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臨川茶室方丈日記「遠山無限碧層々」2020.10.14
まだ今日は、刷毛で掃いたような秋雲の空ではなく、水蒸気が厚くなった雲が垂れこめた空。
しかし、通り抜ける風は秋冷。
本日の床の間は、掛軸「遠山無限碧層々」、銅鐸の花器。
“幾重にも重なる山々、屹立と聳え立つ岩壁、上は遥かで見えないけれど、どこまでも登っていく人になりなさい”と、普彩先生がいただいたという掛軸。
銅鐸は、吊るして叩く青銅の楽器、幾つも吊るして音を奏でたという。
それを模した陶芸花器。臨川窯 吉田普彩先生作。
茶室入り口の白い椿が似合いそう。
私は東京に離れて暮らし、この5月に山形の父を亡くしました。今、母も逝こうとしています。
父の時は、全く手も足も出ず、臨終の最後の一息も、告別式もリモートで見送りました。
今回母に会いに、PCR検査の陰性証明書を携えて。
呼び掛けると一瞬正気に戻って、ニコッニコッと笑う母の笑顔を、胸におさめて来ました。
「遠山無限碧層々」
遥か彼方、自分が求める道を、私はどこまでも、岩壁をよじ登って行きます。