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ルシア・ベルリン、ジョジョ化する

なにを言ったら分かってもらえるか自信がない。

私の友人にだったら、まずはルシア・ベルリンの説明から始めなければならないのだけれど、これを語るにはあと1時間は最低こんな風にパソコンの前に座る時間が欲しいし、私は今これを、10分で書かなくては家事が滞り、家族がもろもろの危機に晒される。もろもろの危機というのは、末息子に学校をサボってしまう癖がついてしまい、まだ若いのになんとなく運気が下がって先の人生が見えなくなるとか、上の息子の外に出かける際の上着が見つからなくって風邪をひいて帰ってくるとか、旦那さんの機嫌が悪くなって喧嘩が増えて家庭の空気が最悪になるとか、けっこうなオオゴトに発展する全ての始まりは、家事の滞りだ。

エニウェイともかく、ルシア・ベルリンは作家である。
アラスカ生まれ。幼少期は鉱山技師の父親の仕事の関係で北米を転々としたうえ、成長期をチリで過ごした。と、表紙の折り返し説明にある。

レメディオス・バロは確か、お父さんが数学者や建築家ではなかったかな。
あの人もたしか南米で過ごしていて、彼女も月の光から神秘的なインスピレーションを受けていた。でもバロは画家だ。その名前に付随してくるイメージは蝶の大群に覆われて見えなくなった娘や蝶が去った後文字通り霧散して消えた娘の消失であって、これはガルシア・マルケス『百年の孤独』のカバーに彼女の絵が使われていたからで。だけどあの絵は聖杯探求がテーマだったよね。

急がなくちゃいけないのに、話が飛びすぎ。ともかく、ルシア・ベルリンも不思議で神秘的な匂いのする南米付近で過ごした作家で、過(あやま)たず、この作家を、岸本佐知子さんが翻訳されたというのがまた、ベストマッチング。このご時世に3冊も連続して翻訳が出され、私は全て単行本で購入して毎回、惜しむように(一つずつの短編をお酒の好きな人が小さいガラスの杯でゆっくり飲むように)読み。良い時間や良い景色の中で出会えるように、持ち歩いたりもしている。ちなみにもう、とっくに10分以上経っているのだけれど、まだタイトルについて、何も言えていない。

えっと、もう時間がないので、タイトルはそのまま。時どき好きな小説が、頭の中で荒木飛呂彦先生の絵で再現されることがある。
これ、めっちゃ素敵で、一人で脳内にあるのがもったいなくって!!!

ルシア・ベルリン短編のジョジョ化バージョンが脳内で発生するのは、1冊目のドクターであるおじいちゃんが歯を抜く話とか。かなりそれっぽい。3冊目の大学に行くため初めて家族や親友と離れて(魔女の宅急便のキキのように)飛行機に乗った後の一場面とかも。遠い大学へいくために途中、親に手配され面倒を見てもらう予定の女性のお宅に伺ったら、そこにはお父さんの見たこともないような笑顔の写真があり、妙に魅力的な女性から摩訶不思議な対応をされる話で。シチュエーションが、読んでしばらくした後、私の中で荒木飛呂彦先生風に変換されてしまい、これがもう、「そのもの」すぎて…!

荒木飛呂彦先生がこれを本当に漫画化したら…の妄想が止まず、脳内が光栄モードでアルコールの必要ない絶賛・祝福漬けの脳で家事を始めなくては。
どなたか、企画してください。

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