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風間サチコの地獄絵図にうなる/つあおのアートノート

東京都現代美術館で見た風間サチコの作品のインパクトが強烈だ。「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展」に、ヴェネツィア・ビエンナーレ作家の下道基行の作品とともに展示されている。

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風間サチコ《獲物は狩人になる夢を見る》(2016年、木版画、RED AND BLUE GALLERY蔵)展示風景

まず強烈だったのは、描かれた内容だ。《獲物は狩人になる夢を見る》という作品では、セーラー服を着た少女らしき人物が、学校の下駄箱の前でたくさんの画鋲を蹴り出している。何たる発想だろう。いったい、誰に向かって蹴っているのだろうか。

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風間サチコ《ディスリンピック2680》(2018年、木版画)展示風景

《ディスリンピック2680》は、風刺に満ちた大作。木版画としては、おそらく世界最大級の作品なのではないか。はたして、今夏の五輪はどうなるのか? 見る者にさまざまな思いを抱かせることだろう。

筆者が知る限りでは、風間サチコの作品は一貫してモノクロームである。それもあって、虚構性が強い。だからこそ脳裏にも焼きつきやすい。

《ディスリンピック2680》を作品に近づいて観察すると、地獄絵図とでもいうべき内容が描かれていることがわかり、うならざるをえなかった。スタジアム内の塔の上からたくさんの人々が落ちて行く先は、まだ固まっていないコンクリートの川と滝である。伝統的な地獄絵にのっとった描写ともいえるが、何とおぞましくもアイデアに満ちた場面設定なのだろう。

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それにしても、なぜ木版画なのか。そこには質感の味わいもあるのだろう。しかし、特に大作において重要なのは「複数性」ではないか、という気がしてきた。これほどのインパクトのある大作が、世の中に1点だけでなく複数存在しうる。そのこと自体にもインパクトがあるからだ。

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Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展
2021年3月20日〜 6月20日、東京都現代美術館


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