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【まちで仕事をつくる】vol.06 シャッター商店街の本質と可能性
建物ひとつでは街は変わらない
郁文堂書店の再生は、僕らにとっても、オーナーの伸子さんにとっても、間違いなく壮大な物語でした。地域に愛されてきたおばあちゃんと学生が手を取り合いながら進めたこのプロジェクトは、多くの人に元気を与えることができたと実感しています。
しかし、いくらメディアでの注目が増えたとしても、その陰でぼんやりと浮かび上がる課題には、まだまだ太刀打ちできませんでした。僕らはもっと、まちそのものと向き合わなければならないと、このプロジェクトを通じて強く感じたのです。建物を再生するだけでは足りません。その先にある、まちの風景をどう描いていくのか。それが僕らの次なるテーマでした。
耳にこびりついたシャッター商店街化
僕らの世代は、小中高のころから「シャッター商店街化が課題だ」と何度も聞かされてきました。しかし、学校の先生たちはその課題に対する明確な答えを持っているわけではなく、ただ「課題」として目の前に置いていくだけでした。そして僕らも、それを定型文として受け取り、社会課題を聞かれるたびに問題点として答えるだけだったのです。
頭では理解していたつもりでしたが、実情を深く理解していたわけではありません。しかし、実際にまちに触り、活動を始めたことで、ようやくその「痛み」を少しずつ感じ取れるようになりました。
空き家問題の本質と可能性
まちで活動を始めて気づいたのは、空き家には二つの理由があるということです。一つは「魅力が見えにくいもの」、もう一つは「オーナーさんが経済的な余裕がある又はないから流通していないもの」です。
後者については、社会制度やオーナーさん自身の意識、いわば「パブリックマインド」を変えなければ、状況を動かすことは難しいと感じました。それは簡単なことではありませんし、挑む人も少ないでしょう。
しかし、前者の「魅力が見えにくいもの」物件には可能性があると思いました。空き物件が埋まらない理由は、そこに商売の可能性が見えないからです。お客さんが来る風景が想像できない場所では、誰も出店したいと思わないのです。
それでも、希望がないわけではありません。七日町シネマ通りには少しずつ新しい風が吹き始めていました。「とんがりビル」が劇的なリノベーションを果たし、「BOTA coffee」がオープンしました。さらに、「Tipi cafe」や雑貨屋「chottofutto」、金工作家の「汽水域」が店舗を構えています。こうした変化が、通り全体の空気を少しずつ変えていったのです。
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