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第2回SDGs担い手育成講座(2021年度)
第2回SDGs担い手育成講座を開催しました。この講座の概要、第1回の講座につきましては、以前記事を作りましたので、こちらをご覧ください。
・トヨタ白川郷自然學校概要
第2回SDGs担い手育成講座のご報告
狙い
第2回:村のサスティナビリティを実感する
現場体験(フィールドワーク)で丸1日かけて古道整備作業を行い、道を守り続けてきた白川村の人々の想いに触れる機会とする。また、ゲストに株式会社さとゆめ代表取締役の嶋田氏をお迎えし、自身や地域、事業との〝向き合い方”をお伝えする。
参加者
年間を通した連続講座の第2回は7都県9大学から10名の若者が参加しました。新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言などによる日程変更があり、参加人数は当初予定より少なくなってしまいましたが、少数精鋭での催行となりました。
スケジュール
【1 日目】
PM 開会・オリエンテーション
ゲストトーク「自分と向き合う地域と向き合う事業と向き合う」
講師:嶋田俊平 氏
夜 ゲストトーク「なぜトレイルを整備するのか?」
白山白川郷トレイルクラブ代表 蟻原陽一氏
【2 日目】
AM 古道整備作業Ⅰ
PM 古道整備作業Ⅱ
夜 白山白川郷トレイルクラブメンバーと意見交換
【3 日目】
AM 茅場整備作業
合掌家屋で意見共有
PM クロージング
活動の様子
①開会・オリエンテーション
新型コロナ感染拡大の影響により第2回講座の日程が延期され、当初予定されていた9月から約2か月遅れでの催行。約4か月ぶりの再会で、参加者の笑顔が溢れた開会となりました。
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②ゲストトーク「自分と向き合う 地域と向き合う 事業と向き合う」
講師:嶋田俊平 氏(株式会社さとゆめ代表取締役)
株式会社さとゆめ代表取締役の嶋田氏に「さとゆめ」創業の想いや経験などを熱く語っていただきました。キャリアの中で「いかに地域に必要とされる存在になれるか」「そして、いかに自身や社員が生きていくか、 組織を維持・成長させるか 」を考えて生きてきたこと、その結果、「伴走」という、 コンセプト・ビジネスモデルに辿り着いたこと、その過程での気づきや試行錯誤したことなどを中心にお話しいただきました。
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参加者の皆さんからは以下のような感想がありました。
「自分の将来を考える上で、過去や現在の思い、体験を具体的に見つめ直すことが、未来のなりたい姿につながることを強く感じた。定義があいまいな地域活性化だが、今回のお話を聞いて具体的なイメージや方法を考えることができた。」
「村の人が一丸となって動いたり、村おこしのために努力したときの達成感などの話を聞いて、そういうのもいいなと思った。〝ふるさと”をつくったり守ったりする人はすごい。」
「愛着・誇りをもった人をその町にふるさととして来てもらったり、住んでもらったりすることはとても大切で、私はそのような子どもたちを育てたいので先生を目指します。官・民連携で、経済・環境・教育を動かすことの大切さを知りました。」
③ゲストトーク「なぜトレイルを整備するのか?」
ゲスト:蟻原陽一氏(白山白川郷トレイルクラブ代表)
「なぜトレイルを整備するのか?」と題して、白山白川郷トレイルクラブの活動で過去にあった大変だったこと、感動エピソードなどをお話しいただきました。蟻原氏のお話により、古道整備活動の意義を感じていただき、翌日の作業へ気合いを入れていただきました。また、事前課題で考えて頂いた「今まで歩いた中で、一番好きな or 思い出深い or おススメしたい道にまつわるストーリー」を蟻原氏も含め、みんなで共有しました。それぞれの背景が垣間見え、自然と一体感ができ、和気藹々の楽しい空間となりました。
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④古道整備作業
当日、天気に恵まれ、絶好の作業日和となりました。「今日は先人が歩いていた道をトレイルとして活用するため毎年整備している白山白川郷トレイルクラブの方々と一緒に作業します。」「これからの未来を考えるヒントとしてどんなことがあるのか、ぜひ自分の足で歩いて確かめてみてください。」
こんな言葉から始まりました。
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現地へ到着後、白山白川郷トレイルクラブの蟻原氏より作業の全体説明がありました。また、唐ぐわや剪定ばさみ、ノコギリなどの作業道具の説明と、安全に作業するため危険予知などを行いました。その後、グループに分かれて作業開始しました。先頭組は手ノコで枝切りを行い、ルートづけ。後発組は切ったものの除去や、歩きやすいように唐ぐわで地面を平らに均す作業をしました。
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3時間ほど作業すると、おなかはペコペコ。「腹が減っては戦はできぬ」ということで、お昼休憩となりました。森のなかの古道上で座り込み、お弁当を食べました。眼前に広がるカエデなどの紅葉を眺めながら食べるお弁当は最高においしかったです。
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昼食後、さらに1時間ほど歩いたところで今回の目的地、約550年前に蓮如上人が腰をかけたとされる蓮如岩に無事に到着しました。先人たちに想いを馳せながらひと時を過ごし、その後、集合写真を撮りその場を後にしました。
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⑤白山白川郷トレイルクラブメンバーと意見交換
夜は、丸1日作業を共にした白山白川郷トレイルクラブの皆さんと作業をふりかえり、感想を共有しました。その後、焚き火を囲みながらざっくばらんに話し合い、古道整備をどんな想いをもって取り組んでいるのかなど、トレイルクラブの方々の想いに触れる機会となりました。
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⑥茅場整備作業
3日目の朝は、茅場整備作業からスタートです。白川村では例年この時期に合掌屋根の葺き替えに必要な茅を刈り取る作業を村民が協力して行います。白川郷の美しい風景の裏にはどんな作業が必要なのか、実際に体験していただきました。
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⑦合掌家屋で意見共有
活動拠点の合掌家屋に戻り、小休憩の後、今回のふりかえりを行いました。3日間を通して、第2回は古道整備や茅場整備など、どっぷりと共同作業をしていただきました。そこで、共同作業をした上で印象的だったことについて少人数グループに分かれ、話し合っていただきました。
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⑧クロージング
最後は、第1回と同様、「今、ここ」の自身の想い(気持ち)を忘れないようにするため、1人1分スピーチの動画を撮影し、記録に残しました。この時、1つキーワードを書いていただき、そのキーワードを元にお話ししていただきました。
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実施結果(主催者所見)
第2回目の講座の目標は達成できたと考えます。ゲストトークの嶋田氏のおかげで、参加者の皆さんに、自身や地域、事業との〝向き合い方”を提供できたと感じました。また、白山白川郷トレイルクラブの方々との共同作業(古道整備作業)や焚き火を囲んでの意見交換を通して、昔から道を守り続けている村の人々の想いに触れていただきました。また、同時に実際に丸1日かけて作業に関わることで、如何にそれが大変なことかを実感されているように感じました。作業後「普段何気なく歩いている道にも、今後は感謝していきたいです。」という参加者の感想は特に印象に残っております。
参加者の声
「道をつくるという作業について何も知らなかったし、考えたこともなかったのですが、実際に自分の手で道を作ってみて、こんなにも地道で骨の折れる大変な作業であることを痛感し、あたりまえに歩ける道を作ってくれた人がどこかにいるという意識が芽生えました。」
「自然と一緒に生きるのに、人の手で整えてあげる工程が必要なことを実感しました。そして、作業を通して自然と仲良くなれた感じがしました。”仲良く”の表現は笑われるかもしれませんが、自然と一緒に生きるには、自然がもつ力と人間のちょっとした工夫のかけ合わせなのかな?と思ったから、私は自然と仲良くという言葉が浮かびました。」
「岐阜市にある金華山に立っている〝もともと地上に道はない”(魯迅)の看板が真っ先に思い浮かびました。昔の人(初めて進む人)は、立ちはだかる障壁を1つずつ試行錯誤しながら最適な道を創り出していたんだなと考え、開拓者は測り知れない困難や苦しみがあるのだろうけど、とてもかっこよくワクワクするなと思いました。また、道を切り拓いた後にも同じように進む人がいなければ、荒廃してしまうのも1つ大事なポイントだなと思いました。」
「満天の星空の下、炎を囲んで語り合うってすごく贅沢なひと時で定期的にああいった時の流れを忘れ、人と話す場がもっと日常にあるといいなと思いました。」
「感想共有で皆の話を聞いていると、それぞれが違う感じ方をしているが、どれも共感できるものであり、一緒に作業し、お話をするすばらしさを感じた。焚き火タイムでは人の将来、自分の将来、人の過去、ざっくばらんに話をしたけれども、人の考え方や経験を聞くというのはとても勉強になるものであった。」
参加者の皆さま、ご参加いただき、ありがとうございました。また、第3回に会いましょう!
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第2回講座に実際に参加された小幡成輝くんの声はこちら↓