見出し画像

シリーズものならではの醍醐味。中山七里『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』

中山七里さんの小説は、岬洋介シリーズの『いつまでもショパン』をきっかけに読むようになりました。シリーズ1巻目の『さよならドビュッシー』ではなく、「ショパン」だったのは、舞台がポーランドだったからに尽きます。

先日、反田恭平さんと小林愛実さんが入賞をしたショパンコンクール。中山作品と出会ったことで、興味深くニュースを見ることができました。この小説を読まなければ、ショパンコンクールが舞台となるアニメの『ピアノの森』も見なかったと思います。

魅力的なシリーズが多い中山作品ですが、今回ご紹介するのは老老コンビが活躍をする『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』です。

元裁判官の西園寺静と名古屋商工会議所会頭で要介護探偵香月玄太郎の名コンビが事件を解決します。

コンビ2作目となった本作は、舞台が東京になりました。前作は名古屋が舞台だったので、玄太郎主導といった感じでしたが、本作は静おばあちゃんの魅力が遺憾なく発揮されています。

物語は短編で、第一話「もの言えぬ証人」、第二話「像は忘れない」、第三話「鉄の柩」、第四話「葬儀を終えて」、第五話「復讐の女神」の5話に分かれています。四話と五話は、静おばあちゃんの過去とも関係してきます。

主人公が老老コンビということもあり、介護やオレオレ詐欺といった高齢化社会にまつわる問題が書かれています。ちょっとしたねじれが事件のきっかけにもなっていたりして、2人の推理力が光る作品です。

静おばあちゃんの過去が登場することで、本作を読了した後、シリーズ1作目でありながらスピンオフ的な要素が強い『静おばあちゃんにおまかせ』と2作目で名コンビが誕生した『静おばあちゃんと要介護探偵』を読むことになりました。

本作のラストの展開を考えると次回があるのか気になりますが…。人生の先輩たちの活躍はもっと読みたいというのが本音です。現実は、色々ともやっとしますが、小説の世界は一刀両断、すっきりというのを期待したいですね。

今回、このシリーズを読んだことで、また別の中山作品も読むことになりそう。読書の秋に何冊の中山作品を読むのか、積読本が増えそうな予感しかありません。

いいなと思ったら応援しよう!

tsubamihoko
サポートありがとうございます。いただいたサポートは、人生の楽園に行く時に使います。

この記事が参加している募集