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「写真家が拓く新たな企業研修のかたち」~人の感性とAIが掛け合わさるイノベーションの可能性~

企業の競争がグローバル化し、イノベーションが一層求められる時代において、ロジカルシンキングだけでは解決できない課題に直面するケースが増えています。

そこで注目を集めているのが、アートやクリエイティブの力をビジネスの現場に取り込むという発想です。

この度、長年フィルム写真の世界で感性と技術を磨き上げてきた昭和世代の写真家とコラボレーションし、企業向けに新たな研修プログラムを展開する運びとなりました。



「アーティスティック・インターベンション」とは

企業や組織などの現場にアーティストやクリエイターの考え方を“介入”させることで、新たな発想や価値を生み出そうとする取り組みのことです。
たとえば、絵画や写真、音楽などのアートを使ったワークショップを行い、普段の業務から離れた視点を体験してもらうことで、論理だけでは見えにくい問題解決やコミュニケーション活性化につなげるのが特徴です。

具体的には、次のような形で行われることが多いです。

アート作品を用いたワークショップを行う
たとえば、写真を撮る、絵を描く、音を録音するなど、ふだんの仕事とは違う活動を通じて、参加者の想像力やコミュニケーションを引き出す試みです。論理的なアプローチだけでなく、感性や感覚を重視することで、意外なアイデアや発見が促されます。

アーティストが問題解決の“きっかけ”を与える
組織が抱える課題をアーティストがヒアリングし、それを絵やパフォーマンス、映像などの形で表現します。
社員はアートによって問題を「いつもと違う角度」から見直す機会を得るため、新たな気づきや解決策が見つかることがあります。

アーティストが組織の中に入って社員と一緒に作品を作る
美術家や写真家が実際に職場に訪れ、社員と共同で作品を制作する場を設けます。作る過程でいつもとは異なる対話が生まれ、そこからイノベーションのアイデアが出たり、チームワークが向上したりします。


このように、アートをきっかけにした“外からの刺激”を介入させることで、組織内に新鮮な視点をもたらし、イノベーションやコミュニケーションの質を高めるのが「アーティスティック・インターベンション」の目的です。


ビジネスの場では、論理的な数値分析や効率ばかりを求めがちですが、そこにアートの力を加えることで、人間同士の対話や自由な発想が生まれやすくなり、新しい価値やアイデアが生まれる可能性が高まります。



写真家とのコラボに拘る理由


まず、写真というメディアそのものが
言葉では表しきれない思いやメッセージを伝える力を持っている点
を大切にしたいと考えています。

写真家は、シャッターを切るときに「何をどう切り取るか」を強く意識し、そこに自分のテーマや思考、問いかけを落とし込んできました。
デジタルカメラが当たり前になった現代でも、フィルム写真の時代に身につけた集中力やタイミングの見極めといったスキルは、ひとつの大きな特徴です。

わずかな枚数しか撮れないフィルムならではの制約は、逆に「いかに少ないチャンスで最大の成果を出すか」を常に考える原動力となってきました。

写真家は被写体を見つめるとき、多角的な視点を常に意識します。

同じ場所、同じ光景でも、撮る人によってまったく異なる写真が生まれることは、視点の違いがいかに大きな差をもたらすかを如実に示しています。


なぜ昭和の写真家なのか?

昭和の時代にフィルムを主戦場としてきた写真家は、

  • 「限られたカット数に挑むストイックさ」

  • 「意図しないブレや光漏れを楽しむ柔軟性」

  • 「古き良き風景やモチーフを独特の角度で描写する目」

といった資質を持っています。

これらはビジネスでは“制約下での創造力”や“既存資産の再評価”につながる視点を提供してくれからです。

デジタル時代には無制限にシャッターを切れるため、一枚一枚を深く考えずに撮影しがちです。しかし、フィルムであれば何枚も撮り直しができません。

その結果、「どの瞬間を撮りたいのか」をより強く意識し、被写体との対話や空気感に集中せざるを得なくなります。

昭和の写真家たちが身に着けた
「数や量に頼らない発想」
「限られたチャンスを活かすための準備・観察・決断力」

時間や予算に限りがある状態でいかに成果を創出するかが問われるビジネスの現場において、写真家が培った「限られたリソースで勝負する術」は、ビジネスパーソンの思考を柔軟にするきっかけになるはずです。


また、写真をきっかけとしたディスカッションや対話の場を設けることも有効です。

写真家の作品には、撮影者が込めたテーマや問題意識が必ず存在します。

その点を解きほぐしながら、「この作品を見て何を感じるか」「自分だったらどんな思いを込めたいか」などを互いに意見交換することで、ロジカルなプレゼンテーションとはまた別の形で問題提起を行えるでしょう。


写真家が自分自身の作品制作に対してどういうプロセスを踏んでいるのか、現場でどんな発見をしたのかを具体的なエピソードとともに伝えると、ビジネスパーソンが普段使わない言葉や感覚を引き出す場にもなり、想定外の発想が生まれることが期待できます。



私どものプログラムの特徴


企業研修としての導入を考える際には、成果の可視化や費用対効果の説明が課題となる場合があります。
そこで、研修のゴール設定や評価指標を明確にし、どのようなアウトプットを残せるかを企画段階で設計することが大切です。

【私どもが提供するプログラム】

写真家とビジネスコンサルタントや心理学者といった異なる専門領域の人材を加えたプログラムです。

写真家は感性やビジュアル表現で導き、コンサルタントは企業の課題や目標に落とし込み、心理学者は人間の認知や行動原理からサポートするといった形で役割分担しますので、より多角的なアプローチが実現でき、満足度や納得感の高いプログラムと自負しています。

言語や数値データ中心の仕事をしていると、どうしても固定観念や前例主義にとらわれがちですが、まったく異なる切り口を体験できれば、組織全体に新たな風を吹き込むきっかけになり、チームビルディングやコミュニケーション活性化の面でも、肩書や立場に関係なくフラットな意見交換が可能となります。


ワークショップ事例:~AI時代の“質問力”や“想像力”を高める~


今や多くの企業がチャットボットや生成系AIを活用し始めています。
しかし、その性能を活かすには、適切な質問(プロンプト)を用意し、柔軟な発想でアウトプットを導き出す力が不可欠です。

フィルム写真家の経験を言語化したノウハウは、この“人の感性×AI”の掛け合わせによるイノベーションを生み出す大きなヒントになります。


写真家の視点と、若いビジネスパーソンのポップで鮮やかな感性を組み合わせることで、「レトロ×デジタル」「深み×軽やかさ」といった対照的な要素をうまく掛け合わせたプロンプトが生まれやすいのです。

フィルム写真家ならではの“制約や偶然を大事にする姿勢”や“色調へのこだわり”、若い世代特有の”インパクトのある表現”や“都会的なポップカルチャー感覚”を一つのプロンプトにまとめることで、AIが生成するビジュアルにも独特の厚みや面白みが加わります。


ワークショップでは、この写真からプロンプトを作成して簡単な動画を生成しました。

プロンプト例(ご参考)

A 15-second, high-resolution urban night scene in a style reminiscent of modern Tokyo. Vibrant neon signs flash across towering buildings, reflecting off the wet pavement. Young people in streetwear rush through a busy crosswalk, capturing the energy and style of contemporary city life. A red electric bike rider comes into frame, blurred by motion but set against crisp, colorful lights. The camera pans slightly to reveal more pedestrians and traffic, emphasizing the crowded, fast-paced atmosphere. Include subtle city ambiance: distant traffic noise, snippets of conversation, and faint electronic beats. End with a sharp focus on the neon signs, highlighting the glow and intensity of the metropolis.



以上のように、写真家の独自の視点や経験を企業研修に導入する「アーティスティック・インターベンション」は、論理的・デジタル的な思考だけに偏らない新たな発想や問題解決の可能性を切り拓く施策として、大きな意義があると考えます。



このように、写真家のやりたいことと企業のニーズを掛け合わせた「ビジネスシーンへのアート介入」は、どちらか一方だけでは得られなかった相乗効果を生む大きな可能性を秘めていると考えております。

写真家が自らの作品や経験を通じて人々に共感や発見を与えたいという思いは、企業が従業員の発想力やコミュニケーション力を高めたいという課題と、非常に相性が良いはずです。


結果として、写真家にとっては新たな収益源と作品認知度向上の機会となり、企業側にとってはイノベーションやチームワークの向上をもたらす、いわばWin-Winの形が実現できるのではないでしょうか。


ご意見・ご感想など、コメント頂ければ幸いです。

https://www.tsb-project.com/contac


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