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37日目:ふむ【踏む】→エッセイ
ふむ【踏む】
物の上に足を置いて、体重をかける。足でその上に乗る。
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ずっと前に付き合っていた彼氏は、台所でスリッパを脱いでその上に乗って料理するという私の癖を、泣くほど嫌がっていた。
(裸足の解放感を味わいたいけれど、フローリングが冷たくて…。)
横着な私も悪いけれど、スリッパの型崩れが泣くほど嫌、というのもなんだかすごい…と泣いている彼をみて感心した。
(この温度差のせいか、彼とはすぐに別れた。)
血液型を予想しあうシチュエーションで、私はO型以外の血液型を言われたことがないし、実際にO型なうえに超ド級の大雑把だ。
過去の恋人たちや今の夫にも、いろんなことで怒られてきたけれど、怒るポイントはそれぞれに異なった。
スリッパを上から踏むと泣く人もいれば、洗面所でコップの水を捨て忘れると怒る人、加湿器の水が補充されていないと悲しむ人、手数料を気にせずATMを使う私に眉をひそめる人、どんなに部屋が散らかっても平気だけど水まわりだけは死守したい人、洗濯物の干し方に独自のこだわりがある人…
これが全て一人の男性だったら、私は3日で発狂して泣きながら別れ話をする。
一人につき2~3つ「どうしても許せない」ポイントがある程度だったので、なんとか折り合いをつけたり、つけなかったり(笑)、試行錯誤してやってきた。
ちなみに私の「どうしても許せない」は、ベッドで物を食べるという行為だ。私の大雑把に腹を立てていた彼等の中にも、ベッドでお菓子をボリボリ食べる人はいて、その度にベッドだけはお願いだから…と頼んできた。
この、「どうしても許せないポイント」はどこから生まれるんだろう?
ベッドで物を食べるなと親から注意された記憶はない。そもそも家族がベッドで物を食べるのを見たことがないから、「ベッド=物を食べてもいい場所」という発想自体が頭のどこにもなくて、ギョッとしてしまうのかもしれない。
「大人になるまで、当然だと疑いもしなかったこと」はバラエティに富んでいて、面白い。
(育ってきた環境がちがうから…と、BGMが聴こえてきそうだけれど、山崎まさよしの歌詞を持ってきて通じるのは、何歳までだろう。)
毎日のことなので、「許せないポイント」を擦り合わせるのは労力がいる。
けれど、その労力をかけてもいいと思える相手がいるうちは、お互いが心地よく過ごせる工夫を、楽しみながらしていきたい。
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