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エッセイ『好きになってしまいました。』を好きになり過ぎてちびちび読みがつらい話
エッセイが昔から好きだ。一見なんの関係もないもの同士を思いもよらない視点で繋いでみせる、その鮮やかさはとても気持ちがいい。「そう繋がるのか〜!!」と思わず膝を打つエッセイに出会うと、それだけで心が浮き足立ってくる。
三浦しをんさんの『好きになってしまいました。』にどハマりしている。恥ずかしながら私の三浦さんへの知識レベルは「舟を編むの作者さんだっけ」くらい。エッセイを出版されていることももちろん知らなかった。『好きになってしまいました。』を知ったのも、別の本がきっかけ。
この本の中で『好きになってしまいました。』の一節が紹介されていて、面白かったので興味をもった。調べたら図書館にも置いていたので、ソッコーで借りに行く。
雑誌や新聞に書いたエッセイを集めた本で、1章のテーマは「美と愛はあちこちに宿る」。こだわりの美容方法や小洒落たお気に入りアイテムなど紹介されるのかと思いきや、1話目から自宅の庭にあった名前のわからない木の話をしている。かと思えば、ドテラを着てゴミ出ししてたら近所のおばちゃんに、40歳で結婚した女の子の話をされて「諦めないで!」と唐突に励まされた話や、自宅に入り込んでくるアリとの格闘話など美と一見関係がなさそうな話もぶっ込んでくる。
ただ、これがむちゃくちゃ面白い。「小気味いい」っていう言葉がぴったり。リズムがあって、読んでいて気持ちがいい。心地良くなる文章。独特の視点で切り取られた小話はまるで落語のよう。
図書館で借りたにも関わらず、結局手元に置いておきたくなって最後まで読むのを待たずに紙の本を買ってしまった。毎日ちびちびと読み進めている。が、油断するとページをめくってしまう。仕事で無味無臭のWeb記事を書くのに疲れたとき、ちょっと開いて元気をチャージするために取っておきたいのに。一気に読んでしまいたい気持ちと、未練がましくちびちびといつまでもこの本を味わい尽くしたい気持ちがせめぎ合う。
あぁ、どうしよう。もう半分以上読んでしまった。
自分でも想像していなかったくらい、この本のことを好きになってしまいました。