ビジョンミッションバリューの策定はタイミングとプロセスが9割
はじめに
メディカルフォースは2022年4月に社員が10名を超えました。
また、今までリファラルにフル依存していた採用もいよいよ状況が変わり、初めて外部チャネル?での採用がスタートするフェーズに入りました。
それに伴い、ミスマッチ防止や魅力的な人材の惹きつけ、既存社員向けの方向づけを目的とした、コアバリューの明文化とビジョンの打ち出しをすることにしました。
VMVの策定にあたって、2ヶ月という短期間(バリューに1ヶ月、ビジョンミッションに1ヶ月)でありながらかなり良いものができたと思っています。
このnoteでは策定プロセスをメインに書きますが、タイミングがPMF直後の今でよかったなとも思っているので、そんな話もできたらと思ってます!
完成したビジョンとコアバリュー
ビジョン
これからの産業の成長プロセスを合理化する
コアバリュー
HRT
謙虚・尊敬・信頼を中心に置く
We
全体最適を意識した意思決定を通し、チームで勝ち続ける
顧客コミット
顧客に関心を持ち、アウトプットとスピードにこだわることで顧客に関心を持たれる
Punk
直感を信じ貫き通す
ビジョンもコアバリューも、シンプルだけど唯一無二な感じがとても気に入っています。
※ミッションも作りましたが、ほぼほぼ事業計画の話なので今回は割愛します。
旧ビジョンが機能しなかった理由
実は弊社では、1年ほど前にビジョンとコアバリューを策定したことがあります。ただ、あまりにも浸透しない&時間が経てば経つほどしっくりこなかったため今回の策定ではそれらを捨て去りゼロベースで考えました。
旧ビジョン
美容医療業界のニューノーマルをつくる
これが浸透しなかった要因としては4つあります。
①「美容医療」というワードが入ることによってこの先の事業展開の選択肢が大幅に狭まる
これについては実は策定当初から少しモヤモヤしてました。(モヤモヤしつつもこれでGOしちゃってる時点で浸透しないのが当たり前すぎる。)
今回のビジョンに特定の業界や事業のワードをいれなかったのは、ラクスルがまだ印刷事業しかやっていなかった時にあえて「印刷」というワードを入れなかったという話を参考にしました。
少なくとも経営陣がモヤモヤしているものをビジョンとして打ち出すのは絶対やめたほうがいいですw 当たり前の話ですが、実は起こりがちな現象なのではないかと思ってます。
②「ニューノーマル」の定義が不明
決めた時は良さそうって思っていた気がしますが、ニューノーマルの定義が分かりづらい&その議論をすっ飛ばしてしまいました。
これから美容医療業界にとって欠かせない存在になりたい→つまり新しいスタンダードを確立するだろう→「ニューノーマル」って言葉が良さそう
↑こんなノリで決めた気がします。もう少し自分達がやっている事業が提供している価値を噛み砕いた上で議論していたら別のアウトプットになった気がします。しかし、③に続きますが、これはタイミング的に無理な話でした。
③策定のタイミングが早すぎた
当時はMRR数十万円で5本の指で数える程度の顧客しかいなく、その程度では事業の提供価値が何なのか以前に価値を提供できているのかすら判断ができません。
ビジョンについて社内に説明するときに「究極的には一生叶うことのない目標」という言い方をしていますが、遠い未来の目標だとしても自分達が提供している価値からかけ離れすぎていると納得感が薄いはずです。
自分達がやりたいビジョンが超明確な場合を除き、PMF後に顧客への提供価値が言語化できるタイミングでビジョンを策定することは割といいのではと思います。
④策定のニーズがそもそも弱かった
タイミングの話とも似ていますが、僕たちの場合そもそも1年前のあのタイミングでビジョンを策定する必要は絶対なかったです。
当時はPMFのピの字もなく、ひたすら顧客と向き合わなければいけない時期。当然マーケのアクセルを踏む時期でもないし、採用を踏む時期でもない。つまり、この時期は事業計画が必要ないと言っても過言ではないです。ビジョンがあることでミッションに落とし込むことができ、ミッションがあることで事業計画に落とし込むことができると考えると、この時期はビジョンがいらなかったと言えます。
こんなこと書いてますが、当時PMFをしていると思って採用をガンガン進めるつもりだったのが1番のホラー...。
「これから採用を進めていくだろうし、とりあえずビジョンあったほうが良さそう」みたいなノリでいるうちはまだビジョンへのニーズが弱いと思っていいかもしれないです。
今策定するのが良かった理由
僕たちはシリーズA前後のスタートアップとして大きく事業を拡大していくフェーズに入りました。導入院数は約80となり、解約もほとんどありません。
まだまだプロダクトも組織もアップデートしていきますが、自分達の提供価値を言語化するには申し分ないタイミングです。
そして、T2D3を実現するためには組織に一体感を持たせ、解像度かつ納得感の高い事業計画が必要です。
このタイミングでビジョンミッションを策定して良かったのはまさにこの部分で、今まであった事業計画がより洗練されました。具体的なアクションに落とし込むことができたのが良かったです。
策定にかかった時間や形式と外部依頼のすすめ
今回のVMV策定は短期集中型で行いました。
コアバリュー:2時間×4日連続
ビジョンミッション:3時間×3日間(うち2日は連続)
1日中議論し続けるとグダグダになる可能性があるし、日を跨ぐことで寝て起きた時の違和感も防げるため、このやり方は僕たちに合っていたと感じます。
もう1点特徴的なのが参加メンバーです。
今回は創業メンバー3名に加え外部のファシリテーターをお呼びしました。元々3人で会話することは多いものの、改まってVMV策定となると議論が平行線になって難しそうだと思い、僕の大学時代の縁である株式会社dandanの三浦さんにご参加いただきました。
外部の方にファシリに入っていただく点についてはメリットデメリットありますが、結果的にめちゃくちゃ上手く働いたと思っています。今回のアウトプットを受けて、追加のプロジェクトを発注するに至りました。
メリット
・議論が尽きた時に新たな種を出してくれる
・メモを残してくれる(話す人と議事録残す人が別だとやりやすい)
・外部の人がいることで改めて自分自身を振り返るモチベーションが出る
・共同創業のメンバーを褒めるなど、恥ずかしくて普段話さない内容も腹を割って話せる
・抽象⇆具体を反復してくれる
デメリット
・費用が発生する
・日程調整が面倒
・ファシリスキルが低い人だと大変そう
デメリットは逆に言えばこれくらいで、費用に関しても余裕でリターンが大きかったです。ファシリスキルもめっちゃすごいのでオススメです。
今回ファシリテーターをお願いした方
https://dandan-inc.studio.site/
議論した内容
今回の策定ではコアバリューを3月に、ビジョンミッションを4月にと分けて議論を行いました。
コアバリューワークショップではひたすら自分達自身や創業から今までを振り返り、ビジョンミッションワークショップでは未来を議論しました。
コアバリューの策定で議論したこと
・コアバリューの定義
・創業時の目標は何か?
・どこが達成できてどこが達成できていないか?
・最も進んだことは何か?
・最も進まなかったことは何か?
・創業前に戻れるなら何を変える?
・お互いから見た創業メンバーの性格、長所短所
ビジョンミッションの策定で議論したこと
・ビジョンミッションの定義
・サービスが提供している価値
・誰のために存在しているのか?
・対象業界・領域は?
・解決したい最も複雑かつ大きな課題は?
・ビジョン範囲に入るもの・入らないものの境界線
・言語化されたビジョンはステークホルダーにどう映るか?
・10年後、5年後、3年後、1年後、半年後の理想像
・理想像から逆算した事業計画
他にもありますがざっとこんな感じです。
創業メンバー3名でお互いどう見えるかを話すとかは普段なかなかしないので良かったです。
また、今回の策定では10年後、5年後、3年後、1年後、半年後それぞれのミッションを策定しました。策定前は「ミッションが複数あるのってあんまり聞いたことないな〜」って思っていましたが、10年後の抽象度の高いミッションを決めてから時系列が近くなるごとに具体性のあるミッションに昇華されていくプロセスは面白かったです。
このnoteにも何度も登場していますが、自分達の提供している価値が何なのかを議論できたのもとても良かったです。それが「成長プロセスを合理化する」という言葉によく現れています。
美容医療はコロナもあって成長率が非常に高く一見華やかな業界です。しかし、現場はとても忙しく、予約カルテ会計を都度別々に入力するなどしている暇はありません。それは患者様のためにならないし、もちろんクリニック様のためにもなりません。
伸びている業界とはいえ当然成長のボトルネックはあります。僕たちは『medicalforce』というプロダクトを通してそのボトルネックを取り除くことでクリニック様の成長をご支援しています。これが僕たちの定義する「成長プロセスの合理化」です。
美容医療業界をはじめとする、元々確立されていたが何らかの理由で伸びている「これからの産業の成長プロセスを合理化する」ことがメディカルフォースのビジョンです。
もちろんビジョンミッションバリューは策定して終わりではなく、ここから広く浸透させることが最も重要です。最近経営者としてのミッションが変化し難易度が上がっているのを強く感じますが、誰よりもコアバリューに忠実でいたいと思っています。
読んでいただきありがとうございました。
Meetyやってるのでぜひ!
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