16歳からのはじめてのゲーム理論
〜〝世の中の意思決定〟を解き明かす6.5個の物語〜
鎌田雄一郎 著 ダイヤモンド社
ゲーム理論、はじめて聞いた言葉だ。
子どもたちが夢中になってしばし親子喧嘩を引き起こす、任天堂やスマホのあのゲームの事では、もちろんない。
《考え悩む人が、考え悩む人たちの社会の中で、どうやって考え悩むのか、どうやって意思決定するのか、それを研究する学問》p.4
《「社会の中で考える」にあたって、他の人が何をするか、何を考えているかに思いを馳せることは重要です。》p.7
《ゲーム理論は、経済問題、社会問題、ビジネス、そして人間関係、全ての局面において我々に示唆を与えてくれます。》p.5
参考文献として挙げられた論文は海外のものも多く、本来は非常に難しい研究なんではないか?それを、身近な例え話でもってわかりやすく説明してくれているのがこちらの著書だ。
なるほど、見方を変えれば確かにその結論に至るかと、気付きや発見を与えてもらい、そして納得。
いろいろな視点、新しい視点を持つきっかけになりそうだ。
なかなかに興味深い。突き詰めればもっと色々と役立つのだろうが、とりあえずはゲーム理論が何かを知れた、という事でよしとしよう。
以下、印象に残った2つのセオリーを記しておく。
●全会一致にまつわる話
《全会一致という一見「なかなか議案が通らなさそう」な手法の思いがけない落とし穴が、数式を使って厳密に明らかにされました。》p.37
町内会の会議での一場面。決議案の賛否投票で、本当は反対派のF夫人が賛成に入れた理由は?
「私がどちらに入れようと1人誰かが反対すれば
(どうせするでしょ)私の票は関係ない。どっちでもいっか。」と言って賛成に。
《F夫人のように、他人も頭で考える人間であることを加味すべきだ。(これを、「戦略的投票」といいます)》p.37
●人の行動の裏側には、何か理由がある。
先生に怒られて目を腫らしている小1男児。
怒られた理由を「先生は気分屋」だと言う。
母親は「なんで先生は怒っているのかな、って考えるようにしてね。人が何かするのには、理由がある。」と息子を諭したものの…
自身が経営する洋菓子店の大家から、急に呼び出されたことに「あの人は気まぐれだから。」と愚痴を言い、今度は息子に諭される。「大家さんも、気まぐれなんじゃなくて、何か理由があって今日がいいって言ってるのかもよ?」
《短絡的な考え方をするのは、何も子供だけじゃない。大人になってみても、やっぱりそんな考えをしてしまうことって多いんだ。》p.138-p.139
《自分のことであっても傍から見てみるってのが、大事なことなんだ。》p.139
《たとえば、あなたの周りにサボっている人がいるとしましょう。(中略)このとき、「ああ、あの子はサボる子だから」と片付けてしまっては、そこで議論終了です。(中略)翻って、「なんでサボるんだろう」と考えれば、(中略) 「仕事を頑張ると給与にどう結びつくかがクリアになっていないのが問題」とか、問題点・改善点が見えてくるかもしれません。》p.141-p.142
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