GoogleとFacebookの終わりのはじまり? -EUのGDPR施行その2-
遠く離れたEUで施行された厳しい個人情報保護法、GDPR。この法律は、あらゆる意味で「米国インターネットジャイアントへの対抗」です。今日は、GDPRの背景と思想から、これからのインターネットの世界を考えてみたいと思います。
プライバシーを巡る市民の戦い
GDPR施行の背景を語る際に、避けて通れない人物がいます。その名は、Max Schrems。シリコンバレーで法律を学ぶ大学生だった彼は、監視社会と安全保障に関する活動家Edward Snowdenに影響を受け、Facebookを相手取りプライバシーに関する多くの訴訟をEU圏内で提起しました。
データは富の源泉。大量の個人情報を持つGoogleやFacebookといった米国のインターネットジャイアントたちが、私たち市民のプライバシーを脅かしている。
2013年には、欧米間の自由なデータ移転を認める協定が無効になるなど、彼の法廷での成果が、このGDPR施行につながったといえるでしょう。
データ可搬性(Data Portability)で揺らぐ一強のプラットフォームビジネス
携帯電話通信サービスに、ナンバーポータビリティ制度(NMP)がありますね。電話番号は変わらないまま、通信キャリアを自由に選択できる制度です。GDPRには、「データ可搬性(Data Portability)」という新しい権利の概念が盛り込まれています。
データ可搬性(Data Portability)とは:
・ユーザーは、ウェブサービスの事業者に、いつでも自分の「個人情報」の返還を要求し、他の事業者に移すことができる権利
・そのために、ウェブサービス事業者間で「個人情報」を転送可能なフォーマットで提供されることを求める権利
GoogleやFacebookといったプラットフォームビジネスの一強独占は許さない。ユーザーはプラットフォームを自由に選択することができるようになるべきだ。EU当局の強いメッセージが聞こえてきませんか。
『FREE』な時代の終わり
インターネットは無料だ。
私たちは煩わしい広告表示を受け入れさえすれば、自分の「個人情報」と引き換えに、当たり前のようにあらゆるサービスを”無料で”享受してきました。裏には、私たちの「個人情報」をお金に換えている誰かがいることをうすうす気味悪く感じつつも。
しかし、Cambridge Analytica事件(Facebookの個人情報が選挙コンサルティング会社に流出していた内部告発スキャンダル)を出してくるまでもなく、私たちの「個人情報」は私たちが考えるよりもずっと大切で、価値のあるものであるようです。
当面の間は、インターネットジャイアントの寡占状態は変わらないかもしれません。しかし、個人情報と引き換えの”無料”というビジネスモデルは、遅かれ早かれ行きづまるのではないでしょうか。実際、独占禁止法対応のためにGoogleはEUでアプリの有料化に踏み切るそうですし。日本でも何らかの法規制が行われるのか注目していきたいと思います。
ごきげんよう。
「日本に寄付文化を」にご共感いただけましたら、サポートのほどよろしくお願いします🙇♀️💦