なぜ岸田政権の減税アピールはうまくいかなかったのか?
橋本、福田、麻生。その3人の共通点とは何だろうか?長続きしなかった政権だという答えを思いついた人は自分と同じ、おそらく相当な自民党嫌いだろう。でもなぜ短命に終わったのかを見ると興味深い発見ができる。いずれの政権も一時的、あるいは恒久的減税を打ち出したのだ。なぜこうなるのだろう?
おそらく納税が国民の3大義務であることが関係しているのだろう。つまり国民が強いリーダーシップによる税制改革に期待しやすいため支持率を短期的には上げることに貢献する可能性もある。しかしその期待が弾けた場合の副作用も大きく、方針や政治家の発言が迷走する場合や党内での合意を事前に取り付けられない場合はその副作用を頭から浴びることになる。そこを与野党から漬け込まれ、ますます支持率は低下、それによる辞任や解散総選挙に追い込まれるのが過去の3人に共通したことであった。
ではなぜ税制改革は混乱するのだろうか?これは税についての共通認識を形成することが非常に難しいことが関係している。そもそも全ての税に強みと弱みがあり、完全に公平で平等な税制を実現することが難しいことが、野党からの批判と同じくらい与党や国民からの批判を生み出してしまう。特に給付を伴う税制改革の場合は制度が皿に複雑化することが多く、合意から実現までのタイムラグも更に開いてしまう。
残念ながら岸田首相個人は思いつきで発言をすることが多い。そして身内の世耕弘成からは「独断的な意思決定」を国会で直接批判された。岸田首相は最後のあがきとして税制改革に挑もうとしているようだ。だが、税制改革のような難解なテーマを思いつきで進めることはできないし、それを強行できる支持率ではないことを考えれば、増税メガネというニックネーム対策のためには、勇気を出してレーシック手術を受けるのが一番手っ取り早そうだ。