最初に(2024/05/13)
この本では草月流華道の基礎を知り、日々の生活に「おはな」があるうるおいを知っていただきたくて書き始めました。
私の華道教室のなかでこんなエピソードがあります。
「もうとまらないからやだ〜」という一コマです。教室には草月流師範(先生)である私と受講生が2名いました。そのうちの1名は経験者、もう1人が冒頭の発言をしました。全くの初心者で、うまくいかないことにいらだったのだろうと思います。
このとき試してもらったのは、筒状の花瓶に花をさすものでした。華道で使う花や葉、枝ものを含めて「花材」と呼びます。器にこれらを挿す場合に注意するポイントがあります。それは、花の器の一番底に、花材をつけない。かりに底面に花材がついてしまっている作品は「供花」とよばれ、仏様にお供えする花として草月流華道では扱われ、好まれません。
そして、冒頭の発言は、どうしても花材が底に落ちてしまうのを重ねて出てきた言葉です。あの教室をしてしばらく経ちますが、いまだに「華道はやりたくない」と言っています。
ーー
申し遅れました、私は草月流二級師範の高宮 翼(たかみや つばさ)ともうします。先述の2名に限らず、マンツーマンでも、最大1回7名前後でも華道教室を承るほか、ZOOMでのリモート教室、企業研修なども承っているとともに、展示会にも精力的に出展を重ねています。2年間で5回出展しており、この2年間のうち出展していない2回は、展示テーマに私の資格があてはまわりなく、出せなかった次第です。
この本では、草月流華道の「あ」から「ん」のうち「と」くらいまで、趣味の範囲、とくに生活にうるおいをもたらすところまでの草月流華道の楽しみ方をお話できればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。