
セキュリティ専門用語【20選】-BtoB/IT記事1000件のプロが分かりやすく解説
「セキュリティインシデント」
「ゼロデイ攻撃」
「EDR」…
BtoB/IT分野、特にセキュリティ関連の記事では、専門用語の理解が不可欠です。しかし、その多さや複雑さに、戸惑いを感じる方も多いのではないでしょうか。
こんにちは。BtoB/IT専門ライターの内藤翼です。私はこれまで、エンジニア、コンサルティング営業、マーケティング責任者として、20年間IT業界に携わり、1,000件以上のコンテンツを制作してきました。
特に、ここ数年はセキュリティ関連の記事執筆に注力しており、多くの企業から高い評価をいただいております。
なぜ私がセキュリティ分野に注力するのか?その理由は、「私が技術ライターを選んだ理由 -きっかけは 「わからない」から始まった」で詳しく語っています。
サイバーセキュリティの脅威は年々増大・巧妙化しており、企業のセキュリティ対策は、経営における最重要課題の一つとなっています。総務省の調査でも、企業におけるセキュリティ対策の必要性が増加していると回答する企業が増えていることが分かっています。

そのため、セキュリティに関する正確かつ分かりやすい情報提供が、これまで以上に求められています。セキュリティ分野に精通したBtoB/ITライターの需要は、今後ますます高まっているのです。
本記事では、BtoB/ITライターを目指す方のために、セキュリティ分野で頻出する専門用語20個を厳選し、エンジニアとしての技術的な知見とビジネスの最前線で培った経験を基に、初心者にも分かりやすく解説いたします。
より基本的なIT用語については、「BtoB/ITライター必須!頻出専門用語を徹底解説 - これであなたもIT記事が書ける!」で解説しています。
本記事で解説する用語一覧:
ゼロトラストセキュリティ
SASE (Secure Access Service Edge)
CASB (Cloud Access Security Broker)
EDR (Endpoint Detection and Response)
XDR (Extended Detection and Response)
SOAR (Security Orchestration, Automation and Response)
SIEM (Security Information and Event Management)
脅威インテリジェンス
サプライチェーンセキュリティ
クラウドセキュリティ
データ保護
IDaaS (Identity as a Service)
ゼロデイ攻撃
ランサムウェア
フィッシング
DDoS攻撃
内部不正
脆弱性診断
ISMS (Information Security Management System)
多要素認証
1. ゼロトラストセキュリティ - 信頼せず、全てを検証する
ゼロトラストセキュリティとは、従来の「境界防御モデル」(社内ネットワークは安全、社外は危険)とは異なり、「全てのアクセスを信頼せず、常に検証する」という考え方に基づいたセキュリティモデルです。

近年、クラウドサービスの利用拡大やテレワークの普及により、従来の境界防御モデルでは対応が難しくなってきました。ゼロトラストセキュリティでは、ユーザー、デバイス、ネットワークなど、あらゆるアクセスに対して厳格な認証と認可を実施することで、セキュリティを強化します。
例えるなら、「関係者全員に身分証の提示を求め、入館証を発行するオフィスビル」のようなものです。 社員証を持っているからといって全てのエリアにアクセスできるわけではなく、アクセスする場所や情報に応じて、その都度、適切な権限があるか確認されます。
対策の例:
IDaaS (Identity as a Service) によるユーザー認証の強化
SASE (Secure Access Service Edge) によるネットワークセキュリティの強化
EDR (Endpoint Detection and Response) によるエンドポイントセキュリティの強化
2. SASE (Secure Access Service Edge) - クラウド時代のセキュリティ対策
SASE(サシー)とは、Secure Access Service Edge の略で、セキュリティとネットワークの機能をクラウド上で統合的に提供するフレームワークです。
従来のセキュリティ対策は、社内ネットワークと外部ネットワークの境界に、ファイアウォールなどのセキュリティ機器を設置する「境界防御モデル」が主流でした。しかし、クラウドサービスの普及やテレワークの増加により、守るべき境界が曖昧になり、従来の対策では不十分になってきました。
SASEは、ユーザーやデバイスがどこからアクセスしても一貫したセキュリティポリシーを適用できるため、クラウド時代に適したセキュリティ対策として注目されています。
例えるなら、「どこでも使える、高セキュリティなクラウド型オフィス」のようなものです。 社内ネットワークだけでなく、自宅や外出先からでも安全に社内システムやクラウドサービスにアクセスできます。
主要なSASEソリューション:
Zscaler
Cloudflare
Cisco Umbrella
3. CASB (Cloud Access Security Broker) - クラウド利用の安全性を高める
CASB(キャスビー)とは、Cloud Access Security Broker の略で、企業とクラウドサービスプロバイダーの間に位置し、クラウドサービスの利用状況を可視化・制御するセキュリティソリューションです。
企業が複数のクラウドサービスを利用するようになると、従業員が許可されていないクラウドサービスを利用する「シャドーIT」のリスクが高まります。CASBは、シャドーITの検知、データ漏洩対策、アクセス制御などを通じて、クラウド利用の安全性を高めます。
例えるなら、「クラウドサービスの利用状況を監視し、問題があれば警告してくれる、頼れるセキュリティガード」のようなものです。
主要なCASBソリューション:
Netskope
Microsoft Cloud App Security
Broadcom (Symantec)
4. EDR (Endpoint Detection and Response) - 端末の脅威を迅速に検知・対処
EDRとは、Endpoint Detection and Response の略で、エンドポイント(PC、サーバー、モバイル端末など)における不審な挙動を検知し、迅速に対処するためのセキュリティソリューションです。

従来のアンチウイルスソフトは、既知のマルウェアの検知には有効ですが、未知のマルウェアやファイルレス攻撃など、巧妙化するサイバー攻撃には対応できません。EDRはエンドポイントの活動を継続的に監視・記録し、不審な挙動を検知・分析することで、未知の脅威にも対応できます。
例えるなら、「エンドポイントの健康状態を常に監視し、異常があればすぐに知らせてくれる、優秀な健康診断システム」のようなものです。
主要なEDRソリューション:
CrowdStrike Falcon
Cybereason
VMware Carbon Black
5. XDR (Extended Detection and Response) - 脅威を包括的に検知・対処
XDRとは、Extended Detection and Response の略で、EDRの機能を拡張し、エンドポイントだけでなく、ネットワーク、クラウド、メールなど、複数のセキュリティレイヤーを統合的に監視・分析するセキュリティソリューションです。

XDRは、各セキュリティレイヤーで収集した情報を相関的に分析することで、より広範かつ高度な脅威検知・対応を実現します。
例えるなら、「組織全体のセキュリティ状況を一元的に監視し、脅威を迅速に特定・対処する、高度なセキュリティ管制センター」のようなものです。
主要なXDRソリューション:
Palo Alto Networks Cortex XDR
Trend Micro Vision One
Microsoft 365 Defender
6. SOAR (Security Orchestration, Automation and Response) - セキュリティ運用を自動化
SOARとは、Security Orchestration, Automation and Response の略で、セキュリティインシデントの対応プロセスを自動化・効率化するためのプラットフォームです。
SOARは、インシデント対応手順を定めたプレイブックに基づいて、インシデントの検知、分析、対応を自動化します。これにより、セキュリティ担当者の負担を軽減し、迅速なインシデント対応を実現できます。
例えるなら、「セキュリティインシデント対応を自動化する、強力なロボットアシスタント」のようなものです。
主要なSOARソリューション:
ServiceNow Security Operations
Splunk SOAR
IBM Security SOAR
7. SIEM (Security Information and Event Management) - セキュリティ情報を一元管理
SIEMとは、Security Information and Event Management の略で、様々なセキュリティ機器やアプリケーションのログを収集・分析し、セキュリティインシデントの検知・対応を支援するシステムです。
SIEMは、組織全体のセキュリティ状況を可視化し、脅威の早期発見と迅速な対応を支援します。
例えるなら、「組織全体のセキュリティログを収集・分析し、異常を検知する、高性能な監視カメラシステム」のようなものです。
主要なSIEMソリューション:
Splunk Enterprise Security
IBM QRadar
LogRhythm
8. 脅威インテリジェンス - 攻撃者の情報を活用し、防御を強化
脅威インテリジェンスとは、サイバー攻撃に関する情報を収集・分析し、セキュリティ対策に役立てるための情報です。攻撃者のTTP(戦術、技術、手順)や、攻撃に用いられるマルウェアの情報、脆弱性情報などが含まれます。

脅威インテリジェンスを活用することで、攻撃を未然に防いだり、攻撃を受けた際の影響を最小限に抑えたりすることができます。
例えるなら、「敵の戦術や武器を知り、先手を打つための情報」のようなものです。
脅威インテリジェンスの活用例:
最新の攻撃手法を把握し、セキュリティ対策を強化する
自社が標的となる可能性のある攻撃グループを特定する
インシデント発生時に、迅速かつ適切な対応を行う
9. サプライチェーンセキュリティ - 取引先も守る、新たなセキュリティ対策
サプライチェーンセキュリティとは、自社だけでなく、原材料や部品の調達先、製品の販売先、業務委託先など、サプライチェーン全体のセキュリティを確保するための対策です。
近年、サプライチェーンを標的とした攻撃が増加しており、自社のセキュリティ対策を強化するだけでは不十分です。サプライチェーン全体のセキュリティレベルを向上させることが、重要となっています。
例えるなら、「自社だけでなく、取引先も含めたセキュリティ対策」であり、強固なセキュリティ体制の構築には不可欠です。
サプライチェーンセキュリティ対策の例:
取引先へのセキュリティ監査の実施
サプライチェーン全体での情報共有体制の構築
セキュリティインシデント発生時の対応計画の策定
10. クラウドセキュリティ - クラウド環境を守るための対策
クラウドセキュリティとは、クラウド環境における情報資産を保護するためのセキュリティ対策です。
クラウドサービスの利用拡大に伴い、クラウド環境を標的としたサイバー攻撃も増加しています。クラウド環境特有のセキュリティリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
例えるなら、「クラウド上のデータやアプリケーションを守るための、専用のセキュリティ対策」のようなものです。
クラウドセキュリティ対策の例:
CSPM (Cloud Security Posture Management): クラウド環境の設定ミスを検知し、修正を支援
CWPP (Cloud Workload Protection Platform): クラウド上のワークロード(仮想マシン、コンテナなど)を保護
データ暗号化: クラウド上に保存するデータを暗号化し、情報漏洩を防ぐ
11. データ保護 - 重要な情報を守るための対策
データ保護とは、機密情報や個人情報などの重要なデータを、不正アクセスや情報漏洩から保護するための対策です。

企業にとって、データは最も重要な資産の一つです。データ保護を徹底することで企業の信頼性を維持し、事業継続性を確保することができます。
例えるなら、「企業の生命線であるデータを守るための、厳重なセキュリティ対策」のようなものです。
データ保護対策の例:
データ暗号化: データを暗号化し、不正アクセスによる情報漏洩を防ぐ
データマスキング: 機密情報を匿名化し、不正利用を防ぐ
DLP (Data Loss Prevention): 機密情報の社外への持ち出しを検知・防止する
12. IDaaS (Identity as a Service) - クラウド時代のID管理
IDaaSとは、Identity as a Service の略で、ID管理・認証機能をクラウド上で提供するサービスです。

企業のクラウドサービス利用拡大に伴い、ID管理の負担が増加しています。IDaaSは、ID管理・認証機能をクラウド上で一元管理することで、運用負荷を軽減し、セキュリティを強化します。
例えるなら、「クラウドサービスのID管理を、まとめて代行してくれるサービス」のようなものです。
代表的なIDaaSソリューション:
Okta
OneLogin
Microsoft Azure Active Directory
13. ゼロデイ攻撃 - 未知の脆弱性を突く攻撃
ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアの脆弱性が発見されてから、修正プログラムが提供される前の「ゼロデイ」を狙った攻撃です。
ゼロデイ攻撃は、対策が困難なため、非常に危険な攻撃です。
例えるなら、「対策方法が確立される前に仕掛けられる、奇襲攻撃」のようなものです。
ゼロデイ攻撃対策の例:
脆弱性情報の収集
迅速なパッチ適用
侵入検知・防御システム(IDS/IPS)の導入
14. ランサムウェア - 身代金要求型のマルウェア
ランサムウェアとは、データを暗号化し、復号と引き換えに身代金を要求するマルウェアです。
近年、ランサムウェアの被害が急増しており、多くの企業がその脅威にさらされています。
例えるなら、「データを人質に取り、身代金を要求する、悪質な誘拐犯」のようなものです。
ランサムウェア対策の例:
定期的なデータバックアップ
セキュリティ対策ソフトの導入
不審なメールや添付ファイルを開かない
15. フィッシング - 偽装メールで情報を騙し取る攻撃
フィッシングとは、偽のウェブサイトやメールなどを利用して、ユーザーを騙し、個人情報や認証情報を窃取する攻撃手法です。
フィッシング攻撃は、ユーザーの心理的な隙を突く、巧妙な手口で行われます。
例えるなら、「偽の身分証で個人情報を聞き出す、巧妙な詐欺師」のようなものです。
フィッシング対策の例:
メールの送信元を確認する
不審なリンクや添付ファイルを開かない
セキュリティ意識向上トレーニングの実施
16. DDoS攻撃 - サービスを妨害する攻撃
DDoS攻撃とは、Distributed Denial of Service Attack の略で、複数のコンピューターから、特定のサーバーやネットワークに大量のアクセスを集中させ、サービスを停止させる攻撃です。
DDoS攻撃を受けると、ウェブサイトが閲覧できなくなったり、サービスが利用できなくなったりするなど、事業活動に大きな影響を及ぼします。
例えるなら、「大量の偽客を送り込み、営業を妨害する行為」のようなものです。
DDoS攻撃対策の例:
DDoS攻撃対策サービスの導入
ネットワーク帯域の増強
アクセス元の制限
17. 内部不正 - 組織内部からの脅威
内部不正とは、組織の内部関係者による、情報漏洩や不正アクセスなどの行為です。
内部不正は、組織の内部情報に精通しているため、外部からの攻撃よりも大きな被害をもたらす可能性があります。
例えるなら、「信頼していた従業員による、情報の持ち出し」のようなものです。
内部不正対策の例:
アクセス権限の適切な管理
操作ログの記録と監視
従業員へのセキュリティ教育
18. 脆弱性診断 - システムの弱点を発見する
脆弱性診断とは、システムやネットワークの脆弱性を特定するための診断です。
脆弱性診断を実施することで、セキュリティ上の問題点を早期に発見し、対策を講じることができます。
例えるなら、「システムの健康状態を定期的にチェックする、健康診断」のようなものです。
脆弱性診断の種類:
プラットフォーム診断
Webアプリケーション診断
19. ISMS (Information Security Management System) - 情報セキュリティマネジメントシステム
ISMSとは、Information Security Management System の略で、組織の情報セキュリティを管理するための仕組みです。
ISMSを構築・運用することで、組織の情報セキュリティレベルを向上させ、情報漏洩などのリスクを低減することができます。
例えるなら、「組織の情報セキュリティを守るための、包括的なルールと手順」のようなものです。
ISMSの国際規格:
ISO/IEC 27001
20. 多要素認証 - 認証を強化するセキュリティ対策
多要素認証とは、ID/パスワードに加えて、生体情報やワンタイムパスワードなど、複数の要素を組み合わせて認証を行う方法です。

多要素認証を導入することで、不正アクセスのリスクを大幅に低減することができます。
例えるなら、「本人確認を、複数の方法で、より厳格に行う仕組み」のようなものです。
多要素認証の例:
指紋認証 + パスワード
SMS認証 + パスワード
顔認証 + パスワード
まとめ - BtoB/ITライターはセキュリティの知識が必須
サイバー攻撃が巧妙化・高度化する現代において、セキュリティは企業にとって最も重要な経営課題の一つです。
このような背景のもと、セキュリティに関する正確かつ分かりやすい情報を提供できるBtoB/ITライターのニーズは、ますます高まっています。
本記事で紹介した20個のセキュリティキーワードは、セキュリティ関連記事を書く際に理解しておくべき、基本的なワードです。これらのキーワードを理解し、記事中で効果的に活用することで、ライターとしての市場価値を高めることができます。
BtoB/ITライターとして、さらに高みを目指したい方は、「未経験からBtoB・ITライターを目指す - キャリア構築ガイド」も、ぜひご覧ください。
本記事が、BtoB/IT専門ライターを目指す皆様、そして、セキュリティ分野に挑戦したいWebライターの皆様にとって、有益な情報源となれば幸いです。