天然資源に恵まれない”バングラデシュ”は人的資源こそが貴重な資源
バングラデシュは、日本の国土面積の4割に約1億7千万人が暮らす世界一の人口密度の国(都市国家・島嶼国家を除く)
バングラデシュ独立戦争
1971年3月、パキスタン軍が東パキスタンに対して厳しい軍事作戦を実施しました。この軍事介入は大量虐殺、性的暴力、その他の人権侵害を伴いました。特に大量発生した難民は、飢え、疫病、極度の不衛生な環境に直面し、国際社会の注目を集めました。
ロック史上初めのチャリティーコンサート
1971年8月1日『The Concert for Bangladesh』
ニューヨーク・マディソン・スクエア・ガーデンで午後2時30分と夜8時の2回に渡って開催されました。
ジョージ・ハリソンは、インド音楽の師匠であるラヴィ・シャンカール(ノラ・ジョーズの父親)からバングラデシュの惨状を聞かされ、チャリティ・コンサートを開催することを決めたのです。
コンサートは、4万人もの観衆を集めて大成功。
当時の報道は次の通り。
しかし、初めての大規模なチャリティ・コンサートであっただけに、コンサート自体の成功とは裏腹に問題も数多く残されました。
このコンサートは、事前に「チャリティ事業」として事前に届出をしていなかったため、アメリカの国税当局からジョージの個人所得と見なされ、多額の税金を余儀なくされた。(イギリスでも同じ)
マネージメントを握っていたアラン・クラインが売上げを私的に使っていたことが判明
このコンサートが、後の大規模チャリティー・コンサートの原型となり、世界中のアーティストに多大な影響を与えたことは誰もが認めるところです。
1971年12月16日、インド軍の介入もあってパキスタン軍が降伏し、バングラデシュは独立を宣言しました。
戦争終結後、多くの難民がバングラデシュに戻り始めましたが、彼らを待ち受けていたのは破壊されたインフラと経済的困難でした。
初期の政治的混乱の後、バングラデシュは徐々に民主的な政治体制へと移行しました。
2010年代前半、バングラデシュの「平均的な年収」は約1000USドル、日本円にすると12~13万円程度というデータがありました。
2022年現在バングラデッシュの平均年収は約2000ドルに到達したとも言われていますが、アジアの中では最も貧しい国の1つということに変わりはありません。
豊富な人的資源を活かした労働集約型産業である繊維縫製業は、中国に次ぐ世界2位の規模で、ファストファッション市場の重要な供給源で「Made in Bangladesh」はポピュラーになりました。
国内の縫製工場労働者の80%が女性で平均年齢は25歳
その過酷な労働環境と低賃金
まだまだ改善されていません。
そんなバングラデシュでは、IT(情報技術)人材に注目が集まっています。
天然資源に恵まれないバングラデシュにおいて、人的資源こそが貴重な資源です。
「デジタルバングラデシュ」ビジョン
バングラデシュは、経済の多様化を図るため、繊維産業の他の産業、特に高付加価値の産業へのシフトが必要とされました。
そこで、政府はIT教育と職業訓練に投資を行い、国内の技術力を向上させることを目指したのです。
2000年代初頭、政府はIT部門の潜在力を認識し、このセクターを経済成長の重要な要素と見なし始めて、IT産業の育成を目的とした、IT教育とインフラの強化が図られました。
2009年
独立50周年にあたる2021年までに中所得国になることを目標とする「ビジョン2021」政策
2041年までに先進国入りすることを目標とする「ビジョン2041」政策
全国IT化を目指す「デジタルバングラデシュ」ビジョンを発表
ソフトウェア開発、ITアウトソーシング、Eコマースなど、多様なIT関連事業が拡大していきます。
ITアウトソーシングは、バングラデシュにとって新たな収入源となり得ます。低コストで高品質なサービスを提供することで、国際的なアウトソーシング市場において競争力を持つことができます。
スタートアップエコシステム
Pathao
ローカルのスタートアップとして始まり、バングラデシュで最も成功したテック企業の一つに成長したライドシェアリングおよび物流サービス。
効率的なライドシェアリングと配送サービスのために高度なアルゴリズムを使用し、交通と物流をよりアクセスしやすく効率的にしています。
bKash
モバイル金融サービスプロバイダーであるbKashは、バングラデシュにおける金融取引を革命的に変えました。安全で速く便利なモバイルバンキングサービスを提供するための革新的な技術を使用し、金融包摂を大幅に向上させています。
Grameenphone Healthline
バングラデシュの主要なテレコムオペレーターであるGrameenphoneが提供するテレメディスンサービス。このサービスにより、ユーザーは遠隔地から医師と相談でき、先進的な通信技術を利用して医療アクセシビリティを向上させています。
Chaldal
オンラインでの食料品配達サービスで、洗練された物流および在庫管理システムを使用して、新鮮な農産物やその他の商品を迅速かつ信頼性の高い配達を実現しています。
Sheba.xyz
顧客と清掃員、配管工、電気工などのサービスプロバイダーをつなぐプラットフォームです。技術を利用して、さまざまなサービスの探索と予約のプロセスを合理化し、ユーザーの日常生活をより簡単にしています。
iFarmer
主にモバイルアプリケーションとして運営され、農家に重要な情報とサービスを提供しています。様々な作物のリアルタイム市場価格など、農家に不可欠なデータを提供し、作物の販売に関する情報に基づいた意思決定を支援します。
農業における天気の重要性を理解し、タイムリーな天気予報を提供し、農家が植え付けや収穫活動をより効果的に計画できるようにします。
これらの例は、バングラデシュがさまざまなセクターで最先端技術を活用して革新を推進していることを示しています。
デジタル化への焦点とスタートアップエコシステムの起業家精神により、バングラデシュは南アジアにおける技術進歩の急速なハブとして位置づけられるのでは?
バングラデシュの全国的なデジタル化には、技術的、文化的および社会的な障壁など、まだまた克服しなければならない課題は多いでしょう。
しかし、バングラデシュの国際的な競争力を高め、経済的により自立した国家に変貌させて、グローバル経済において重要なプレーヤーとして位置づけることになるでしょう。
最後にバングラディシュ出身のヒップホップグループ
Bhanga Bangla
をご紹介しましょう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?