つながってないけど、つながりのある人
一家の長女として生まれ、兄のいない私にとって、この人は まるで血の繋がった兄のような存在だ。
学生の頃から知り合いで、来年で10年の付き合いになる彼は、配属された研究室で一番最初に、私に声をかけてくれた先輩だった。
共通の知人(彼の後輩、私の先輩)がいたことが、声をかけてくれた所以だったようだけど、
聞いてみれば、お互いの出身地も近く、あっという間に仲良くなり、食堂でご飯を食べる機会が増えた。
後輩人気が高い彼は、大学の廊下で見つけられては、よく下の名前で後輩から呼び止められていた。
学生旅行で、研究室のメンバーと一緒に、新潟の民宿に泊まったり、海の綺麗な国に行ったりした。
偶然にも彼と同じ企業を受け(最終面接では送迎車も一緒だった!)、同じ職種で内定を貰い、
お互いの出身地を離れて新生活を送り、
気づけば すぐ後ろのデスクで働いていた時期もあった。
仕事が辛いときには、ファミレスや喫茶店に誘い出し、
気づけば夜遅くまで話してるような仲だった。
(ほとんど話を聞いてもらっていたけれど、嫌そうな顔を見たことがない。)
退職してからも、事あるごとに呼び出しては、たわいもない話をしていた。
彼の働く地方に遊びに行くこともあれば(弾丸1日ツアーした日もあったな。笑)、
わざわざ私の地元に来てくれたりもした。
仲の良い後輩夫婦に会いに行くため、夏と冬、北陸集合で旅行したり、(学生旅行したときに通った道を、たまたま偶然にも通って、2人で大騒ぎしたっけ。笑)、
入社同期に会いに行くため、ひっそりとgo toしたりした。
「話聞いてほしい」と言えば、気付けば長電話が当たり前で、次第に2時間確保できる日取りを探すようになっていた。
振り返れば、いつも一緒の9年間だったような気がする。
いつも絶対に味方になってくれていたし、
いつだって絶対味方になっていた。(と思う。自信はないが。笑)
ふと、相性占いを調べてみた。
2人は前世で関わりがあり、来世でも関わりのある相性のようだった。
無料占いなので、文字通り安っぽくもあるが、それでもここまで紡いできた歴史を思うと、
占いの精度を認めたくなったりもしてしまう。
血は繋がってないけれど、どこかでつながりのある人、と誓って言える、稀有で特別な「友人」なのだ。
*
人と会った後、その雰囲気で聴く曲を選ぶのが好きだ。
彼と会った後は、自然と「Night Troop」を選曲することが多かった。
曲のテンポ、ゆるさ。意味のあるようで、ないような歌詞。
楽しかったライブの帰り道のような心地よさ。
ふたりの関係を象徴するような曲だと思っている。
彼が住む街として、彼に会う、おそらく最後の3日間が始まる。
私は、何を選曲して、帰りの富士山を望むのだろうか?
楽しさと、ワクワクと、ちょっぴり寂しさを共に、
つながっていないけど、つながっているような、
忘れられない思い出を重ねていきたいと思う。