒産して公的資金が注入されたらもはや乾いた笑いしか出ない。ギャンブル依存症は救われなくて大企業のギャンブルは救済されることになるのだから。