25年にシンギュラリティが訪れると語るメディアアーティスト落合陽一氏
※この絵はお絵描きバリグッドくんで生成した(デジタルネイチャー AI 自然発生 有機 生産と消費 アート ミュージック)をキーワードに持つ画像。
僕は移動中に音声学習(とは聞こえはいいが、好きなものを選んでいるだけ)を善くしている。なにかしらのインプットをしていないともったいないと思ってしまうようであるにも関わらず、とてつもない忘却癖があるので結果的にもったいないと費やした時間に意味があったのかは謎なケースが多い。
この日は、明日地元にやってくる哲学者、内山節先生の音声をyoutubeで聞いていたハズだった。なんの拍子にか手が触れ、リンクを押してしまったのだろう。News picksでおなじみの、佐々木紀彦さんと落合陽一さんの対談動画が再生されていた。二人は1年半ぶりに会うそうで、それにしても落合さんの顔つやがものすごくいい。最適睡眠時間の実験をした結果、きちんとした睡眠時間がとれているからだと言っていた。こうして、課題への打ち手をきちんと考え、検証し、結果に出せる人は本当に素敵だなと思う。世の中でストイックだと言われている人たちに共通するもののようだ。
とはいえ、そこで語られていたシンギュラリティ論がなかなかに衝撃的だったので思わずテンションが上がってしまった。
これまで、コンピューターの計算処理速度が指数関数的に増大している(思いだしてほしい、ほんの20年前のフラッシュメモリの容量は16MBほどで、今はテラバイトになっている)ので、2040年ぐらいに人間の情報処理を超える計算機が出現するのではないか、という議論があった。これを技術的特異点=シンギュラリティと呼んでいる。そのシンギュラリティについての見解なのである。
これまで、シンギュラリティに対する懸念として人間を超えるAIが出現することで私たちの仕事が奪われるのではないか、失業者が世にあふれるのではないか、ということが囁かれていた。一方では、人間の嫌いな仕事を全て機会に任せることで桃源郷のような社会が訪れるのではないか、などの期待もあった。これらは、思うにヒト型ロボットの人工知能が発展することによる未来予想図のようなものだったと思う。
しかしながら、落合陽一氏の視界の背景にはデジタルネイチャーという概念が深淵かつ広大に広がっている。
私たちが欲してやまない”現実世界の自然”。太古からの長い年月を経て、変化し適応し今に至る(そして人間が滅ぼそうとしている)、ある意味カオスだけれど有限だったもの。例えば、動物学者が犬の属性を系統だてて区分することは、有限でありその系統が理解できるからこそ成り立つし、進化のスピードは人間の理解速度よりとても遅かった。
デジタル世界はこれまでは入力に対する変換を施し、出力を与えるような計算機としての役割として考えられていた。しかし、デジタルネイチャー世界はネイチャーの名を冠している通り自然の形態を持つようになる。デジタル世界の中での自立・進化が進んでいくのである。
落合氏は、この様子を自らが言語化したキーワードによるノーコード(コーディングを伴わない)作曲をリアルタイムで行うことにより、作曲という行為がもはやAIにとって代わられようとしている現実を描きつつ語る。AIによる作曲はものの数十秒で完了する。音楽というものは、時間軸に依存する成果物であるので、それらを僕らが評価・消費するには曲を聴くだけの時間をかけなければいけない。生成の速度が消費の速度を上回るということが既に起きてきている。
そして、デジタルネイチャー世界ではこの自立・進化が加速度的に進んでいくことで、生成される情報が消費される速度をはるかに上回ることが予測される。これこそがシンギュラリティなのだと、落合氏は語るのだ。そしてその技術的特異点が訪れるのは、2025年であると。
動画の中では”人間個体としての実存”についても触れられている。かの松下幸之助氏は人の人生の目標として、「よりよき生産と、よりよき消費の営み」と語っていた。生産という文脈が、デジタルネイチャーにとって代わられようとしている中、私たちはこれからの”人生”というものをいかに愉しんでいくかに新たな問いを投げかけられたようである。
とはいえ、別文脈ではあるが八木仁平氏の「国語・算数・理科・社会・自己理解」が世の標準となるのであれば、個の人生をより輝く方向への伸び代はたくさんあるのではないかとも思っている。
しかしながら、落合氏が語る未来像も現実であるが、地方として眼前に広がる衰退やリアルな課題もまた未来像ではあり、同じ時間軸に進行している同じ世界の話だと思う事に隔世の愉しみのようなものを感じた。
【落合陽一のシンギュラリティ論】in youtube PIVOT公式チャネル
【落合陽一の未来予測】in youtube PIVOT公式チャンネル
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