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ジャミロクワイの『virtual insanity』で。
2年に一度くらい、ひょっこりむくむくと私の脳裏に現れる絵がある。
それは、奇妙なのだけれどワクワクする絵で、いまでは小学6年生の子ども達にうきうきしながら話すのだけれど、大抵なんの反応も返ってこないか、え?なんだか気持ち悪い。などと言われて、そうかなぁ?めっちゃ面白いと思うんだけどな。と思い返して、うん。やっぱりすごく面白いじゃない!
と、このワクワクをまったく見られない家族を残念に思いながら、ひとりで思い返してはまた楽しく、ワクワクしてしまう。
どんな絵かというとそれは、体育館に集まったたくさんの小学生が、ジャミロクワイの『 virtual insanity』にあわせて、とても上手にしかもめっちゃ楽しそうにムーンウォークをしている、という絵。もっと正確にいうと、絵というより、動画ね。
とにかく小学生。ダンスが上手な小学生が、300人くらい。彼らは思い思いに自分のムーンウォークに熱中している。スケート場でスケーター達が思い思いに滑るように、体育館で。お互いがお互いを邪魔せずに、なんらかの秩序を持って、不規則なムーンウォークの動きを繰り返しながら、個々のダンスをしている。素敵なことに、時折向き合った生徒がセッションしたり、複数人のグループになったりもするけれど、そういった組み合わせはその時その時で生まれては解けてまた、生成されていく。彼らは曲がかかっている間中踊っており、カメラがどこを切り取っても絵になるシーンが演出され、彼らの楽しんでいる様子が、こちらまで乗り移ってワクワクしてしまう。そんなシーンがそこここに、点在している。そんな絵。
なぜか曲がジャミロクワイの『virtual insanity』であるところもいい。
歌詞は技術に対して否定的だけれど、なんだかこの曲が生まれた時代から一回りして、歌詞の意味さえ解釈が変わりそうな曲調と雰囲気。
なんならこの絵は、soraとかでならきっと、作ってしまえる。だけどなんだか、それじゃつまらないって思うの。『virtual insanity』をたくさんの小学生が、その歌詞の意味とは関係なく楽しくムーンウォークしてるところが見たい。だって曲は素敵だし、歌も面白いし、何より小学生が一人も動きを止めることなく、自分のムーンウォークを全体の中で歩くなんて、とてもワクワクする。
私は保護者の一員として、学芸会や運動会の出し物としてそれをみるのかもしれないし、もしくは複数のドローンから撮影された映像で、学校の総合授業の結果としてみることになるのかもしれない。
とにかく、彼らが踊っているその場は、どこから見ても聞いても、楽しいお祭りになっていることに、間違いない。