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里山大百科「冬」フィールドサイン
食べあと、糞、足跡、爪跡…
動物が残した痕跡のことをフィールドサインという。これは和製英語なので、正しくは「生活痕跡」というほうが望ましいとされるが、いずれにせよ耳慣れた言葉を使えばいいような問題。筆者はここでは使い慣れたフィールドサインで通すことにしたい。
さて、里山で見つかるフィールドサインというと、これが数限りなくあるといっても過言ではない。食べ跡、糞、足跡、爪跡。そのほかにも動物が日常の生活の中で周りの環境に残した痕跡があちこちに見つかる。
まず、それがフィールドサインであるかどうかということに気づくだけでも楽しいものだが、もう一歩踏み込んでどんな動物が、何をしたかということまで把握できたなら、里山歩きも一段と面白みを増すはずである。
さらには、痕跡の状態からその動物の前後の細かい動きまで推定できるようになれば、動物の生活に対する理解もホンモノの段階。フィールドサインを解読し、その当事者を探し当ててみることはなかなかたいへんなことだが、やりがいもある。私の体験の一つを紹介してみよう。
マユミの木の「白い謎」
▲マユミの枝についた産卵痕(埼玉県所沢市/新開孝・撮影)
まずは上の写真をご覧いただきたい。これはマユミという落葉樹の枝であるが、その枝の湾曲した下側に白く細かい木屑が長さにして7cmくらいびっしりついている。冬場に林を歩いているとマユミだけでなく、他の木でも時折こうしたものがよく見つかる。長年気になっていたが、あるとき私はこの痕跡の謎を解こうと思い立って、枝のひとつを切り割いて調べてみた。
▲マユミの枝の産卵痕の断面(埼玉県所沢市/新開孝・撮影)
すると中には茶色のきわめて薄い米粒状の、昆虫の卵らしきものが整然と並んでいた。
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