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D&Iがある環境を通じて「ビロンギング(belonging/帰属性)」という概念を理解することの重要性
オッサン上司は
「最近の若い奴は何もわかっていない。ダメだな こいつらは。」
と嘆き
若者部下は
「オッサンは考え方が古くてダメだ。頭 固すぎで面白くない。」
と嘆く。
この状態では、双方ともに歩み寄ることはできないだろう。
多様性は、何でも良し、何でもアリ、というわけではない
『多様性を“認める”』ということは
人の考えや特徴、価値観もいろいろな種類があり、自分と違う人もいるいう、その違いを認めること
多様性を認めることはあっても、すべてを受け入れることではない。
「認める」と「受け入れる」ではまったく意味が違う。
どちらの意見も、その人なりに導かれた正義、正論の答えなのだが、認めてはいても、受け入れないこともある。
では、『多様性を“受け入れる”』 ということは
相手のことを理解しようとすることではなく、その存在を理解できなくてもありのままに受け入れること
「自分と違う人は排除する」という排他的な考え方は、多様性とは真逆である。
多様性の対義語は画一性
画一性とは
変化や特色がなく、すべてが同じような感じであるさまのこと
何もかも一様で、個性や特徴のない、一様にそろえるさま
一つの枠にはめこむ
多様性を認めないことだ。
“出る杭は打たれる”とは
才覚をあらわす者は妬まれ、妨げられる。
また、出過ぎたふるまいをすると憎まれる。
出る杭が打たれている会社に、ダイバーシティは存在しない。
イノベーションも生み出さない。
長い物には巻かれろ
力のある者には従ったほうが得策であるという例え。
「周りと同じことをしなさい」という画一的な教育受けてきた経営陣は
新しいことに挑戦する人間ではなく、無難な選択をする人間を昇進させる。
社員のマインドも 「周りと同じことをするべきだ」 が染みついている。
高度成長期の大量生産・大量消費時代には、
この「画一的」=『一枚岩となって』 は機能しただろう。
「画一的」の類語は
「定型的」
「統一的」
「杓子定規」
「画一的」は “型通り”
「画一的」は “個性や特色がないこと”
「画一的」は “没個性的”
ダイバーシティというのは 所詮は既得権を奪うこと
既得権とは何か
大別すると、1つはお金。 2つ目は権限。 3つ目は地位・身分。
こんな楽しいものを持った人が、自分の既得権が脅かされることになれば、普段以上に感情的になって徹底的に抵抗するのは当たり前。
“既得権益”を持っている人は、現状維持を望む。
奪われたら損をすると感じている人に対して、どんな“理屈の通ったこと”を言ってもムダ。
頭では理解できたとしても、感情が理解できない。
「既得権益の打破」には
それが存在しているのは「なぜか?」という背景や理由を明確にしなければならない。
その上で
「現状では、こんな部分で弊害が大きいので既得権益をなくさないといけない」
と冷静に話をしなければならない。
既得権益をはらんだ問題を解決するには、その問題の“緊急性”の判断が重要
“緊急性”がなければ、既得権者は、問題解決を先延ばしにして“うやむや”にして“時間切れ”に持ち込む。
ダイバーシティが進まない会社は、進化は出来ないで衰退するという“緊急性”を理解してもらえないと、既得権益層が居座り続ける。
企業が目指すべきダイバーシティとは
単に多様な人材を集めるだけで、効果が生まれるわけではない。
急に多様化が進むことで、むしろマイナス面が現れることもある。
たとえば「男女雇用機会均等法ができたので、女性を採用する」といった外形的には多様化を受け容れながらも、現行システムは変えない。
違いの存在を認めた「多様性尊重」しただけの
“なんちゃってダイバーシティ”
多くの日本型経営企業は、この段階にとどまっている。
ダイバーシティには、二つの概念がある。
【表層のダイバーシティ】」
年齢や性別、人種、国籍、障害や肉体的能力といった外側から見えやすい属性の違い
【深層のダイバーシティ】
性格、価値観、態度や習性、趣味、学歴、職歴といった外からは見えにくい内面的な属性
グローバル化が進む中で、企業が持続的競争優位を築くには
多様な人材を雇用するだけではなくて、企業がビジネス環境の変化に迅速に対応できるようになること
【深層のダイバーシティ】を活かすことによって
異なる人々が集まることで、社内に相互に触発し合える環境が生まれ、多様なアイデアを問題解決に活かせる適所への迅速な配置
といった取り組みに“緊急性”があることを経営陣が認識すること重要
企業が目指すべきダイバーシティは
その人の「個性」を組織における「役割」に結びつけ、価値を生み出せる自社の新しいビジネスモデル創造
既得権益層が居座り続ける企業には衰退しかない
特権や既得権益というものは、慣れてくると「当然の権利」であるという認識になる。
それだから、奪われようとするとき、人は激しい拒否反応を示す。
既得権益で回っている会社は、個々の能力ではなく、人の頭数が居れば十分。
多様性は不要で、画一性の方が重要。
「生え抜き社員」は
自社内での過去の経験でしか判断できないので、市場価値が高いスキルが身についてはいない。
こんな企業では、ダイバーシティこそ既得権益を壊すことになる
と考えるだろう。
では、この既得権益者にダイバーシティを理解していてもらうにはどうすればいいのか?
D&Iがある環境を通じて、「ビロンギング(belonging/帰属性)」になることを理解してもらうことだろう。
ダイバーシティ(多様性):組織に多様性がある(事実/fact)
インクルージョン(包摂):それを受け入れる意識や仕組みがある(姿勢/behavior)
ビロンギング(belonging/帰属性)
従業員がありのまま自分を偽らずに、組織やコミュニティの一員として「居場所があると感じられる状態」(結果/outcome)
経済産業省の“ダイバーシティ経営”の定義は次の通り
「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」
「イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」とは
組織内の個々の人材がその特性を活かし、生き生きと働くことのできる環境を整えることによって、自由な発想が生まれ、生産性を向上し、自社の競争力強化につながる、といった一連の流れを生み出しうる経営。