見出し画像

第3回SDGs担い手育成講座(2021年度)

第3回SDGs担い手育成講座を開催しました。この講座の概要、第1回、第2回の講座につきましては以前記事を作りましたので、こちらをご覧ください。

・トヨタ白川郷自然學校概要

第3回SDGs担い手育成講座のご報告

狙い

第3回:未来について本気で考え、本音で語る
第3回は現場体験として、白川郷学園を訪問し、学園8・9年生(中学2年・3年生)と交流し、白川村の未来を担う子どもたちの想いに触れる機会としました。また、ゲストにトヨタ自動車株式会社 Chief Sustainability Officerの大塚友美氏やWoven Planet Holdingsの代表取締役CEOのジェームス・カフナー氏にお越しいただき、未来に目を向け、可能性溢れる多様な未来について考えていただきました。

参加者

年間を通した連続講座の第3回は7都県11大学から14名の若者が参加しました。また参加者は10代後半から30代前半まで、大学1年生から大学5年生、そして若手社会人で構成しており、多様な視点で未来を考える3日間となりました。

スケジュール

【1 日目】
  PM 白川郷学園集合
     開会・オリエンテーション
     白川郷学園 8・9 年生合同授業出席「未来の担い手と交流」
   夜 懇親会
【2 日目】
  AM 朝の森の散歩
     ゲストトークⅠ「みんなで考える未来」
     講師:大塚友美氏(トヨタ自動車株式会社 Chief Sustainability Officer)
  PM ゲストトークⅡ「最新技術で描く未来!?」
     講師:ジェームス・カフナー氏(Woven Planet Holdings 
     代表取締役CEO兼トヨタ自動車株式会社の取締役・執行役員)
     対話「伝統文化?最新技術?SDGs達成をめざす未来とは」
   夜 懇親会
【3 日目】
  AM 個人でふりかえり
     焚き火を囲んで、対話
  PM クロージング

活動の様子

①開会・オリエンテーション 
第3回講座の開会は、白川村立白川郷学園で始まりました。今回が初めての参加のメンバーもおりましたが、参加者同士のウェルカムな雰囲気のおかげか、すぐに溶け込んでおりました。

②白川郷学園 8・9 年生合同授業出席「未来の担い手と交流」
まず始めに簡単なエクササイズをしながら、生徒たちとのコミュニケーションをとる際の心構えや教育的配慮などを共有しました。

生徒たちと合流後、まずは白川郷学園8年生(中学2年生)から白川郷学園のご紹介がありました。また、9年生(中学3年生)の村への提言を聞き、感想を共有しました。その後、少人数グループに分かれ、白川村の未来の担い手である8・9年生と、今、興味あること、普段の楽しみ、不安や悩みなど、ざっくばらんに意見交換しました。

「中学生の時点で、自分の地域の課題を見つけて解決策まで考えているとは…i-padを支給され、パワポを使いこなし、大人の前で自分を堂々と表現できるとは…白川の子どもたちの圧倒的な力の連続で、白川の未来は明るいと感じた。私もこういう中学教育を受けたかった!」
「白川郷学園に私が通いたいです。私も地元に愛着があるし、学園の生徒さんも地元への思いが熱いことを肌で感じました。」
「生徒のふるさとへの思いやプレゼン、会話能力の高さに衝撃(自分はどうだった?)教育次第で将来的な課題解決につながる?」
「白川で育った生徒たちが、白川村のことをどう考えているのか感じ取れるものがあった。子どもの成長する環境の重要性をつきつけられた。」
「村民学や一連のカリキュラムを通して、学園の生徒が故郷の理解や愛着を持っていることがすごく伝わってきた。白川村に残りたいという気持ちがあっても夢をかなえるためには白川村を離れるしかないところが難しいと思ったが、どこにいても白川村を想い続けることが大切だという校長先生のお話で、違う考えも取り入れることができた。」

③朝の森の散歩× →車の雪下ろし作業
2日目の朝、清々しい森の空気を吸いにお散歩に出る予定が、前日から雪が降り続き、なんと一晩で1m近くの積雪が…。そこで、急遽、予定を変更して、マイカーで参加した仲間の車をみんなで救出するべく、各々道具を持って駐車場へ向かいました。そして、協力して車の雪下ろし作業をしました。ほんの少しですが、雪国の暮らしの一部を体験する時間となりました。

④ゲストトークⅠ「みんなで考える未来」
 講師:大塚友美氏(トヨタ自動車株式会社 Chief Sustainability Officer)
ニュースや記事などの情報に基づいて、どんな未来がくるのかをまず最初に個人ワークで考えました。その後、グループディスカッション。では、自分たちは未来で何をするのか?誰のどんな役割で役に立つのか?を話し合い、グループで意見をまとめ、発表。最後はトヨタの描く未来に対する取組みや考え方のご説明がありました。そして、大塚氏から「1つのチームとして一緒により良い未来を創っていきましょう」という言葉がありました。

参加者からは以下のような感想がありました。
「SDGs、環境問題、農村の未来を考えると、ついつい悲観的になりがちだが、こんな未来が来るのではないかと考えると、自然と明るい未来を考えており、考え方としても勉強になった。」
「〝幸せを量産する”誰かのためを思って技術を開発し、世に売り出しているのは素敵だなと思った。グループに分かれて未来を考えるのは夢が広がって面白かった。」
「学んでいる分野や視点の異なる人が集まると、自分には思いつかない発想を知ることができるので面白かった。また、夢や理想を語ることに恥ずかしさや戸惑いもなく話せる機会とチームがあったことが嬉しかった。
「今起こっていることから良い予測も悪い予測も全部ひっくるめて考えることで、1つの分野で完結せず、いろんな事象が深く関わっていることも話し合いを通して再認識できました。」

⑤ゲストトークⅡ「最新技術で描く未来!?」
 講師:ジェームス・カフナー氏(Woven Planet Holdings代表取締役CEO兼トヨタ自動車株式会社の取締役・執行役員)
「この時間はロボットやAI、自動運転といった先端技術を活かしたトヨタ自動車の実験都市““ウーブンシティ”の取組みや考え方、描く未来についてお話ししていただきます。」ファシリテーターのこの言葉から始まったトーク時間、参加者誰もが真剣に耳を傾け、初めて見る映像に目が釘付けとなっておりました。

参加者の感想は次の通りです。
「テクノロジーとは難しい話だと思っていたが、実際、根底にあるものは”人をサポートすること”という非常にシンプルな答えなのだと思った。woven city という最先端な街づくりの話が聞けて、非常に興味深かった。」
最先端技術の捉え方が変わった。IAという考え方。先端技術はそれをつくることが目的ではなく、人を中心とした手助けをする存在であることに改めて気づかされた。」
「様々な技術が費やされ、人が安心して暮らせるwoven city のコンセプトは素晴らしく、ロマンあふれる計画だと感じた。しかし、その一方で人中心の街となると、他の動物や自然が守れるのかという点や、現代の適合が難しい伝統文化、あるがままが重要な文化、「結」のように過程まで含めてが大切な祭事などはどのように守って伝えていけばよいのかと感じた。」
「人間の労働や負担の軽減、作業の効率化といった人を助けるためのAIがいずれは人間の仕事を奪い切り、非生産的な人間は取り残されていくというのがよく言われる未来像だが、AIは人間の知育を増幅させて人を助ける(IA)に働くというのが意外だった。”Human Centered"その言葉を私も願い、信じたいが、本当にすべての人が幸せになれるか心配は残るというのが私の本心です。」

⑥ティータイムセッション
「今までの話を受け、お茶を飲みながら、気楽にお話しましょう。」「ちょっと休憩したい方は休んでいただいてもOKです。」温かい紅茶やコーヒーを飲みながらのゆったりとした雰囲気は、とても良い時間だったと感じました。ゲストの大塚氏やカフナー氏に対しても、参加者は積極的に疑問を投げかけたり、意見や感想をお伝えしておりました。

⑦対話「伝統文化?最新技術?SDGs達成をめざす未来とは」
「先人たちが試行錯誤しながら伝統文化を築き上げてきた白川郷、また先端技術を中心に新たな未来を創造していく取組みをしているトヨタ自動車、アプローチは違えど、同じ未来について考えています。」「今からの時間は、未来について話し合っていきたいと思います。」「例えば、未来の形として、トヨタやウーブンシティーが提案している未来をベースに考えた場合、ウーブンシティ―やトヨタの目指す未来に、私たちが追加できるモノ(視点、考え方、物)は何かありますか?」「この時間はそこを話し合っていただきたいと思います。」とにかく、とことん話し合いました。

⑧個人でふりかえり
しんしんと降る雪景色を背景に、2日間を通してふりかえり、それぞれ、感じたことや考えたこと、疑問や悩み、決意などをまとめました。

⑨焚き火を囲み、対話する
グループごとに協力して火をおこした後、ファシリテーターの黒坂より、ある問いが投げかけられました。「数百年前から同じ風景を守り続けてきた白川村はなぜ続いているのか?」「皆さん自身がこの村で経験してきたことを踏まえて、これから100年、200年続けていく上で大切なものは何だと思いますか。」


⑩クロージング
最後は、前回と同様、「今、ここ」の自身の想い(気持ち)を忘れないようにするため、1人1分スピーチの動画を撮影し、記録に残しました。この時、1つキーワードを書いていただき、そのキーワードを元にお話ししていただきました。

実施結果(主催者所見)
第3回目の講座の目標は達成できたと考えます。白川村立白川郷学園の生徒の皆さんとの交流で未来に目を向け、ゲストの大塚氏やジェームスカフナー氏のおかげで、参加者の皆さんに、可能性あふれ、振り幅のある未来を、みんなで一緒に考え、自身の言葉で本音で語る場を提供できたと感じました。

参加者の声

「現状にある未来と、これからの未来を考える視点を持つことができた。また、他人事として未来を考えるのではなく、自分が未来にどんなことを期待するのか?自分はどんな社会にいたい?自分のこととして真剣に考えることができました。
「対話の機会が多くて、たくさんの意見・価値観に触れられ、濃い3日間を過ごすことができました。ありがとうございました。」 
「白川郷学園の子どもたち、トヨタの大塚さん、カフナーさんという、夢を持つ人々に出会え、また、メンバーやスタッフさんと語り合えた。白川郷学園の子どもたちも大塚さんやカフナーさんも自分の夢を持ち、堂々と人に伝えている。とてもカッコいいし、応援したくなる。人を惹きつける」

参加者の皆さま、ご参加いただき、ありがとうございました。また、第4回に会いましょう!