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『BASARA』は人生のバイブル

個人的に思春期に衝撃を受けたものって少なからず一生影響を受けると思ってて。漫画にしろ音楽にしろ、作者が亡くなるともう二度と新作に出会うことはできなくなる。考えただけで辛い。

私にも人生観を決めた漫画がある。『BASARA』っていうんですけど。小学生のときに出会っていまだに年に3回は通しで読んでるくらい影響を受けた作品。

近代文明が衰退し王政が復活した世界で、運命の少年として白虎の村の少女が立ち上がり革命を起こす物語。

少女漫画なので、親の仇とそうとは知らず惹かれあってしまう恋愛要素もあるんだけど『BASARA』の魅力はそれだけでじゃない。

とにかく状況が主人公の更紗に厳しくて痛い。
とことん窮地に追い込んで、間違った選択もさせる。その結果大切な人を失ってしまうことも。なまっちょろい少女漫画なら、そこで優しい王子様が甘い言葉で慰めてくれるだろうが『BASARA』にそんな王子は登場しない。容赦なく自分の行ったことの結果を突きつけてくる。
自分の頭で考え、自分で乗り越えなければいけない。それは仲間も同じ。

ことさら更紗に厳しくあたる仲間といえば、奴隷出身の踊り子揚羽。更紗が物語の核心に触れる事態に直面し、戦う気力を失ってしまったときですら、富士山の樹海に置き去りにしてしまうくらい。運命の少年の証である白虎の刀も「戦わないならもう必要ないだろう」と谷底へ捨ててしまう容赦のなさ。

でも私はこの揚羽というキャラクターが『BASARA』の中ではダントツに好きだった。厳しいのに愛に溢れたキャラクターだったから。期待していると口には出さないけれど、言葉とは裏腹に行動を見れば大切に思っていることがわかる懐の深い男なのである! 誇りと風を背負ったとにかくいい男なんだ!!

更紗が幼い頃、砂漠で切り捨てられそうになったのを身を呈して助け、右目を失ってしまったときから揚羽は体をはってここぞというときに更紗を守ってくれた。

王子様じゃないけど、本当に大ピンチのときには助けてくれてたな。恋人じゃないんだけど、兄や、ときに母性すら感じさせるあの感じ、なんて表現したらいいんだろう。

とにかく『BASARA』に出てくるキャラクターはみんな台詞に生き様を感じる。こんなふうに生きてきた人だからこういう言葉が出てくるんだろうな、って行動と言葉に説得力がある。私は登場人物の言葉や行動に矛盾や疑問を感じると物語に入り込めないタイプなんだけど『BASARA』にはそれが一切なかった。仲間や敵の一人一人に人生がちゃんと見える。そういうところも魅力のひとつ。

主人公の更紗は、革命家と呼ぶにはあまりに頼りなくみんながほっとけないと集まってくるタイプで決してヒーローなんかじゃない。

悩んで落ち込んで、もがいて仲間とともに成長していく。ときに間違えることもあるけれど、正してくれる仲間もいる。ただの悪人だったような仲間も一緒に旅をするうちにだんだんと変化していく。決して善人になるわけではない。彼なりの筋道のようなものを見つけていくのだ。

『BASARA』にはとにかくたくさんの登場人物がいる。その誰もが人間くさく、魅力的で生き生きとしている。読者も主人公の更紗と仲間とともに戦い、悩み、愛し、成長していく。

何度読んでも新しい発見や、感動がある。今までもたくさんの漫画に出会ってきたけれどいまだに『BASARA』を超える漫画には出会っていない。

私の人生観や倫理観の少なくとも半分は『BASARA』でできている。作者の田村由美先生は『ミステリと言う勿れ』や『7SEEDS』などの名作を世に送り出し続けている。ずーっと追いかけているけれど、いまだ衰え知らずな創作意欲には、ただただファンとして感謝しかない。

思春期に影響を受けた作家の新作を今でも読み続けられるのは、ただただありがたい。

話してたらまた『BASARA』が読みたくなっちゃったよ。何回読んでも全然飽きない名作だから、読んだことない人はぜひ読んでみて。

#この漫画(アニメ)で育った、人生を学んだ
#書く部のお題で書いてみた

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