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11歳年下の彼氏について

メリットデメリット、のような話をするつもりはないが、自分の気持ちの整理を兼ねて今年初めて、文章を書こうと思い立ったので残そうと思う。
テーマはタイトルの通りである。

11歳年下。現実世界で出会っていたのなら、お互いに恋愛対象にはならない歳の差ではある。出会いがネトゲで、特異な環境だったこと、彼が年齢差を気にするタイプではなかったこと、私自身好きになったら何もかもどうでもいい人間だったこと……と、挙げだしたら止まらないくらい条件が重なって、奇跡のように恋人になることができた。

片思いをしていた頃は、11歳年下の相手を好きになるなんて頭がどうかしてしまったと思ってネットサーフィンで歳の差恋愛について調べ尽くしたし、ネット恋愛、ネトゲ恋愛についても調べ尽くした。
エッセイやブログ、啓蒙記事、怪しい情報サイトを見て回って私が思っていたことは、「私の恋は叶わない」ということだ。というか、今現在ネット恋愛や歳の差で片思いをしている人々はおおむね、私と同じような思想に辿り着くのではないだろうか。
男性が年上の歳の差恋愛とは、訳が違う。
女性が年上の恋愛はうまくいかないだとか、成功率が低いだとか、散々な情報が多かった。そして、うまくいった人の体験談は大抵、女性が年齢を感じさせないくらいの美人だったり、器量よしだったりするもの。
何もない自分は、何もないのだから好かれる謂れがないだろうと。
ただ、ネット恋愛のよいところは、初見で容姿でふるいに落とされることがないことだ。私の容姿は下の中くらいだと自負しているが、彼と交流をする中で気を付けていたのは、楽しそうに話すことだ。通話という、「声」のみのコミュニケーションで、一緒にゲームをする相手が暗かったり、苛立ったりすればそれだけで印象が悪くなる。
そこに気を付けながら、笑顔で、他愛無いことには大げさに笑って、彼の話をよく聞いて……ということを繰り返していたら、彼から懐かれることができた。
そこからはタイミングがよかった。
私も彼もネットの人とそう簡単に会うタイプではないのに、タイミングがよかったのかお互いに抵抗なく会うことができて、彼は元彼女と別れて数か月目の一番寂しい時期だったこともあり、晴れて私が恋人となった。

好きな人と恋人になれて幸せ。ハッピーエンド。
……とはならない。
恋人になって、やはり色々な問題が出てくる。

まずは、お金の問題。というか比重が一番大きいかもしれない。
私の方が一回りくらい上だから、金銭的に余裕もないのに多く出してしまう。彼に車を出してもらっているからごはんは私が奢るべき、だとか、小さな買い物で支払ってあげる、とか。
強要をされているわけではないが、何となく……、本当に何となく、出してしまうのだ。
そして、私は彼にプレゼントをあげるのが好きだから、つい色々と買ってしまう。お返しはあるが、つり合いは取れない。お返ししてくれるだけで十分なはずなのに、転職で給料が減ったこともあり、お金に対して心の余裕がない自分が情けない。
彼は自分への投資が多い。洋服だとか、ライブだとか。私にお金をかけたくないのだろうなと、そこまで考えてしまう自分のネガティブに反吐が出る。
私は私。
彼は彼。
お金で愛は測れない。そうは思うものの、あまりの私への興味のなさに愕然とする日も少なくはない。

二つ目は、会う頻度。
そもそも、彼は転職するときに私が住んでいる地域へと引っ越してくるはずだった。同棲の話も出たがお互いにお金がなかったので断念……。それでも電車で1時間以内で行けるならいいやと思っていた。そこまではいい。私もお金がないなかでどう工面するか悩んでいたから。
ただ、彼はこちらにこなかった。同じ県内で転職し、そして同じ県内に引っ越しをした。
片道約2時間、往復交通費5000円。
頻繁に行ける距離ではない。それでも私は会いたくて行ってしまうが、逆はない。
彼は基本的に、こちらに用事がなければ来ることはないのだ。何かのついでにデートになるか、同行者がいないからと誘われて私が行くだけのこと。
彼は会えなくても寂しくないという。通話をしなくても平気だとも。一度言われてから、彼はそういう考えだから、私は必要ないのだろうなと病んだこともあった。
友達と楽し気に遊んでいて、私の連絡への返信も少なくて、私じゃなくて、友達と通話をしている。
私の存在いらなくない?というのは彼にぶつけたことがある。話し合いをして、彼の考えは理解できたが、いらなくないか、とは今でも思い続けている。
とはいえ彼には一度聞いてしまっているから、これは割り切るほかない。私は、私が好きな以上、要不要は関係ない。私がいたいからいる、と開き直ることにしている。
会いたいと言えばおいでと言うし、おそらくではあるが、来てくれと言ったら来てくれるのかもしれない。言うことはないと思うが。
会いたくないわけじゃないとは言われた。
そんな彼だから、本当は無理矢理にでも同棲をしてしまえば良かったと、今になって後悔している。

三つ目。誰でもいい感。
これは完全に私の所感に過ぎないのではあるが、彼は多分、私じゃなくてもいい。前述の会う頻度のところで話した存在意義。彼は恋人がいればよくて、その恋人は誰でもいいのだと思っている。
たまたま私しかいなかったから私が恋人になれただけで、ストライクゾーンがないのではないかと思うほど許容量が広い彼は、私と別れてもすぐに恋人を作るのだろうと思う。
まあ、彼自身も一応付き合わない基準を持っているということで説明されたが、新しく出会う人にはおよそ適用されないルールではあったから、新しく出会えば万事うまくいきそうではある。
彼に直接、私である必要がない、というのは二度ほど話したことがある。二度とも絶望したように息を飲んで、何でそんなことを言うの、と言われたから、おそらく傷つけてしまったのだと思う。
でも、そうだろうと思っている。今も私は、彼と付き合う相手が私である必要はないなと思いながら恋人をしている。
2時間かけないと会えない彼女より、近場で彼女を作ればいいのではないか。
こちらに引っ越してくれなかったのだし。
それならそれで、私に引っ越してくれと頼んでくれなかったのは何故なのか。フルリモートで、どこでも自由な場所で仕事ができるわけではないが、彼が誘ってくれたら引っ越して一緒に住むこともできたのに。
この時点で私は、彼との未来はないのだろうと思ってしまった。
じわじわと心を侵食されて傷ついて、泣いて泣いて、そして吹っ切れた。
どうせ別れが来るなら、その日まで楽しもうと。
期待はしていないが、所々で期待してしまっている部分があった。
だから不満と不安が溜まってしまったのだ。
今後はそれも、意識して気を付けていきたい。

ここまで長々と愚痴のようなものを綴ったが、彼はとても優しくて一回り下だと思えないくらいしっかりしている。
周囲に合わせて、周囲が望むように振舞って、立ち回って。
いいように使われているとしか思えないことでも引き受けて、なんてないような顔をしている。
理不尽な目に遭っているのに、それをポジションに捉えて、明るくすべてを昇華していく。
彼の人生の暗い部分の話を聞いて、色々と思うところもあったけれど、強い子だなと思う。お世辞でも何でもなく、優しくて出来た人。尊敬できる人。
彼は、甘えることが苦手だったらしい。
でも私には甘えてくれる。
起き抜けは絶対にぐずるし、膝枕で眠りたがるし、寝ているときもくっついてくる。
暑がりで寝れないと言ったのは彼なのに、寝てしまうと抱きしめてくる。
若く見えるよ、だとか、肌が綺麗、だとか、すっぴんがかわいいだとか。
嘘が言えないことは知っているから、本心で言ってくれるのが分かる。多少のお世辞が含まれていたとしても、そう言ってくれることが嬉しくて、またそこで好きになる。
私とのデートのために車を出してくれて、遠い距離を送ってくれることもある。
好きな曲、好きなアニメ、好きなキャラ。
彼は何でも話してくれて、心を許されていることが伝わってくる。
自分が母親になった気分にならないこともない。
それでもまあ、いいかと思う。
他の人の前で頑張っている彼が、少しでも安らげる場所であれたらいいと。

総括として。
歳の差があってもなくても、恋愛は多分、試行錯誤の繰り返し、お互いの妥協地点を探す旅に変わりはない。
話し合うべきは話し合って、自分の中で解決できる部分は解決して。
そうして二人の軌跡ができていくのだろう。

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