浮乃ちゃんしじみちゃん「しじみだしっ!」

東郷湖畔、はわい温泉街。
湯梨浜町は夏真っ盛りである。

浮乃としじみが、ステージに二人で並んだ。
二人の真ん中に、センターマイクが立ててある。

「こんにちは!はわい東郷浮乃です。」
『こんにちは。松江しんじ湖しじみです。よろしくお願いします。』
「…ちょっと、もう一回あいさつをしてよ。」
『えっ?今、したじゃないですか。』
「いいから!」
『は、はい…。こんにちは、松江しんじ湖しじみです。』
「ダメじゃない!」
『な、何がですか…?』
「松江のPRは分かったから、名前を名乗らないと。松江しんじ湖の名物はしじみなのは、みなさんご存知なんだから。」
『違います!私の名前です!』
「…えっ?」
『何ですか!その初めて聞きました的なリアクションは!』
「昔、『クイズ100人に聞きました』というテレビ番組があったよね。」
『昔過ぎます!この流れにも関係ないでしょ!私の名前は、松江しんじ湖しじみ、ですっ!』
「ええーっ?松江しんじ湖の名物であるしじみが、しじみちゃんの名前でもあるというのかいっ?」
『マ◯オさんみたいな驚き方はやめてください!それに、しじみちゃん、って言ってる時点で、知ってるでしょ!』
「まあ、名前でひとネタ作れたということで。」
『人の名前をネタにしないでください!』
「私たちは人じゃなくて、温泉むすめだよ。」
『それは!…、あっ、…それは…、合ってますね…。』
「いつもボケばかりじゃないからね、油断しちゃダメだよ。」
『フェイントなんかいらないです!』

「しかし、今年の夏も、例年ながら暑いよね…。」
『高温対策や熱中症の予防も、しっかりしないといけませんからね。』
「安全には十分に気を付けて欲しいよね。それと、夏バテ対策も大事だよね。」
『睡眠や食事をとって、体力を落とさないようにすること、ですね。』
「やっぱり、食べ物だよね。こう暑いと、カレーが食べたくなるね!」
『夏場にカレーもいいですね。』
「温泉むすめでカレーって、あったっけ?」
『…そうですね…。山代八咫ちゃんのブラックカレーはレトルト食品でありますけど、それくらいですかね…。』
「しじみちゃん、カレーは作らないの?」
『えっ?…と、唐突ですね…。』
「だって、しじみ料理の研究をしてるんだったら、しじみカレーも、できそうじゃない?」
『うーん…。カレーの風味が勝りそうですね…。』
「今、『だしカレー』っていうのがあるじゃない?ああいうのはどうかな。」
『お蕎麦屋さんのような、だしの風味を活かしたカレー、っていうことですよね。』
「そうそう。しじみ汁を入れたカレー、というね。」
『さざえが具に入ってるのは、見たことはありますけど…。試しに作ってみる価値はありますね。』
「そうだよ。そしたら歌蓮ちゃん、泣きながら食べると思うよ。」
『何で、泣きながら食べるんですか!』
「『これは飲んべえの救世主だ…。』とか言ってね。」
『言ってる意味が分かりません!』
「で、カレーを食べながら、お酒をあおってね。」
『全ての効果を打ち消してます!』
「すまし汁もいいけど、カレーもねっ!」
『おせちと一緒にしないでください!もういいです!』

終わり。

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