見て見ぬふりを貫き、問題が発覚したら掌返しを行うのが日本企業の流儀
スーパーマーケットの惣菜売り場(バックヤード)でパート勤務をして
と心底思えたことは、大変良い経験だった。
スーパーマーケットの『バックヤードの衛生管理の杜撰さ』という噂は耳にしたことはあったが、これほど恐ろしいほどの実態とは知らなかった。
(あくまでも私が経験したスーパーマーケットだけの事と信じたい)
最初の衝撃
「パート採用です。何日から来てください。初日は7:00に来てください」
という電話連絡があり、事務所を訪ねたところ、
公募条件は「7:30~」であったが「勤務は7時から」となっていた。
「ん?なんで?」と思ったが、この段階では「まあ、パート採用なんてこんなものだろう」と考えたが、次々とビックリすることが起こっていくのだ。
ユニホームを渡され着替えた後、
何らかのオリエンテーションがあるものと思っていたが、何もない。
パート・リーダーらしき人から
「当面は揚げ物担当として働いてもらいます」
フライヤーの前で先輩パートのやり方を見ながら
「見て覚えてください」と、、、
すると別のパートのおばさまが
作業場の入口ドアには【作業場に絶対に持ち込んではいけないモノ一覧】が掲示されていて
『メモ帳』『ペン(ボールペンなど)』が写真付きで載っているのだ。
小生「え?メモ帳はロッカーにありますが、作業場に持ち込んでいいの?」
先輩「覚えられないよ。書いておかなきゃ。スマホもOKよ」
小生「はぁ?????」
バックヤードは、衛生管理が基本の基本なので、
最低限の『手洗い』などの説明があるものと思い込んでいたのが私の大きな間違いだったのだ。
マニュアルや作業手順書はない
パートだらけの作業場で、各自が任せられた業務範囲をこなすことだけしか考えていないし、与えられた担当業務をこなすだけで、指示されたこと以外には口をださないのが、この職場の大前提のようだ。
小生「今日は、○○弁当を何個といった感じで今日の流れをどうやって把握するのですか?」
先輩「いいのよ、そんなことは。慣れればわかるから」
小生「今日は何をやるのか?それは誰か指示したりするのですか?」
先輩「見て覚えてやるの。私たちもそうやって自分でメモしてきたの」
小生「毎日揚げる食材と日によって変わる食材の確認方法は?」
先輩「慣れれば雰囲気で分かるようになるよ。私たちもこの方法で教わってきたの」
小生「せめて作業要領を掲示しておくとミスもなくなるかと、、、」
先輩「とにかく、覚えたらいいの(怒)」
新入りへの指導方法を教わっているわけではないので、先輩流(彼女流)のやり方を聞かされるだけで、説明はバラバラで理解不能や疑問だらけ
「なぜ?これをやるのですか?」と質問すると
「慣れたらわかるから、やり方は人それぞれだから、これは私流」
と明確な回答はない。
私のメモ帳もボールペンも油だらけ
先輩は、食材を触る場合には最低限手袋などをすると思っていたが、素手で行い、そして手を洗うことはなく、次の作業に移る。
この構造で「マニュアルを作成しましょう」なんて発言すると、村八分になるだろう。
社員からの雇用条件提示もない
初出勤日の業務終了後、店長室に来るように言われ、雇用関係書類を渡されました。
店長「この書類に必要事項を記入して明日にでも持ってきてください」
自宅で渡された書類を確認したところ、誓約書なるものが入っていた。
翌日
書類を持って事務所を訪ねて
小生「渡された書類には、雇用条件が記載された書類は入ってなかったのですが?」
店長「お渡しした書類を受理してから、雇用契約書を作るんですよ」
小生「雇用条件も分かっていなくて、読んでもない規定に遵守する誓約書を提出させるのですか?職場からは7時から勤務って言われてるのですが、7:30~じゃないのですか?」
店長「チェ!(舌打ち)」
3日で辞めた
目の当たりにした実態に対する感想や意見は、個人の価値観や経験、背景によって大きく変わることがあるのでしょう。
私にとっては、このスーパーマーケットの惣菜バックヤードの衛生状態と組織構造が本当に受け入れがたいものでした。
この職場で「見て見ぬふり」をして働き続けても、自分の価値観や信念と大きく乖離しているので、長期的にはストレスや不満が蓄積してしまうだけと考え、辞めることにしました。
大変親しい人に相談したところ、
と言われました。
「見て見ぬふり」を貫く?
私には無駄でしかない正義感があるのか?
生き方が下手なのか?
「見て見ぬふり」を貫くことは出来ないのです。
間違ったことがあれば、間違ってると言いたくなってしまいます。
この職場に長く居れば、良いところも感じられるかもしれませんが、遅かれ早かれストレス爆発で、暴言を吐き、それこそ無駄な代償を払うことになったでしょう。
スーパーマーケット・バックヤードのパートに軽い気持ちで申し込んだ自分の「浅はかさ」を再認識できことだけでも、3日間は無駄ではなかったと自分なりには整理しています。
小生にお粗末な経験を踏まえて、昨今、巷で話題になっているジャニーズ問題とビッグモーター問題についてコメントさせてもらいます。
サントリーホールディングス社長で経済同友会の代表幹事でもある新浪剛史氏は、
ジャニーズ事務所が「真摯に反省しているか疑わしい」
ジャニーズタレントのCM起用については「使うことは虐待を認めることになる」と発言した。
しかし、サントリーがジャニーズのタレントをCM起用し続けてきたことに関しては、
「(性的加害について)噂としてあったが、私は聞いたこともなかった。感度が低かったことを反省しなければならない」
と付け加えて語ったそうだ。
新浪氏もサントリーの広告部員たちも、これまでジャニー喜多川氏の性癖について、全く知らなかったハズはないでしょう。
全く知らなかったのあれば、大企業としての危機管理が欠如して恥すべきことが露呈したのです。
日本の大企業が「見て見ぬふり」を貫き、問題が発覚して公になった場合には、自社や自分の言動を『棚上げ』にして、堂々と今になって「掌を返し」を行う。
日本企業流のお手本を、新浪氏は世間に披露したのでしょう。
ビッグモーターと損保Jの癒着関係は、氷山の一角にすぎない。
損保会社の社員および代理店ならば、力関係は?
損保会社 < 大手自動車関連会社
ということは周知の事実です。
損保J以外の他大手損保の社員は、大号令の下、他案件が発覚しないように火消工作に走り回ってることでしょう。
どちらの問題も、私が経験したスーパーマーケット組織構造と同じではないですか?
日本は「見ざる聞かざる言わざる」が、美学なのでしょう。