お電話ありがとうございます。を1日に100回言う生活をするなんて1ミリも思っていなかった


2020年の春、新型コロナウィルスのおかげで仕事はゼロ。実質、失業。
当時イベント関係の仕事で生活していた私は、2月末ごろからじわじわと仕事が減り始め3月末には全ての仕事が無くなった。
日給の私にとっては収入がゼロになるということだった。
時々アルバイトさせてもらっていた飲食店からも雇えないと言われた、そりゃそうだ、お客さんがゼロになったのだから。
収入源が無くなった。ニートになってしまった。

ニートになっても生活は続けなければならない。少しの貯金と確定申告の還付金で生活する日々。持続化給付金も申請した。1ヶ月の売り上げが去年と比べて半分以下という対象範囲に軽々と入った。2020年4月のギャラは2000円だった。半分どころの騒ぎではない。
イベントの仕事を持続化させたくて踏ん張っていたが、当たり前に限界がくる。

経済面より先に限界に達したのはメンタルだった。レースクイーンになるために上京していているのに、仕事をするために上京してきたのに、仕事がないとなると東京にいる意味がない。

このまま東京にいたら私は腐っていくと感じてしまい、自分を救うために熊本に帰ってきた。
私にとっての青春は大学時代なので、その時を過ごした熊本が地元のような感覚。本当の地元には友達はほぼおらず、両親が住んでいるだけという感じ。
大学時代とまではいかないが、なんとか自分を取り戻したかった。

でも熊本でもイベント業界が厳しいのは同じ。
とりあえず働けそうなところに片っ端から応募した。会社の事務や塾の受付など、今まで経験のない職種ばかりだったが、選んでいられる状況ではなかった。


私はここで思わぬ苦労をする。


表に出る仕事を始めたとき、名前をどうするか悩んだが、私は自分の苗字が大好きだったし、母からおじいちゃんがつけてくれた名前を使ったら?と言われて、大好きだったおじいちゃんが悩んでつけてくれた名前ならうまくいきそうな気もして本名で活動を始め6年が経っていた。

そう、面接担当者が私のSNSをチェックしてくれていたのだった。名前で検索すれば1発で出てくる。
履歴書のようなものをインターネット上で作り応募するのだが、顔写真がないと決まりづらいと書いてあり、私ももちろん証明写真風なのを添付していた。

オンライン面接で、SNS見ましたよ、と言われる。これは1回ではない。
ここからイベントの仕事についての質問攻めが始まる。仕事内容やギャラの話、枕営業はあるのかまで聞かれたこともある(もちろんあるわけがない)。
このイベントの仕事について質問してきたところは全て不採用だった。しかも、不採用の理由が、本名でのSNSがあることと言われることが多かった。
本名でのSNSがある時点でNGだったということは、面接担当者が興味本位で質問してきていたとわかると不採用で良かったとも思った。が、生活をするためには働かなければならない。

本名で活動し始めて、初めて名前を変えておけばよかったと後悔するくらい嫌な時間だった。

どうして本名でのSNSがあると仕事に支障が出てしまうのだろうか。
私のSNSを見て、守秘義務が守れなさそうとでも思ったのだろうか?

イベントの業界ほど守秘義務が厳しいところはない。新製品や新作発表会などに関わることも多かった。守秘義務やSNSに関しては現場ごとに毎回研修があるくらいだった。
でも、本名でのSNSがあるということは、そういうマイナスな方にに連想させてしまうのかもしれない。

しかしもうこれはどうすることもできない。
本当に職を選ばずに片っ端から応募した。

何社かとオンライン面接を行い、不採用やお返事が来ないということが何度か続いたが、とある派遣会社からあっさりと採用をもらったのだった。

SNSなどどうでもいい、ちゃんと働いてくれさえすれば。というような感じだった。嬉しかった。
決まったお仕事まで少し時間があったが、仕事があることが嬉しかった。

そして、私はオペレーターデビューすることとなる。
詳しい職務は言えないが、いわゆる行政のお問合せ窓口に配属され、1日100件近く電話を取る生活が始まったのだった。

コールセンターで働いて思ったことは、こんなにメンタルがやられるのか、ということだった。
レースクイーンという職業上、某掲示板でビジュアルの悪さを叩かれたことはあった。自分自身への誹謗中傷の活字たちのメンタルに及ぼす影響力は大きかった。それに比べてコールセンターの場合、私自身への暴言は滅多にない。制度や総理大臣などへの暴言苦言だったため、ふぅん…というようなテンションで最初は聞けていたが、誰に対しての暴言でも何度も何度も聞くとなると耐えられなくなる。暴言苦言の耐性はなかなかつかなかった。
でもまたニートになる怖さに比べれば全然マシだった。そんなこんなで、気づけばコールセンターに1年弱勤めた。今思えばとてもいい経験だった。

困った時、オペレーターに丁寧に説明したり話したりすると、オペレーターも親身になってくれて、できることの最大限を尽くしてくれるということを身をもって感じた。
コールセンターに電話する際はぜひ試してみてほしい。

まさか自分がコールセンターに勤め、オペレーターをすることになるなんて2019年の私は全く思っていなかった。
新型コロナウィルスのせいで辛いことも多かったが、それをどうにか乗り越えた今の私の経験値は2019年とは比べ物にならない。

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